ADL訓練のポイント from リハコヤ

毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。

 

本日はADL訓練のポイントについてお伝えします。

 

 

ADL訓練と機能訓練どちらをするべきか?

 

 

みなさんが所属している領域によって違いがあると思いますが、ADL訓練をしたらいいのか機能訓練をしたらいいのか、迷うことが多々あると思います。

 

ADL訓練をするか機能訓練をするかを決めるポイントとして①疾患、②年齢、③即時効果があります。

 

①疾患

例えば、脳卒中の発症2ヶ月目の方と発症5年目の方がいた場合、この2人のリハビリのプログラムは一緒でしょうか?

発症して間もない方に対しては麻痺の分離の促通を行いますが、発症して年月が経過している方に対してはADLのやり方次第でADL機能が向上することもあるので、動作訓練に重きを置くようなプログラムになると思います。

 

②年齢

例えば、60代の円背姿勢の方と90代の円背姿勢の方に対して立ち上がり動作の改善を図る場合、リハビリのプログラムは一緒でしょうか?

90代の方の場合、その円背姿勢の状態が何年も続いており、その方にとってその姿勢が当たり前になっています。そのような場合、円背姿勢でも立ち上がりやすいようなやり方や環境設定を考えていくことが重要になります。しかし、60代の方の場合は機能改善の余地が考えられるので、機能改善に重きを置くようなプログラムを考えるのが良いでしょう。

 

③即時効果

介入した後に効果があるかどうかも動作訓練をするか機能訓練をするかの判断基準となります。

介入後に効果がある場合は、機能改善の余地があると考えられます。即時効果が見られなくなる頃に動作訓練に移行していくのが良いと考えられます。

 

 

機能改善を図るためには?

 

 

機能改善を図るためのポイントは①マルチファクターから見たシングルファクター、②経過観察、③療法士が関われる残り時間の考慮です。

 

①マルチファクターから見たシングルファクター

シングルファクターとは明確に診断名として挙げられるもののことで、ICFでの疾患・健康状態に当たります。

マルチファクターとは明確な診断名に準ずる多因子が関わるもののことで、ICFでの環境因子や個人因子、参加・活動に当たります。

機能改善を図るためにはマルチファクターからシングルファクターを考えていくことが重要です。急性期や回復期の前半ではシングルファクターを見ることもありますが、マルチファクターから見たシングルファクターという考えを持って介入をしていきましょう。

 

②経過観察

先ほどもお話したように、即時効果がなくなってくると残存機能で動作を獲得していくことが重要になるので、経過観察をしっかりと行いましょう。

 

③療法士が関われる残り時間の考慮

回復期で在宅に帰るまであと1週間という時期にADL訓練を全くしていないのでは、その方は在宅に帰ってから生活することは難しいでしょう。回復期でも入院直後と退院間近では訓練内容を考慮する必要があります。

 

機能訓練さえ行っていればADLは自然と向上してくるということはありません。なので、機能訓練を行なってからADL訓練もしっかりと行うことが大切です。

 

 

残存機能を活かすためには?

 

残存機能を活かすためには代償があります。代償は決して悪いものだけではありません。

残存機能を活かすためには、まず基本動作を知っておくことが大切です。そして、基本動作に近い形を代償でどう再現できるかを考えていきます。

さらに、福祉用具をしっかりと把握しておくことが大切です。

 

 

まとめ

 

ADL訓練のポイントについて

1. ADL訓練をするか機能訓練をするかを決めるポイントは疾患、年齢、即時効果である。

2. 機能改善を図るためのポイントはマルチファクターから見たシングルファクター、経過観察、療法士が関われる残り時間の考慮である。

3. 残存機能を活かすためには基本動作を知り、その基本動作に近い形を代償でどう再現できるかを考えていく。また、福祉用具の把握も大切である。

 

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