慢性疼痛に対する皮膚・神経に着目した徒手アプローチ ~DNM3ヶ月習得BASICコース~

もう痛みで悩まない! 慢性疼痛を解放する神経に着目した徒手アプローチ

1. なぜ今、慢性疼痛に注目するのか?

現代社会では、腰痛や肩こり、膝の痛みなど、原因がはっきりしないまま“長引く痛み”に悩む人が増加しています。実際に、ある調査では日本人のおよそ8割が慢性疼痛を抱えていると言われており、その影響で生活の質(QOL)が低下し、仕事や家事、趣味を制限せざるを得ないケースも少なくありません。

こうした痛みは、単に「身体の構造」が問題というだけでなく、ストレスや生活環境など“心や社会”的要因が影響していることがわかってきました。従来の対症療法だけでは十分に改善しない背景には、痛みが複雑に慢性化するメカニズムがあるのです。


2. 慢性疼痛の基礎知識 〜複雑化する痛みのメカニズム〜

● 慢性疼痛の定義

一般的に“急性疼痛”はケガや炎症が原因となり、数日から数週間ほどで治まります。一方、“慢性疼痛”は3か月以上持続し、慢性的に痛みを感じる状態です。

● BPSモデル(Bio-Psycho-Socialモデル)

痛みは身体的要因(Bio)だけでなく、心理的要因(Psycho)、そして社会的要因(Social)が複雑に絡み合って発現・持続することがわかっています。

  • 身体的要因:筋肉や関節、神経などの構造的問題
  • 心理的要因:ストレス、不安、抑うつなど
  • 社会的要因:家族関係、職場環境、生活習慣など

● 神経学的視点の重要性

近年注目されているのが、中枢感作末梢神経の過敏化といった神経科学的なメカニズムです。「炎症が治まっているのに痛みが続く」「レントゲンやMRIで異常がないのに痛む」といったケースは、神経システムが痛みを“記憶”してしまっている可能性があります。


3. 従来の対処法と限界 〜薬や一般的なリハビリだけで十分?〜

慢性疼痛への主な従来アプローチとしては、以下のようなものがあります。

  1. 鎮痛薬や消炎鎮痛剤(NSAIDs)の使用

    • 痛みを一時的に和らげる効果はありますが、原因そのものを解決できないまま長期化するリスクがあります。
  2. 物理療法(温熱、電気、超音波など)

    • 一定の効果は期待できますが、痛みの再発を繰り返すケースもあり、根本的な改善に至らないことが多い。
  3. 外科的手術

    • 明確な病変がある場合は有効ですが、術後も痛みが継続する「術後疼痛」が問題となる場合があります。
  4. 一般的な徒手療法やリハビリ

    • 筋や関節のアプローチに偏りがちで、痛みが慢性化しているケースには充分に対応できないことも…。

こうしたアプローチの限界から、「原因不明だから仕方ない」「もう痛みと付き合うしかない」とあきらめてしまう人も少なくありません。そこで今、新たに注目されているのが神経学的視点を取り入れた徒手アプローチです。

4. 新しい視点:DNM(Dermo Neuro Modulating)とは?

DNM(Dermo Neuro Modulating)は、カナダの理学療法士ダイアン・ジェイコブス氏によって開発された神経系に特化した手技療法です。

  • Dermo(皮膚)とNeuro(神経)、そしてModulating(調節)を組み合わせた言葉。
  • 世界21カ国以上で実践され、特に慢性疼痛の緩和において注目を集めています。

● DNMの特徴

  1. 神経と皮膚を中心に考える
    慢性疼痛の原因を「末梢神経や皮神経の絞扼(締め付け)や血流障害」に着目し、痛みを引き起こす“神経の過敏状態”を和らげます。

  2. ソフトなアプローチ
    マッサージのように強く押したり、強引に骨格を調整したりするのではなく、神経や皮膚にやさしい刺激を加えて「神経の警戒反応」を鎮めます。

