『家から10分のスーパーに歩いて行きたい』歩行を中心に考えてみる[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その120~]

『家から10分のスーパーに歩いて行きたい』歩行を中心に考えてみる

こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。

 

たとえば「家から徒歩10分のスーパーに
歩いて買い物にいけるようになりたい」というゴールを立てたとします。

「連続歩行時間」「持久性」を評価するのは大事なんですが、
具体的にどう歩行を見るのか?という点は
けっこう迷うんじゃないかなっと思っています。
(私がそうでした。)

今回は、「買い物をする」ことについて
歩行を中心に考えてみたいと思います。

買い物にもとめられる身体機能とは?

前回のコラムでは、買い物の工程分析を行いました。

工程分析の結果、歩きながら自由に上肢を活用できることが、
買い物をすることに求められることがわかりました。

そもそも歩行って、どう見るの?

歩行といえば、下肢のリズミカルな動きを示した「歩行周期」をみることが多いですよね。

(画像引用元:畠中 泰彦.歩行分析・動作分析のグローバル・スタンダード─最近の知見と治療に役立つ分析のポイント─.理学療法学 40(8). p567.2013.

下肢に注目しがちですが
下肢だけでなく体幹もリズミカルに動くことで、
歩くことができます。

もし、荷物をもっていると
この動きにどう影響するでしょうか?

そもそも歩行って、どう見るの?

3パターンの歩き方を、矢状面(上)・前額面(下)で
右足を前に出して歩く様子を並べてみました。

それぞれのグループで、どんな特徴があるのか
以下で観察してみます!

緑・青のグループの特徴



まずは、緑・青のグループを分析してみます!

緑・青のグループでは、
矢状面では体幹が丸くなっていたり、前傾して荷物を握りしめる様子がみられます。

これは、荷物の重さを上肢で支えきれないため
体幹(特に背筋群)での支持で代償しているためです。

そのため、上肢と体幹の動きが
一緒くたになりやすい状態といえます。

さらに、前額面でも違いがあります。

緑のグループでは右下肢へ荷重する際に、体幹も右へ揺れ動く様子がみられ
左右のふらつきに対応しにくい様子がうかがえます。

青のグループでは、体幹が左に揺れ動く様子がみられ
こちらも左側へバランスを崩しやすいと考えられます。

 

ピンクのグループの特徴

続いて、ピンクのグループを分析してみます。

矢状面で見ると、ピンクのグループでは、
荷物の重さに引っ張られて
前傾姿勢になったり、背中が丸くなる様子はみられませんね。

緑・青のグループと見比べてみて
荷物を持っている上肢と、体幹の動きは
それぞれ独立しているように感じます。

また、前額面でみてみても
体幹は正中線上で安定しながら、しっかり右下肢へ荷重していることが
観察できます。

 

以上をまとめると
荷物をもっていても、体幹をスムーズに動かせることが
買い物中の歩行に大事であることがわかります。

まとめ

今回は、買い物中の歩行について考えてみました。

上肢がフリーの状態で歩くときとくらべて、
買い物中は荷物を持っている影響をかんがえておくことも
一つのポイントとなりそうですね。

たかだか買い物の荷物、と感じる部分もあるかもしれないですが

健常な方の感覚で、買い物が難しいと感じている方の感覚をたとえると
「分厚い解剖学、運動学、生理学などの教科書が満載のバッグを、
 両手にぶらさげて帰宅する」
みたいなしんどさがあります。

(養成校でロッカーがあった方は、
 卒業時に荷物をすべて引き上げたときの苦労を
 思い出してみてください。)

そんな苦労が待ち受けていることは
ご本人も承知のはずですので

その方に、買い物はどんな意味があるのか?
どうして買い物がしたいのか?

ここをヒアリングしたうえで、
『じゃあ、どうしたら買い物できるだろう?』
と考えられるとステキじゃないかなって思います。

さて次回は、上肢と歩行時のふらつきの関係について
もう少し掘り下げていきたいと思います。

 

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療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平

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