痛みを基礎から学んでいきたい人のための「THE Pain」3日間集中講座|BPSモデルと神経科学

痛みの臨床思考をアップデートし、明日からの臨床を変える3日間集中講義【THE Pain】

なぜ、あの患者さんの痛みは改善しないのか?
痛みの臨床思考を基礎から学び直し、明日からの臨床を変える3日間集中講義【THE Pain】

「このアプローチで本当に良いのだろうか?」
痛みを訴える患者さんを前に、誰もが一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。

痛みの原因は決して一つではありません。構造的な破綻だけが痛みの原因ではなく、画像所見と症状が必ずしも一致しないケースも臨床では頻繁に経験します。

もしあなたが、

  • 従来のアプローチに限界を感じている
  • なぜ痛みが慢性化するのか、そのメカニズムから理解したい
  • 患者さんの心理的、社会的な背景まで含めてアプローチしたい

そう考えているのなら、この講義はあなたのためのものです。

なぜ、今このセミナーが必要なのか?

痛みの臨床は、今、大きな転換期を迎えています。これまでは組織の損傷や炎症といった生物学的な要因が痛みの原因として中心に考えられてきました。しかし、最新の科学は、痛みが単なる侵害受容の反応ではないことを明確に示しています。

痛みの理解を深める、国際的な新定義

国際疼痛学会(IASP)による痛みの定義(2020年改訂)

「実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験

— International Association for the Study of Pain

  • 痛みは常に個人的な経験であり、生物学的、 心理的、社会的要因によってさまざまな程度に影響を受けます
  • 痛みと侵害受容は異なる現象です。痛みは、 感覚ニューロンの活動だけから推測することはできません
  • 人は人生経験を通じて、痛みの概念を学びます
  • 痛みとしての経験に関する個人の訴えは尊重  されるべきです
  • 痛みは通常、適応的な役割を果たしますが、 機能や社会的および心理的な幸福に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 言葉による説明は、痛みを表現するいくつかの行動の1つにすぎません。コミュニケーションができないからといって、人間や人間以外の動物が痛みを経験する可能性が否定されるわけではありません。

臨床での「なぜ?」に、科学的根拠で応える

このように、国際的な定義そのものが、痛みの臨床で患者さん自身の「体験」に焦点を当てることの重要性を強調しています。それにもかかわらず、私たちの日々の臨床を振り返ってみるとどうでしょうか。依然として「この疾患にはこのアプローチ」という画一的な考え方に縛られていませんか?また、患者さんの「もう治らない」「動くと悪化する」といった破局的思考や恐怖回避思考を前に、どう対応すれば良いか分からず、無力感を覚えることはないでしょうか?

そこで本講義は、理論と臨床のギャップを埋めるために生まれました。科学的根拠に基づき、痛みを多角的に捉える視点を養います。さらに、患者さん一人ひとりの背景にある認知・情動・価値観にまで目を向け、真に個別化されたアプローチを習得すること。これこそが、これからの療法士に求められる必須のスキルだと私たちは考えます。

このセミナーがあなたの臨床を変える理由

「THE Pain」は、単なる知識の詰め込みで終わるセミナーではありません。まず、BPSモデルを臨床思考のツールとして自在に使いこなせるようになります。次に、患者さんとのコミュニケーションを通じてNocebo効果を避け、確かな信頼関係を築く方法を学びます。そして、神経科学の最新知見を具体的なアプローチに落とし込みます。本セミナーでは、そのための「なぜ?」と「どうやって?」を、ワークショップを通じて徹底的に掘り下げていきます。

ご存知の通り、痛みは単なる感覚ではなく「感覚かつ情動の不快な体験」です。そのため、私たちの講義では生物学的要因(Bio)のみに目を向けることはありません。むしろ、患者さん一人ひとりの心理的要因(Psycho)・社会的要因(Social)を統合したBPS(生物心理社会)モデルを基盤とし、そこから包括的な評価とアプローチを展開していきます。

例えば、なぜ恐怖や不安が痛みを増悪させるのでしょうか? その答えは、ニューロマトリックス理論や大規模脳内ネットワーク(DMN等)といった最新の神経科学にあります。本講義では、これらの知見を基に、認知や情動へ働きかける実践的なワークショップを行います。その結果、明日からの臨床で本当に使える知見と技術を、皆さんに提供することをお約束します。

3日間の学習テーマ

本コースは、痛みの理解を段階的に深め、実践に繋げるためのカリキュラムで構成されています。

Day 1:痛みの基礎と多角的な評価

痛みの全体像を把握し、正確な評価を行うための土台を築きます。「この疾患=このアプローチ」という考えから脱却する第一歩です。

  • 痛みの最新定義(IASP)とBPSモデルの臨床応用
  • 神経メカニズムによる痛みの分類(侵害受容性・神経障害性・痛覚変調性疼痛)と、その鑑別方法
  • 痛みの伝導路と脳科学:ニューロマトリックス理論、DMN、SN、CENが痛みの「体験」をどう作り出すか
  • 評価ワークショップ:主観的評価と客観的評価を統合し、仮説を立てるプロセスを実践します

Day 2:慢性化のメカニズムと心理社会的アプローチ

痛みがなぜ長期化するのか、その核心に迫ります。患者さんの認知や情動に働きかける具体的な手法を学び、アプローチの引き出しを増やします。

  • 末梢感作と中枢性感作(Central Sensitization)の神経生理学的な詳細
  • 恐怖回避モデル、破局的思考、自己効力感といった心理的要因への介入法
  • 認知の基本と、臨床で使える具体的な声かけ・ワークシート活用法
  • 痛みの受容を促すアプローチ
  • Nocebo効果を生まないための医療者コミュニケーション・ワークショップ

Day 3:統合的アプローチと臨床実践

学んだ知識を統合し、明日からの臨床で実践できる形に落とし込みます。運動、栄養、睡眠など、生活全体を視野に入れたアプローチを習得します。

  • 疼痛抑制系の賦活:下行性疼痛抑制系、内因性オピオイド系を活性化させる具体的な方法
  • 運動療法の処方:Exercise-Induced Hypoalgesia(EIH)を考慮した、安全かつ効果的な運動プログラムの立案
  • 睡眠、栄養指導のポイント:痛みに影響を与える生活習慣への具体的なアドバイス方法
  • 症例検討:実際のケースをもとに、BPSモデルを用いた評価からアプローチまでの流れをグループでディスカッションします

*講義内容はより良いものにするため変更になることがございます。

開催概要

講座名痛みを基礎から学んでいきたい人のための「THE Pain」3日間コース
日程(第1期)2025年 10月19日(日), 11月16日(日), 12月14日(日)
時間9:30 〜 16:30
会場ウィリング横浜 オフィスタワー
〒233-0002 神奈川県横浜市港南区上大岡西1丁目6−1
定員24名
参加費49,500円(税込)
※養成校学生は受講料が半額となります。
参加資格理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、養成校学生
持ち物
  • 筆記用具
  • ヨガマット(推奨、バスタオルで代用可)
  • 普段使用している解剖学の教科書
  • バスタオル1枚
  • 動きやすい服装
主催療法士活性化委員会