  3. 幅広い症状に対応可能
    頸部や腰部、肩や股関節など、さまざまな部位の慢性痛に応用しやすく、患者さんが感じる痛みの程度や状態に合わせて方法をアレンジできます。


5. DNMの具体的手技と慢性疼痛への効果

以下はDNMで用いられる代表的な手技です。どれも「神経の血流促進」「皮神経の緊張緩和」を目的としています。

  1. スキンストレッチ

    • 特殊なゴムフィルム「ダイセム」を使い、皮膚をやさしく伸ばすことで圧痛点を緩和し、可動域を改善。スキンストレッチ
  2. バルーンテクニック

    • 皮膚を軽くつまみ、対側の皮神経へ緩やかな刺激を与える。デリケートな部位へのアプローチに有効。バルーンテクニック
  3. ツイズリング

    • 四肢を軽くひねって神経や筋肉を柔らかくほぐす。神経の過敏状態や筋の緊張が和らぎ、痛みを軽減。ツイズリング
  4. コントラクト・リラクゼーション

    • 筋収縮と弛緩を交互に行い、慢性緊張を軽減。筋と神経の協調を取り戻し、柔軟性を高める。コントラクト・リラクゼーション
  5. ポジショナルリラクゼーション

    • 特定の姿勢で末梢神経や深部神経の血流を促進。腰臀部や肩甲間部など深部にある痛みにもアプローチポジショナルリラクゼーション

療法士活性化委員会が主催する本講習会では、DNM JAPANの認定アドバイザーが講師を担当し、DNMの基本的な概念やアプローチ方法をじっくり学んでいただけます。
なお、本講習会は認定資格の取得を目的としたコースではございません。もし認定資格の取得やさらに詳しい情報をお求めの方は、DNM JAPAN公式サイトをぜひご覧ください。

もし慢性疼痛に悩んでいるなら講習会に参加をご検討ください

慢性疼痛は単なる筋・骨格の問題ではなく、神経や心理、生活環境が複雑に影響して持続します。DNMは、そんな痛みに対して「神経の過敏状態をソフトに解放する」という革新的な視点を提供するアプローチです。

「もう痛みと共存するしかない」とあきらめる前に、最新のペインサイエンスとDNMを学んでみませんか?
知識と技術をアップデートすることで、きっと新しい可能性が広がるはずです。

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講習会詳細

日時

第3期 2025年 4月20日 5月18日 6月15日(日)9:30〜16:30

第4期 2025年 10月19日 11月16日 12月14日(日)9:30〜16:30

会場

【土日開催】
ウィリング横浜 オフィスタワー
〒233-0002 神奈川県横浜市港南区上大岡西1丁目6−1

定員土日:24名
参加費49,500円(税込)
参加資格医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、養成校学生(学生は受講料が半額となります。)
持ち物筆記用具
ヨガマット(推奨、バスタオルで代用可)
普段使用している解剖学の教科書
バスタオル1枚
動きやすい服装

講習会内容

座学

  • DNMについて
  • DNMの概念
  • DNMアプローチの手技紹介
  • 神経の構造について
  • 神経にかかるストレスや血流について
  • 鎮痛について
  • 疼痛について

1ヶ月目【体幹】

  • 脊髄神経後枝(腰部)
  • 上殿皮神経
  • 中殿皮神経
  • 臀部深部末梢神経
  • 腸骨下腹神経
  • 鼠径部の皮神経

2ヶ月目【下肢】

  • 後大腿皮神経
  • 脛骨神経
  • 伏在神経
  • 腓腹神経
  • 腓骨神経

3ヶ月目【上肢】

  • 肩甲背神経
  • 肩甲上神経
  • 腋窩神経
  • 鎖骨上神経
  • 上肢の皮神経

それぞれの神経に対してDNMアプローチの方法をお伝えします。

進捗状況によって内容は変更になる可能性があります。ご理解ください。

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最新のペインサイエンス、ニューロサイエンスを学び、患者さんの生活の質を向上させましょう。

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