みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。今回は、認知機能評価でおなじみの「MMSEとHDS-Rの解釈と違い」についてお伝えできればと思います。実際にZoomのナイトセミナーで「OTしゃべり場」というADLなどを話し合う場で出てきたMMSEとHDS-Rについてを一部お伝えしていきます。
- HDS-Rは「記憶力」中心、MMSEは空間認知・動作(遂行機能)を含む幅広いテストである
- 合計点ではなく「どの項目を落としたか」でADLのつまずきを予測できる
- MMSEの図形・動作項目の低下は、更衣や調理などの動作困難に直結しやすい
MMSEとHDS-Rは「同じようなテスト」ではない

さくら
先生、今回はMMSEと長谷川式(HDS-R)を教えて下さい!どちらも30点満点の認知症のテストですよね。正直、なんとなく合計点だけを見て『20点以下だから認知症かな?』って判断しちゃっているんですが……

仲田
あるあるですね(笑)。でも、私たちOTとしては『合計点』よりも『どの項目を間違えたか』、そして『2つのテストの性質の違い』を知ることが、ADLを予測する上で超重要なんです。
⚠️ カットオフ値の目安について
HDS-Rは一般的に20点以下が認知症疑いの目安とされていますが、MMSEのカットオフ値は23点以下が目安とされることが多いです。2つのテストは基準値が異なる点にご注意ください。また、いずれの場合も点数だけでなく、項目ごとの分析が臨床では重要です。
HDS-Rは一般的に20点以下が認知症疑いの目安とされていますが、MMSEのカットオフ値は23点以下が目安とされることが多いです。2つのテストは基準値が異なる点にご注意ください。また、いずれの場合も点数だけでなく、項目ごとの分析が臨床では重要です。

さくら
性質の違いですか?同じようなテストだと思っていました。

仲田
実はけっこう違うんですよ。まずHDS-R(長谷川式)ですが、これは一言でいうと『記憶力(言語性の記憶)』に特化したテストです。

さくら
たしかに、桜・猫・電車とか、数字の逆唱とか、覚えて答える項目が多いですよね。

仲田
その通り。だからHDS-Rの点数が低い場合は、ADLの中でも『薬の飲み忘れ』や『火の消し忘れ』『直前の会話を忘れる』といった、記憶に関するトラブルが起きやすいと予測できます。
MMSEが測る「幅広い脳の機能」とは

さくら
なるほど!じゃあ、MMSEはどうなんですか?

仲田
MMSEは世界基準のテストなんですが、記憶だけではなく『空間認知』や『遂行機能(動作)』など、より幅広い脳の機能を測るのが特徴です。

さくら
空間認知……あ!重なり合う五角形を描く『図形模写』ですか?

仲田
それです!他にも『右手に紙を持ち、半分に折って、膝の上に置く』という3段階の指示に従う動作テストや、文章を書くテストがありますよね。

さくら
長谷川式には、ペンや紙を使って実際に『動作』をするテストはないですね!
⚠️ MMSEの動作課題を実施する際の注意点
図形模写や書字などの動作課題は、「ペンを握れる」「字が書ける」といった手指機能が前提になります。脳血管疾患後などで手機能に低下がある場合は、認知機能の問題なのか身体機能の問題なのかを鑑別する視点が必要です。
図形模写や書字などの動作課題は、「ペンを握れる」「字が書ける」といった手指機能が前提になります。脳血管疾患後などで手機能に低下がある場合は、認知機能の問題なのか身体機能の問題なのかを鑑別する視点が必要です。
「落とした項目」からADLのつまずきを予測する

仲田
そこが最大のポイントなんです。例えばMMSEの『図形模写』が描けない場合、空間認知が落ちているサインなので、更衣動作(服の上下や裏表がわからない)や、車椅子からの移乗で距離感が掴めずつまずく、といったADLの低下に直結しやすいんです。

さくら
なるほど!じゃあ『3段階の指示』ができない時はどうですか?

仲田
複数の工程を順序立てて行うのが苦手になっている状態なので、料理(IADL)の手際が悪くなったり、お風呂で洗う順番が分からなくなったりするサインになります。
HDS-RとMMSEを「組み合わせて」読む

さくら
間違えた項目とADLのトラブルがバッチリ繋がりました!両方のテスト結果を見る時は、どう比較すればいいですか?

仲田
例えば『HDS-Rは低い(記憶力は低下している)けれど、MMSEの図形や動作はできている』という患者さんがいたとします。どう予測しますか?

さくら
ええと……新しいことは忘れちゃうけど、空間認知や身体の動かし方は保たれているから、昔からやっている家事や着替えは一人でできる可能性が高い……ですか?

仲田
大正解です!逆に『記憶は比較的良いのに、図形や動作が全くできない』場合は、会話はしっかりしていても、いざ生活動作をやらせてみると介助がたくさん必要になるかもしれない、と予測して評価に向かえます。

さくら
点数だけ見てちゃダメですね。評価の見方がガラッと変わりました!

仲田
他にも質問等あれば療活の時に実際の検査用紙を見ながら話しますね。

さくら
ありがとうございます。
まとめ
- HDS-Rは「記憶力」中心、MMSEは「空間認知・動作(遂行機能)」を含む幅広いテスト
- 合計点ではなく「どの項目を落としたか」でADLのつまずきを予測する
- MMSEの図形・動作項目の低下は、更衣や調理などの動作困難に直結しやすい
いかがだったでしょうか。視野が広がり少しでも役に立てたのなら幸いです。

