内側足底神経・外側足底神経の解剖と臨床|走行・支配・障害・評価を整理する

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こんにちは、理学療法士の内川です。

「足の裏が痛いから、足底腱膜の問題かな?」
「足底がしびれるから、足根管症候群?」

臨床では、足底の痛みやしびれを訴える患者さんに遭遇することがあります。

しかし、足底には脛骨神経から分岐する内側足底神経と外側足底神経が走行しています。さらに、その先には足底趾神経やBaxter神経などの細かな枝が存在するため、症状が出ている場所によって障害部位も変わってきます。

足底症状をみたときには、筋や足底腱膜だけでなく、「神経のどこで問題が起きているのか?」という視点を持つことが大切です。

今回は、内側足底神経と外側足底神経の走行・支配・障害・評価について整理していきましょう。

【この記事の結論・要点まとめ】
  • 内側・外側足底神経は脛骨神経の終枝で、どちらも感覚+運動を担う混合神経
  • 内側→母趾側、外側→小趾側・足底深部へのイメージで走行・支配をまず整理する
  • 「足底痛=足底腱膜炎」と決めつけず、症状の場所と神経走行を照らし合わせることが評価の入り口になる

1.内側足底神経・外側足底神経とは

内側足底神経と外側足底神経は、脛骨神経の主要な終枝です。

脛骨神経は下腿後面を下行した後、内果後方→足根管→内側足底神経+外側足底神経へと分かれて足底へ向かいます。

💡 臨床ちょこっとメモ
ただし、脛骨神経が分岐する位置には個人差があり、足根管内ですでに分岐している場合もあります。脛骨神経の分岐様式や踵骨枝の起始には解剖学的変異が存在することが報告されています。

まずは大きなつながりとして、坐骨神経→脛骨神経→内側足底神経+外側足底神経というイメージを持っておきましょう。

内側・外側足底神経はどちらも、感覚だけでなく運動にも関与する混合神経です。

2.内側足底神経・外側足底神経の走行

内側足底神経

内側足底神経は脛骨神経から分かれた後、母趾外転筋の深部を通り、短趾屈筋の内側縁付近を足底前方へ走行します。その後、足趾へ向かう足底趾神経へと分岐します。

内側足底神経 → 母趾側へとイメージすると理解しやすいです。

外側足底神経

外側足底神経も母趾外転筋の深部を通過した後、短趾屈筋と足底方形筋の間を斜め外側へ走行します。その後、足底外側へ向かいながら浅枝・深枝などへ分かれ、多くの足部内在筋へ枝を送ります。

外側足底神経 → 小趾側・足底深部へとイメージすると理解しやすいです。

内側・外側足底神経の走行模式図

3.内側足底神経・外側足底神経の支配

ここは2つを比較して覚えるのがおすすめです。

内側足底神経の支配

運動支配(主なもの):

  • 母趾外転筋
  • 短趾屈筋
  • 短母趾屈筋
  • 第1虫様筋

感覚支配:足底内側〜母趾側3趾半に関与(重なりや個人差あり)

外側足底神経の支配

運動支配(主なもの):

  • 足底方形筋
  • 小趾外転筋
  • 短小趾屈筋
  • 母趾内転筋
  • 第2〜4虫様筋
  • 底側骨間筋・背側骨間筋

感覚支配:足底外側〜小趾側1趾半に関与(重なりや個人差あり)

⚠️ ポイント
足部内在筋の多くを外側足底神経が支配していることが大きな特徴です。足部内在筋機能の評価では、外側足底神経の関与も意識しておくとよいでしょう。

4.内側足底神経・外側足底神経の障害

① 内側足底神経障害 ― Jogger’s foot

内側足底神経の絞扼性障害として知られているのが、Jogger’s foot です。

ランニングなどの反復負荷に関連して生じることがあり、母趾外転筋周囲などで内側足底神経が影響を受けると考えられています。

症状として、以下のようなものがみられることがあります:

  • 足底内側〜内側縦アーチ周囲の痛み・灼熱感・しびれ
  • 母趾側へ向かう感覚異常
💡 臨床ちょこっとメモ
特に「走ると土踏まずから母趾側にしびれる」といった症状では、筋・腱だけでなく内側足底神経も選択肢に入れてみるとよいでしょう。ただし、これだけで決めつけることのないよう注意が必要です。

