【大腿骨頸部骨折のリハビリって?~リスク管理~】

大腿骨頚部骨折、リハビリ、リスク

みなさん、こんにちは、

療活の林です。

前回は、病態についてでしたね。

>>>大腿骨頚部骨折のリハビリって? 〜病態について〜

今回は、第2段のリスク管理についてです。


リスク管理について大事な点は3つ


1.治癒過程

2.転移程度

3.術式

です。


治癒過程


Gurlt分類が用いられます。

大腿骨頸部骨折の場合は12週間とされています。1)より

この期間は治癒が行われている期間になります。

完全な骨癒合はしていません。

そのため、早期荷重獲得のため、手術が選択される事になります。

 


次に転移程度


Garden分類が用いられます。

これはStageⅠ~Ⅳに分けられており、以下の順番になっています。

・StageⅠ:不完全骨折

・StageⅡ:転移を伴わない完全骨折

・StageⅢ:部分転移を伴う完全骨折

・StageⅣ:完全な転移を伴う完全骨折

となっています。2)より

StageⅠ,ⅡではHansson pin、cannulated cancellous hip screw(CCHS)などがあり、

StageⅢ,Ⅳでは人工骨頭置換術が選択されます。

病院によって主流な手術があると思いますので、

勤務先、連携病院の術式は確認しておいてください。


最後に術式


目的は除痛になります。

疼痛があることで、離床が困難となり、入院日数の増加や、ADLレベルの低下を招きます。

手術ではメリットとデメリットがあります。

 

Hansson pin,CCHSでは、

メリット:侵襲が少なく固定できる

デメリット:偽関節、大腿骨頭壊死、遅発性骨頭陥没(late segmental collapse:LSC)

となっています。3)より

 

人工骨頭置換術では、

メリット:転移型のstageⅢ・Ⅳに対応可能

デメリット:脱臼肢位がある

また、3つのアプローチ方法により分類されており、

  • 前外側アプローチ 伸展+内転+外旋
  • 外側アプローチ 屈曲+外転+外旋
  • 後方アプローチ 屈曲+内転+内旋

が脱臼肢位となります4)より。

 

また、人工骨頭置換術ではどのアプローチでも中殿筋や外旋6筋を切除または侵襲します。

そのため、筋の不全・筋力低下をきたしてしまいます。

ただ、病院によって多少の違いがある可能性がありますので、

勤務先、連携病院の医師やカルテは確認しておいてください。

私たちリハビリ従事者はしっかりと術式によるリスクを理解しないといけませんね。

加えて、切除・侵襲した部位もリハビリに影響するので把握しておきたいところですよね。


まとめ


脊柱圧迫骨折のリスク管理で大事なことは3つ。

1.治癒過程

2.転移程度

3.術式

リスク管理を理解し、「今よりも状態を悪くしない事」をしませんか?

次回はリハビリ時期について説明していきます。

>>>大腿骨頚部骨折のリハビリって? 〜リハビリ時期について〜

療法士活性化委員会
認定インストラクター 林 凌磨

追伸

より詳しく知りたい方は>>>大腿骨頚部骨折の評価とアプローチ法

参考文献・書籍

  1. 中村利考ほか:標準整形外科学 医学書院 2017年
  2. Garden RS:Low-angle fixation in fractures of the femonal neck. J Bone Joint Surg Br. 1961年
  3. 野々宮廣章:大腿骨頸部骨折に対する骨接合術:pin固定かscrew固定か?-Hansson pin固定の立場から. 整形・災害外科. 2010年
  4. 松原正明:「THA crossfire-股関節へのアプローチ―脱臼肢位の観点から-」日整会誌 2010年

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