こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
患者さんから聞かれる訴えで「痛み」ってすごく多くないですか?しかも痛みの評価って正直よくわからない。症例で発表しても「痛みをきちんと評価した方がいいね」と言われますがVRSや、せいぜい「〇〇をしたときに△△痛い」ぐらいで結局よくわからないってことがよくあります。そこで今回は痛みの評価について勉強してみたいと思います。
痛みの評価が難しい理由
そもそも痛みの感覚は共有できるものではありません。対象者が感じている「痛み」と対象者の訴えから療法士が想像している「痛み」が同じものとは限りません。むしろ違います。
なので主観的な評価がほとんどで、客観的に見ることができないため、痛みを数値化して評価することは困難です。
さらに痛みとは「不快な感覚かつ感情体験」というものが含まれます。前回の記事を参照
不快な情動体験は個人によって変化し、さらにその時の精神状態だったり、身体状態が変化することで疼痛の域値が変化します。これが痛みの評価が難しい原因となっています。
ではそもそも評価するのが難しい痛みですが何を評価するか整理してみましょう。
痛みの評価項目
- 痛みの原因:明確な原因があれば聞く、慢性疼痛の場合思い出せないことも多い。交通事故、外傷など
- 痛みがある期間:最初に痛みを感じてから現在までにどのくらいの期間か?特に3ヶ月以上続くは慢性疼痛と定義されます
- 痛みの頻度:痛みが出る頻度です。1日で何回、1週間に何回、〇〇の動きをしたときなどです
- 痛みの強さ:VAS、VRSなどで評価しましょう
VAS(visual analogue scale)
VRS(verbal rating scale) - 痛みの強さの変化:最初に痛みを感じた時から痛みが変化しているか?増悪、軽減しているか?または動作によって変化するか?1日の中での変動も評価します
- 痛みの部位:具体的に痛みの出る場所を指していただきます。痛みがはっきりしている場合は指で示すことが多いですが、慢性的な痛みの場合は大きな範囲を示す傾向にあります。
日本語版Pain Detect - 痛みの性質:ピーンとするような、ずきずき、うずくような、重い感じなど、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛などのヒントになります
日本語版短縮マギル疼痛質問表
日本語版Pain Detect - 痛みに影響を与えるもの:天気、痛みが出る前の行動、疲れなどを評価します
- 活動に対する影響:痛みでできないことを評価します。仕事、家事、趣味などを聞いてみましょう
疼痛生活障害評価尺度 Pain Disability Assessment Scale:PDAS)
WHO-HPQ(WHO Health and Work Performance Questionnaire, short form) - 障害補償の有無:これは交通事故などにしばしばみられます。手続きが終了していない時は痛みが持続することもあります。
- これまでの治療:今までに受けた治療(民間療法を含む)を聴取します。また治療後の経過なども合わせて聴きましょう。
- 現在及び過去の薬物療法:投薬していた薬がある場合は聴取します。
大きく分けてもこの11項目を評価する必要があります。さすがに多いと感じますよね?しかしこれらを評価した上で総合的に判断して痛みに対してアプローチを行います。
活動に対する影響
11項目全て大事ですが、リハビリの中であえて一つ挙げるとすれば、活動に対する影響だと考えます。
リハビリでは対象者が何かしらの日常生活に問題があり、その日常生活が問題なく遅れるようになることが目的です。なので痛みが原因でどんな日常生活に問題があるかを必ず評価しましょう。
そして問題となっているADLが特定できたらその中で、
- 痛みの部位
- 痛みの頻度
- 痛みの強さ
- 痛みの変化
を評価していきます。
痛みを意識させすぎるのも痛みの原因になりうる
そもそも痛みは「不快な情動体験」を伴うものでした。なので痛みを細かく評価すること事態が、「これで自分は痛い」という感覚入力を繰り返すため、その評価が不快に感じることになります。そうなると「痛みの検査」そのものが痛みの原因となってしますことがあります。
さらにそれを繰り返すことにより神経可逆性疼痛に移行し慢性的な痛みとして残ってしまうこともあります。
そこで意識してもらいたいのが声かけの方法です。
例えば痛みの変化を聞く場合
「どの動きで痛くなりますか?」
ではなく
「痛くない動きかたはありますか?」
痛みの頻度を聞く場合
「痛みが出るのはいつですか?」
とともに
「痛みが出ない時はありますか?」
など痛くない状態を意識できるような声かけをしてみましょう。
まとめ
痛みの評価は
- そもそも痛みの感覚は共有できないので定量的な帆床が困難
- リハビリでは痛みでどんな日常生活が障害されているかをまず評価する
- 痛みを意識させすぎるとその評価そのものが痛みの原因となりうる
この3つがポイントとなります。
痛みを理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
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療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
あなたも当たり前のことができるようになり「ありがとう」と言われる療法士になりませんか?
参考文献・資料
- WHO 国際疾病分類の第11回改訂版(ICD-11)21 MG30 Chronic pain 2018.6.18
- Aya Nakae and Takashi Mashimo Pain and emotion PAIN RESEARCH 25(2010) 199–209
- Hinrichs-Rocker, A., Schultz, K., Jarvinen, I., Lefering, R., Simanski, C., Neugebauer, E.A., Psychosocial predictors and correlates for chronic post-surgical pain(CPSP) – a systematic review Eur. J. Pain, 13 (7) (2009) 719-730
- 山下 裕, 西上 智彦, 壬生 彰, 田中 克宜 日本語短縮版Pain Catastrophizing Scaleの信頼性と妥当性の検討 第51回日本理学療法学術大会 抄録 2016Vol.43 Suppl. No.2
- PRiCO(ぷりこ)さんによるイラストACからのイラスト
- 筒井よしほさんによるイラストACからのイラスト
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