こんにちは、療法士活性化委員会委員長理学療法士の大塚です!
前回から動作の段階付けに関してのシリーズを始めました。今回は仰臥位(背臥位)について解説します。仰臥位(背臥位)は人の姿勢の中で一番支持基底面が広く、安定している姿勢です。仰臥位(背臥位)で重要になるのが視点のコントロール(頭部の回旋)と屈曲方向の運動になります。
仰臥位(背臥位)とは?
身体の長軸を重力ベクトルに対して水平に静止させた水平位(horizontal position)の一種であり、背部を地につけ臥床させた、いわゆる仰向け(あおむけ)に寝た姿勢のことである。
中略重心が低くモーメントとして安定しており、背部が基底面となり身体の支持面も広いことから物理学的・生理学的な静止状態を得られやすい体位である。また、全身の筋肉の緊張が最小で、骨格や腱などの運動器系に対する重力負荷がほとんどないことから、生体エネルギーの消耗を最も節約できる体位とされている。
引用:ウィキペディア
要は一番楽で安定する姿勢です。人の動作の獲得はまず仰臥位(背臥位)が基準となり寝返り、伏臥位、四つ這い、坐位、立位と獲得していきます。
動作の段階付けができることで期待できること
ひとの動作には
- 臥位で行うもの(寝返り、起き上がりなど)
- 坐位で行うもの(立ち上がり、食事、排泄、机上動作など)
- 立位で行うもの(歩行など)
の大きく分けて3つの段階があります。
リハビリではこの中でできなくなった動作を獲得していきますが、坐位が不安定だから坐位訓練、立位が不安定だから立位訓練を選択してしまいがちです。
しかし、坐位に必要な機能、立位に必要な機能を獲得していないと、代償動作を利用してしまいます。結果、代償動作を利用した坐位や立位を獲得してします。
そこで重要なのが動作の段階付け、坐位ができない場合は臥位、立位が取れない場合は坐位での動作を行うことで代償動作を利用しない動きを獲得していきます。
仰臥位(背臥位)で獲得する機能は?
発達段階で見ると
1ヶ月目:頭部の回旋、四肢のランダムな運動
2ヶ月目:頚部の回旋、相反性キッキング減少、追視
3ヶ月目:正中指向、手を口に運ぶ、on elbow (45~90°頭部拳上)
4ヶ月目:定頸、on elbow(頭部を90°拳上)、目-手の関係性、寝返り(背臥位~側臥位)
つまり仰臥位(背臥位)では
- 頭部の回旋
- 追視
- 頸部の回旋
が必要になります。
頭部・頸部の回旋、追視に必要な機能
頚椎の可動性、僧帽筋・胸鎖乳突筋などの筋力・伸長性、脳浮腫の状態、意識レベル
が関与してきます。
介入方法は?
頚椎のモビライゼーション(動画は腰椎)
僧帽筋・胸鎖乳突筋のリリース
運動療法(頸部屈曲からの頸部回旋)
追視(目から30㎝離した位置で動かす(遅い→速い))
次の段階は?
仰臥位(背臥位)での機能を獲得したら次は寝返りから伏臥位での頸部のコントロール、肩甲帯・上肢の支持性の向上に移行していきます。
さいごに
動作の段階付けは片麻痺や小児以外でも応用ができます。大塚自身は整形外科クリニックの外来を担当していた時、歩行が不安定な場合必ず寝返りから確認していました。一見遠回りに見えますが、動作の段階を評価することで効率的にリハビリが進みます。皆さんも是非活用してみてください。
>>>発達から見る動作の回復過程
療法士活性化委員会 委員長
理学療法士 大塚 久
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