凍結肩は病期と刺激性に合わせて介入を変える
凍結肩は「硬いから強く伸ばす」でよいのか——irritabilityで負荷を変えるCPG
Shoulder Pain and Mobility Deficits: Adhesive Capsulitis
Guideline / Consensus | 2013 | 肩関節ガイドライン
adhesive capsulitis/肩関節/irritability/CPG
30秒でつかむ
- 何を調べた?
- 可動域が大きく制限された凍結肩で、伸張やmobilizationの負荷は何を基準に変えるのでしょうか。
- 何が分かった?
- 2013 CPGは自然経過の教育、pain-freeなactivity modification、stretching intensityを現在のtissue irritabilityに合わせることを示し、joint mobilizationも選択肢として整理しています。
- 何を言ってはいけない?
- 「可動域制限が強いほど強いstretching」「mobilizationをすればROMが戻る」とは言えません。推奨の強さは項目で異なり、症状のirritabilityと自然経過が前提です。
重要ポイント
- 教育と自然経過の説明。
- stretching intensityをirritabilityへ合わせる。
- joint mobilizationはweak evidence。
- function/outcome measureも追跡。
ガイドラインを読み解く2〜4分
ROMの数字だけで負荷を決めない
ガイドラインはtissue irritabilityを介入強度の判断に組み込みます。同じROM制限でも、疼痛反応性が違えば同じ負荷にしない考え方です。
患者教育も介入の一部
natural courseとactivity modificationを説明し、functional pain-free ROMを促すことがrecommendationに含まれています。
推奨の強さは同じではない
stretching/educationにはmoderate evidence、joint mobilizationにはweak evidenceなど、項目ごとに根拠の強さが異なります。
ガイドラインから臨床へ
① ガイドラインで示されたこと原典
原典では、adhesive capsulitisのrisk、diagnosis、outcome measurementとともに、education、stretching、joint mobilization等が推奨強度付きで整理されています。stretching intensityはtissue irritabilityに合わせるとされています。
①′ 策定者の位置づけ・根拠の強さ原典・著者の考察
著者らは、自然経過とirritabilityを踏まえ、痛み・mobility・functionを追跡しながら介入を選ぶ枠組みを提示しています。
② 療活ではどう考えるか療活編集部の整理・ここからは原典そのものではありません
療活では、『硬さを変える』だけでなく、介入後の痛みの残り方、睡眠、着衣、整容、上肢使用など、負荷への反応と生活機能を一緒に見る材料になります。
③ 臨床で観察するとしたら療活編集部
同じstretching量で当日・翌日のpainがどう変わるか、active/passive ROM、睡眠、衣服の着脱等がどう動くかを記録すると、irritabilityを具体的に追えます。
④ まだ言えないこと
2013 CPGであり、推奨の一部はweak evidenceです。個人の自然経過、糖尿病等の背景、他疾患の除外、最新研究を加えて判断する必要があります。
この研究と臨床の距離
臨床に近い一方、推奨を個人の刺激量へ翻訳する観察が必要です。
CPGの推奨 → tissue irritabilityと負荷調整 → 個人の症状反応 → ADL・参加
逆の視点から読んでみる
「刺激性に合わせる」から、痛みを一切出さないことが目的とは限りません。反対に、可動域を得るため症状反応を無視して負荷を上げることもCPGの構造とは合いません。
この文献を読んだあと、何を見る?
次に凍結肩のROMを測ったら、その数値の横に『介入後に症状がどれくらい残ったか』を一つ記録すると、irritabilityが見えやすくなります。
考えてみましょう
この患者のROM制限より、今の負荷量を決めている情報は何だろうか。
可動域が増えたことは、本人のどの活動の変化につながっているだろうか。
答えを急ぐ必要はありません。次の臨床で、少し観察してみてください。
次に読むなら
- 上肢挙上で鎖骨・肩甲骨・上腕骨はどう協調するか この考え方の基礎|健常肩複合体の3D kinematicsを読むと、肩の可動性を単一関節の角度として扱わない基礎が得られます。
原典・書誌情報
Kelley MJ, Shaffer MA, Kuhn JE, et al. Shoulder pain and mobility deficits: adhesive capsulitis. J Orthop Sports Phys Ther. 2013;43:A1-A31.
原典照合:大塚 久(原典照合=AI・学会公式リポジトリPDF・2026-08-17)/最終確認日:2026-08-17
確認状況:書誌確認・抄録確認・全文入手可・全文照合・主要数値確認・臨床Bridge確認
