高次脳機能障害について勉強してみる 〜症状と評価法〜

高次脳機能障害について勉強してみる〜症状と評価法〜

こんにちは、療法士活性化委員会委員長の大塚です。

理学療法士大塚久

今回はよく臨床の悩みで聞かれる高次脳機能障害についてです。大塚自身も曖昧な部分があったので、「そもそも高次脳機能障害って何?」ってところから勉強してみました。それでは内容に入ります。

高次脳機能障害って?

「高次脳機能障害」という用語は、学術用語としては、脳損傷に起因する認知障害全 般を指し、この中にはいわゆる巣症状としての失語・失行・失認のほか記憶障害、注 意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが含まれる。

引用:高次脳機能障害者支援の手引き 国立障害者リハビリテーションセンター

高次脳機能障害は外見状わかりにくいという特性があるため、当事者や家族、周囲の関わる人たちが困惑してしまうことが多々あります。地域社会で安心して死活していくには関係者を含めた地域社会全体が適切な知識を共有する必要があります。

高次脳機能障害ってどんな症状があるの?

大きく分けて4つ

  1. 記憶障害
  2. 注意障害
  3. 遂行機能障害
  4. 社会的行動障害

が挙げられます。

記憶障害

前向性健忘:受傷後の障害。新しい情報やエピソードが覚えられない

逆行性健忘:発症以前の記憶が思い出せなくなる、特にエピソードや体験に関わる記憶が障害される。思い出せない物は作話する傾向

注意障害

  • 全般性注意障害

集中困難・注意散漫:ある刺激に焦点をあてることができない。他の刺激に気を取られがち

注意の持続・維持困難:集中はでいるけど、継続できない。15分が限界。

  • 半側空間無視

脳損傷と反対側の空間において認知できなくなる。特に右半球損傷でみられることが多い。同名半盲と間違えやすい。同名半盲は視野の欠損。

遂行機能障害

目的に適った行動計画の障害:実行はできるけが、計画は立てられない。段階的な方法で指示されれば活動を続けることができる。

目的に適った行動の実行障害:自己と環境を客観的に見る過程の障害。いわゆる空気読めない感じになる。

社会的行動障害

  • 意欲・発動性の低下:体は動くけど動く気力がでない
  • 情動コントロールの障害:感情が増幅した状態でストレートに出る
  • 対人関係の障害:話の裏や行間が読めなくなる
  • 依存的行動:自分ではどうしていいかわからないから依存する。
  • 固執:決まったことならできるので新しいことは受け入れにくくなる。

高次脳機能障害と間違えられやすいもの

  • せん妄:意識障害、幻覚、運動不穏を伴うもの。診断されれば回復可能。
  • 認知症:認知症とは、「発達期以降に生じた脳障害のために、全般的に知的能 力が低下し、日常生活に支障をきたすようになった状態」

高次脳機能の評価と予測

まず脳画像から大まかに高次脳機能障害を予測してみましょう。
以下の大脳の高次脳機能障害の大まかなマップを用いてみると分かりやすいと思います。

先のマップを用いて以下の脳画像の高次脳機能障害を予測してみましょう!!

予測はSNSにコメントをお願いします。

予測した上で実際の面接

  1. 症状の日内変動があるかないか? ある→せん妄
  2. 全般的な知的障害があるか? ある→認知症
  3. 各高次脳を検査

の順で見ていきましょう。

特に重要なのは注意障害

注意はすべての認知機能の基盤であり、広く社会生活を営むためのあらゆる行動に含まれるため、まず最初に評価してみましょう。

注意障害がある場合に注意する点は

  1. なるべく個別に対応できる部屋で同じ療法士が担当する
  2. 短時間でできる課題と休息をしっかりとる
  3. 特徴に合わせて課題を選択する

ことが重要になってきます。

例えば

「左隣からはイヤフォンの音が漏れていて、前には大きな声で携帯で喋る人が座り、右隣ではカップルがいちゃついていて、目がチカチカするくらい明るい日差しの中でクロスワードパズルを完成させる」

を想像してみてください。
このような状態が注意障害の方は常に体験しています。高次脳機能障害は体以上に頭に負担がかかり大きなストレスになります。必ず課題の難易度を考慮し、休息をとるようにしましょう。

今回はここまで次回は具体的なアプローチ方法についてお伝えしていきます!!
>>>高次脳機能障害について勉強してみた 〜介入法〜
では!

高次脳機能障害に対する勉強会

1月25日(土)18時〜20時で開催予定です。
こちらは「脳血管疾患に対する評価とアプローチ〜麻痺の分離と促通法と動作の再獲得〜」にお申し込みの方が対象です。一緒に脳血管疾患に対するリハビリを学びませんか?

療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。

ありがとう

参考文献・資料

1)高次脳機能障害者支援の手引き 国立障害者リハビリテーションセンター

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