こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
今回は前回に引き続き関節モビライゼーションの効果についてお話ししていきます。
関節モビライゼーションについての記事はこちら↓
関節モビライゼーションの効果
効果は大きく4つあります。
1.小さな振幅の振動と離開によって、反射の抑制をする
小さな振幅の振動と離開によって神経系に作用し、脳幹レベルで反射を抑制します。
これが大きな振幅になってしまうと関節包や靭帯が伸張されてしまい、伸張反射によって関節を固めてしまいます。なので、小さな振幅(KaltenbornのグレードのうちグレードⅡの段階)で関節モビライゼーションを行いましょう。
2.離開とすべりによって滑液の流れを促し退行性変性や疼痛予防をしていく
離開をするとその後に戻ることで圧迫が生じます。
離開・圧迫とすべりをすることによって、ポンプ作用で滑液の流れを軟骨全体に送ります。それによって疼痛や退行性変性が抑制されます。
3.強い力で関節の遊びを伸張することにより関節包・靭帯の伸張をおこなう
これは注意が必要で、前回お話ししたKaltenbornのグレードのうち、グレードⅢの段階になってしまうので、おすすめしません。
4.伸張のない関節の離開やすべりをおこなうことによって不動による退行性変性の予防や関節可動域制限の予防をおこなう
これは安静肢位をとって筋や靭帯が一番緩んでいる状態にすることによって、痛みの抑制や関節可動域制限の予防をおこないます。
関節モビライゼーションの禁忌
禁忌は3つあります。
1.関節の過可動性
2.関節滲出液の存在
3.炎症
基本的に関節モビライゼーションというのは動かす手技になりますので、動かしてはいけない状態が禁忌になってきます。
機能異常について
機能異常はどのようなところ起きるのかというと、収縮性組織(筋)と非収縮性組織(筋以外)です。基本的にはどちらにも介入しますが、結果として出てくるのは筋です。筋が収縮して関節を安定させたり動かしたり固定させたりしますが、そうする理由は非収縮性組織に問題があることがほとんどです。
例えば骨が折れた場合、骨の連続性が断たれているので、筋が収縮してそれ以上動かさない状態をつくらなければなりません。
なので、非収縮性組織の状態を良くしてあげることが大切です。
評価について
評価としては、他動運動、等尺性収縮、自動運動をみていきます。
他動運動では可動域とendfeelをみます。ここでendfeelが骨性のものであれば構造の問題なので、関節モビライゼーションは対象ではありません。ここで関節の遊びがなかったり動きが悪かったりすると、関節包や靭帯や筋膜などの非収縮性組織の問題と考えられるので、モビライゼーションの対象になります。
等尺性収縮は非収縮性組織の影響をなるべく減らした状態、つまり安静肢位でおこないましょう。痛みが出現しない・筋緊張が上がらない・関節の遊びがある状態で等尺性収縮をおこないます。何も阻害するものがない状態で収縮をするので、純粋に筋がどうなっているかをみることができます。
痛みなく強い筋力を発揮できる場合、問題はありません。
痛みはあるが力が発揮できる場合、筋の微細な損傷が考えられます。
痛みがあり力が発揮できない場合、筋の大きな損傷が考えられます。
痛みがなく力も発揮できない場合、神経の問題を考えます。
自動運動では全可動範囲を動かしてもらうことで、筋で抑制できる範囲はどれくらいか、痛みがあるかどうか、筋力があるか、どのような運動パターンで動かしているか等をみることができます。
他動運動、等尺性収縮、自動運動の評価をすることによってどこの問題なのかを評価し、非収縮性組織の滑走性の低下や反射で筋が収縮してしまうような状態があった場合にモビライゼーションが効果的になってきます。
モビライゼーションの効果としては、単純に関節包・靭帯が伸張するというよりは、そこの動きを出して血流を良くしている、神経系の反射を抑制しているということを意識してもらうと、より大きな動きというよりは反射が出ない・筋緊張が上がらないような動きでモビライゼーションができると思いますので、ぜひやってみてください。
まとめ
関節モビライゼーションの効果について
1. 関節モビライゼーションの効果には反射の抑制、退行性変性や疼痛や関節可動域の予防などが挙げられる。
2. 関節の過可動性、関節滲出液の存在、炎症がある場合には関節モビライゼーションは禁忌となる。
3. 他動運動、等尺性収縮、自動運動の評価を行い、非収縮性組織の滑走性の低下や反射で筋肉が収縮してしまう場合に関節モビライゼーションの適応となる。
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