上腕骨近位端骨折のリハビリ〜評価とアプローチ〜

上腕骨近位端骨折の評価とアプローチ

みなさん、こんにちは!
理学療法士の林です。

みなさんは「上腕骨近位端骨折」の評価とアプローチはどうされていますか?

担当すると、
「夜寝ていると痛くて寝れない」
「腕が挙げにくい」
「服が着にくい」
など様々な訴えがありますよね?

自分もリハビリをする時にとても悩んでいました。。。

そんな自分も少しでもリハビリで成果を出したい!
患者さん、利用者さんに良くなってもらいたい!
と思い病態を調べ、評価方法、アプローチ方法を勉強しました。

みなさんとも考え方を共有して少しでも
「上腕骨近位端骨折」の患者さん、利用者さんの機能を改善していきましょう!

〈目次〉

1、上腕骨近位端骨折の病態
2、上腕骨近位端骨折の評価
3、上腕骨近位端骨折のアプローチ
4、上腕骨近位端骨折のまとめ

1、上腕骨近位端骨折の病態

・高齢者によくみられる
・肩を地面にぶつける、地面を手についた時に受傷
・片麻痺患者では麻痺側へ転倒し受傷
となっています。

骨折の重傷度は「Neer分類」を用います。
1-part 不全骨折
2-part 完全骨折
3-part 完全骨折 骨転位あり
4-part 完全骨折 骨転位あり 整復不能

対応策として
「プレート固定法」、「髄内釘固定法」、「人工骨頭置換術」
を行います。

では骨治癒がどれぐらいかかるかというと、、、
実はCordwell分類によって目安が出ています。
またその時期に行うリハビリの指標もある程度出ています。

Cordwell分類

1、仮骨形成期 2~4週
―患部を固定し、肩甲胸郭関節・90°までの上肢挙上・外転ROMex、患部外の筋力強化

2、骨癒合期 6週
―Wiping ex、肩関節自動介助ROMex、肩甲胸郭関節の周囲の筋力強化

3、機能回復期 8~12週
―最終域での肩関節周囲のROMex、筋力強化
上記の内容がおおよそ期間と内容になります。

ただこの期間中でも疼痛や関節可動域の制限が少しでも無いほうがいいですよね?
改善するために機能面の評価が必要となってきます!

2、評価

評価では「動作観察」「関節可動域」「筋力」を行います。

手順は
まず「動作観察」を行います。
具体的には

・ADL観察
「結髪」「結帯」「着衣」など普段困っている動作の確認

・基本動作「寝返り」
肩甲骨がパターン通りに動けているか

・スクリーニング
座位で上肢を挙上します。
ポイントは
1、体幹が伸展位で保持できるか
2、肘が伸展位で保持できるか

次に機能評価を行います。

関節可動域
・胸椎→Finger Floor Distance
・肩甲胸郭関節→Scapula Movement Test
・肩甲上腕関節→Load and Shift Test
ポイントは関節が動くか動かないかです。

筋力
・最長筋→体幹の伸展
・前鋸筋→肩甲胸郭関節の上方回旋
・棘上筋→肩甲上腕関節の安定性
ポイントは左右差を比べることです。

手順は動作をみて、関節可動域と筋力を評価することで
患者さん、利用者さんの問題点を探ることができます!

3、アプローチ


では評価の統合と解釈によって得られた情報からアプローチ方法を選択していきます。

まず筋が付着している骨を動かして動きやすい状態にするために〈関節モビライゼーション〉をやっていきます。
胸椎
肩甲胸郭関節
肩甲上腕関節
で関節の動きを出していきます。

関節の動きを出した後は〈筋膜リリース〉を実施します。
「菱形筋」
小胸筋
棘下筋肩甲下筋
で短縮、伸張性の低下した筋を緩めていきます。

それでも動作が改善しない時は〈運動療法〉を行います。
胸椎・僧帽筋下部→Trunk Bending Exercise
肩甲胸郭関節・前鋸筋→Reaching Exercise
肩甲上腕関節・棘上筋→45°Abduction Exercise
となります。

問題から必要なアプローチを選択し実施していきます。

その際にポイントになるのが触診になります。
アプローチする部位に触れられると効果がより倍増していきます!

4、まとめ

上腕骨近位端骨折の評価とアプローチ方法は
病態を知り、現在必要な評価を行い、
得られた情報からアプローチ部位を決めていきます。

例えば、

「動作観察」
結帯動作ができない→スクリーニングで体幹が屈曲してしまっている→寝返りで肩甲骨が動いていない

「評価」
肩甲上腕関節の関節可動域の制限がある、前鋸筋の筋力低下がある

「アプローチ」
肩甲上腕関節のモビライゼーション・小胸筋のリリース→結帯動作に変化が少ない→45°Abduction・Reaching ex→結帯動作の改善!
などが考えられます。

一見すると大変だと思います。。。

ただ1つずつ評価をすることで患者さん、利用者さんへ変化出すことができます!
変化が出ることで喜んでもらえるので嬉しくなりますよね!!

詳しい病態の整理や評価とアプローチ方法はこちらで確認していきませんか?
>>>「肩関節疾患に対する評価とアプローチ」<<<

療法士活性化委員会
認定インストラクター 林凌磨

参考文献
1)理学療法ハンドブック(改訂第4版)第3巻 疾患別・理学療法基本プログラム
細田多恵+柳澤健 編集
2)動作分析 臨床活用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践 石井慎一郎 著
3)よくわかる 首・肩関節の動きとしくみ 「動き」と「痛み」のメカニズムを図解で学ぶ! 障害を解くカギ 永木和載 著 大平雄一 監修

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