リハビリに必要な物理学について〜エネルギーと仕事〜

リハビリに必要な物理学について〜エネルギーと仕事〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日も前回に引き続き、物理についてお話ししていきたいと思います。

 

前回の記事はこちら↓

リハビリに必要な物理学について〜力とは?〜

リハビリに必要な物理学について〜圧力と応力〜

 

体を動かすには必ずエネルギーが必要になってきます。この内容がわかると、患者さん・利用者さんがどれくらい動くためにどれくらいのエネルギーが必要になるのかがわかってきます。

 

 

エネルギーとは?

 

 

エネルギーとは、仕事をする能力のことで、単位はJ(ジュール)です。ただし、栄養や食品に関してはcal(カロリー)が用いられることもあります。

エネルギーには種類があり、光、熱、電気、化学、運動、位置エネルギーなどがあります。

 

これらのエネルギーは増減させることなく変換することができます。筋収縮は化学エネルギーから運動エネルギーへ、マイクロ波は電気エネルギーから熱エネルギーへ、赤外線は光エネルギーから熱エネルギーへ変換しています。このように、物理療法ではエネルギーの形を変えて体に作用させていることが多いです。

 

 

仕事とは?

 

仕事とは、物体にエネルギーを加えて動かすことで、単位はJ(N・m)です。

仕事率とは、単位時間あたりの仕事量のことで、単位はW(ワット)、P=J(仕事量)/t(時間)で求めることができます。

 

 

運動エネルギーについて

 

 

運動エネルギーとは、物体の運動に伴うエネルギー、つまり身体を動かした時に発するエネルギーのことです。物体の運動エネルギーの変化量は、その物体に与えられた仕事量に等しくなります。

 

 

位置エネルギーについて

 

位置エネルギーとは、物体がある位置にあることで物体に蓄えられるエネルギーのことです。例えば、ばね秤に錘をつけたときに、伸びたばねが戻ろうとする力が位置エネルギーです。

 

ここで特に重要なのが、重力による位置エネルギーです。私たちには常に重力がかかっているので、常に位置エネルギーを持った状態で存在しています。

 

位置エネルギーと運動エネルギーを合わせた力学的エネルギーは常に一定です。これを力学的エネルギー保存則と言います。

 

 

歩行との関連は?

 

これは歩行にも関連しています。歩行は位置エネルギーと運動エネルギーの変換の連続によって起こります。

立脚中期では位置エネルギーが最大で運動エネルギーは0です。立脚後期では位置エネルギーが0になるので、力学的エネルギー保存則により運動エネルギーは立脚中期の位置エネルギーに等しくなります。つまり、立脚中期の位置エネルギーが立脚後期の運動エネルギーに変換されるということです。

 

このことから、立脚中期〜立脚後期がなければ、重力を使って前に進むことはできません。

股関節伸展・足関節背屈が出ると、重力を使って立脚中期の位置エネルギーを立脚後期の運動エネルギーに変換することができます。このような歩行であれば、エネルギーの消費が少なくて済むので、普通に歩いていて疲れません。

しかし、これが変性疾患などにより股関節伸展・足関節背屈が出なくなれば、重力を使って前進することができません。さらに、立脚初期から立脚中期まで(運動エネルギーを位置エネルギーに変換する部分)しか作れず、持ち上げるだけの力が必要になるので、疲れやすくなります。

 

このように物理的に考えると、立脚中期〜立脚後期がなければ、余計に運動をしなければならないので、歩行距離が短くなったり疲れやすくなったりするのは当たり前のことです。その状態で歩行を継続するよりも、まずは立脚中期〜立脚後期が作れるような歩行を目指す必要があります。

 

 

まとめ

 

リハビリに必要な物理学について〜エネルギーと仕事〜

1. 位置エネルギーとは、物体がある位置にあることで物体に蓄えられるエネルギーのことであり、その中でも重要なのが重力による位置エネルギーである。

2. 位置エネルギーと運動エネルギーを合わせた力学的エネルギーは常に一定である。(力学的エネルギー保存則)

3. 歩行は位置エネルギーと運動エネルギーの変換の連続によって起こる。立脚中期〜立脚後期が作れると、位置エネルギーを運動エネルギーに変えることができるので、少ないエネルギー消費で歩くことができる。

 

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