② 外側足底神経障害とBaxter神経

外側足底神経を学ぶ際に知っておきたいのが、Baxter神経です。

Baxter神経は外側足底神経の第一枝として踵骨内側周辺を走行し、母趾外転筋深部・短趾屈筋・足底方形筋の近傍を通る神経で、運動線維と感覚線維を含むとされています。

この神経が絞扼されると、踵骨内側〜足底踵部の痛みを呈することがあります。足底腱膜由来の疼痛と似る場合があるため、踵が痛い=足底腱膜障害と決めつけないことも大切です。

③ 足部アライメントとの関係

扁平足や過度な回内などの足部アライメントが変化すると、足底の筋・腱・神経にかかる機械的負荷も変化する可能性があります。

臨床では以下の観察も合わせて行うとよいでしょう:

  • 静止立位の足部アライメント
  • 歩行・ランニング時の足部の動き
  • 足部アーチの状態
  • 距骨下関節の動き
⚠️ 注意点
「過回内だから神経が絞扼されている」「アーチを上げれば神経障害が治る」と単純には判断できません。足部アライメントは、あくまで複数ある評価項目の1つとして捉えましょう。

5.内側足底神経・外側足底神経の評価

足底神経障害を疑った場合には、まず症状の分布から障害部位を考えることが重要です。

① 感覚を確認する

患者さんに「どこが痛いですか?」「どこがしびれますか?」と具体的に確認しましょう。

大まかな目安として:

  • 母趾側3趾半 → 内側足底神経
  • 小趾側1趾半 → 外側足底神経

ただし、支配領域には重なりや個人差があります。「母趾側だから内側足底神経」と感覚所見だけで障害部位を確定しないことが大切です。

② 運動機能を確認する

  • 内側足底神経:母趾外転・足趾屈曲を確認
  • 外側足底神経:足趾の外転・内転・小趾外転などを確認

ただし、足部内在筋は小さく、徒手的に個別の筋力を評価することが難しいです。左右差や筋萎縮、動作時の機能なども合わせて確認しましょう。

③ 神経走行上の症状を確認する

内果後方だけでなく、以下の部位における症状と神経走行の関係を確認します:

  • 母趾外転筋周囲
  • 内側縦アーチ
  • 踵骨内側
  • 中足骨頭間

Tinel徴候などが参考になる場合もありますが、単独で診断を確定する検査ではありません。

6.まとめ

① 解剖・特徴

  • 内側・外側足底神経は、脛骨神経の主要な終枝
  • 内側足底神経は主に足底内側〜母趾側、外側足底神経は足底外側〜小趾側へ走行する
  • どちらも感覚+運動を担う混合神経
  • 外側足底神経からは、踵部痛に関与するBaxter神経が分岐する

② 評価とアプローチ

  • まず症状の分布から、内側・外側どちらの神経が関与するか考える
  • 内側足底神経では母趾外転・足趾屈曲、外側足底神経では足趾の外転・内転などを確認する
  • 神経走行に沿って、母趾外転筋周囲・内側縦アーチ・踵骨内側などの症状を確認する
  • 足部アーチ・距骨下関節・歩行やランニング時の足部アライメントも合わせて評価する

③ 機能低下の影響と臨床的注意点

  • 内側足底神経障害 → 土踏まず〜母趾側の痛み・しびれ(Jogger’s foot)
  • 外側足底神経・Baxter神経障害 → 踵部痛・足底外側の症状
  • 足部内在筋機能低下 → 足趾機能や足部安定性の低下につながる可能性がある
  • 「足底痛=足底腱膜炎」「足底のしびれ=足根管症候群」と決めつけず、症状の場所と神経走行を照らし合わせることが重要

7.参考文献

  • 基礎運動学 第6版補訂
  • バトラー・神経系モビライゼーション 触診と治療手技
  • 病気が見える 整形外科
  • プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論運動器系 第3版
  • ビジュアルガイド 末梢神経と筋のみかた
  • 病態動画から学ぶ臨床整形外科的テスト
  • 足部・足関節理学療法マネジメント

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この記事の執筆・監修

執筆:内川 舜(理学療法士)運動器

監修:大塚 久(理学療法士・療法士活性化委員会 代表)