深部感覚をADLに活かす|位置覚・運動覚・振動覚の評価と臨床のコツ

深部感覚をADLに活かす|位置覚・運動覚・振動覚の評価と臨床のコツ

深部感覚とは?「目をつぶっても身体が分かる力」

  • 深部感覚は筋肉・関節・腱から生じる感覚で、位置覚・運動覚・振動覚などが代表的な分類とされています。
  • 障害されると「見えない部分のADL(袖通し・トイレ動作など)」が困難になる。
  • 評価時は触圧覚がヒントにならないよう、指の「側面」を持つなど工夫が必要。

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。今回は、前回の続きとして「深部感覚編」をお伝えできればと思います。実際にZoomのナイトセミナー「OTしゃべり場」で盛り上がった、目には見えないけれど生活に直結する感覚のお話です。

さくら
さくら
先生!前回、『深部への圧覚は深部感覚に入る』って言ってましたよね。今回はその深部感覚について教えてください!
仲田
仲田
よく覚えていましたね!素晴らしいです。深部感覚は、皮膚の表面ではなく、筋肉や関節、腱などで感じる感覚のことです。
さくら
さくら
筋肉や関節ですか…表在感覚よりもイメージが湧きにくいです。
仲田
仲田
そうですよね。簡単に言うと『目をつぶっていても、自分の身体がどうなっているか分かる力』です。代表的なものとして、位置覚、運動覚、振動覚などがあります。なお、重量覚(重さの感知)や深部圧覚(筋肉の奥への圧迫感)なども関連する感覚として挙げられることがあります。
さくら
さくら
なるほど!まずは、位置覚から教えてもらえますか?

位置覚:「今、手がどこにあるか」を感じる力

仲田
仲田
いいですよ。位置覚は『関節が今どのくらいの角度に曲がっていて、空間のどの位置にあるか』を感じる感覚です。障害されると、目で手足を見ないと動かせなくなります。
さくら
さくら
ADLだと、どんなことで困りますか?
仲田
仲田
背中に手を回す動作や、服の袖に手を通す動作ですね。目で確認できないお尻を拭く動作なんかも、手が上手く届かなくなったりします。
さくら
さくら
見えない場所のADLに直結するんですね!
仲田
仲田
その通りです。評価としては、閉眼で『母指探し試験(片方の手で、反対の手の親指をつかみにいく)』や『模倣試験(片方の手と同じポーズをもう片方の手で作る)』などを行います。
⚠️ 位置覚が障害される場面のADL例
・背中に手を回す(更衣動作)
・服の袖に手を通す(更衣動作)
・お尻を拭く(トイレ動作)
→ 「目で見えない部分」の動作に影響が出やすいです。
さくら
さくら
すぐに現場で使えそうです!次は運動覚ですか?

運動覚:「動きの方向・スピード」を感じる力

仲田
仲田
はい。運動覚は『関節がどの方向に、どのくらいのスピードで動いているか』を感じる感覚です。障害されると、歩く時に足がどれくらい上がっているか分からずつまずいたり、コップに手を伸ばす時に距離感が狂ったりします。
さくら
さくら
位置覚と似ていますが、こちらは『動き』を感じるんですね。評価はどうやりますか?
仲田
仲田
閉眼で、患者さんの指を上下に動かして『上ですか?下ですか?』と当ててもらいます。この時の超重要ポイントなんですが、指の腹や背中を触って動かすと、皮膚の感覚(触圧覚)がヒントになってしまうので、必ず指の『側面』を持って動かしてくださいね。
運動覚の評価:超重要ポイント
指の腹や背中を持つ → 触圧覚がヒントになってしまう ❌
指の側面を持って動かす → 皮膚感覚の影響を排除できる ✅
「上ですか?下ですか?」と閉眼で答えてもらう。
さくら
さくら
あ!たしかに!皮膚の感覚で分かっちゃいますね。気をつけます!

重量覚・深部圧覚:「力のコントロール」に関わる感覚

仲田
仲田
次は、重量覚と深部圧覚です。重さや、筋肉の奥の方への圧迫を感じる力です。これが障害されると、力のコントロールが難しくなります。
さくら
さくら
力のコントロールというと、握力とかですか?
仲田
仲田
そうです。例えば、紙コップを強く握りすぎてグシャッと潰してしまったり、逆にペットボトルを落としてしまったりします。立っている時に足の裏にかかる体重が分かりにくくて、バランスを崩す原因にもなります。
さくら
さくら
なるほど!物を持たせて比較したりして評価できそうですね。

振動覚:リスク管理に欠かせない感覚

仲田
仲田
最後は振動覚ですね。臨床では音叉(おんさ)を足首などの骨の出っ張りに当てて、ブルブルする振動を感じるか確認します。
さくら
さくら
振動ってADLに関係あるんですか?
仲田
仲田
直接的な動作というより、リスク管理として重要なんです。振動覚は、糖尿病性神経障害などで『一番最初に鈍くなりやすい感覚』と言われています。これが落ちていると、足のケガに気づかないリスクがあるなど、予測が立てられます。
⚠️ 振動覚とリスク管理
糖尿病性神経障害では、振動覚が早期に低下しやすいとされています。
→ 足底の傷に気づかないリスクがある
→ 音叉(おんさ)を足首の骨の出っ張りに当てて確認しましょう。
さくら
さくら
感覚って奥が深いですね!今日も頭が整理されました!
仲田
仲田
他にも質問等あれば療活の時に実際の物をみせますね。
さくら
さくら
ありがとうございます。

まとめ

  1. 深部感覚は「位置覚・運動覚・振動覚」が代表的な分類で、重量覚・深部圧覚なども関連する感覚として挙げられることがあります。
  2. 深部感覚は「見えない部分のADL」を支えている
  3. 評価の時は、表在感覚(触覚)のヒントを与えないよう注意する(指の側面を持つなど)

いかがだったでしょうか。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。

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