心不全について勉強してみた

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

リハコヤで心エコーの見かたについてディスカッションがあって、その中でのやり取りが非常に勉強になったので今回は心不全の基礎の部分をまとめてみようと思います。
リハコヤについてはこちら>>>リハビリで悩む療法士のためのオンラインコミュニティ「リハコヤ」
特に心臓はリスクの高い臓器ですが、バイオマーカー、心電図、心エコー、冠動脈造影など正直苦手な部分もあると思うのでこれを機会にちょっとでも見てみてください。

心不全とは?

なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果,呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群

急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)

要は心臓に何らかの問題が起き、それによって心臓以外に症状が出ている状態です。

大事なことは全身に影響が出るということです。

 

心不全が起きるどうなる?

心臓は簡単に言うとポンプ作用で血液を送り出す役割があります。そのポンプ機能が落ちるということは、送り出す血液が減る(心拍出量低下)、送り出せないので戻せない(静脈系のうっ血)がおきます。そして拍出低下やうっ血が起きると心臓の機能をサポートするためにホルモンにも影響が出でます。

  • 動脈系(心拍出量の低下):脳(認知機能の低下)、腎蔵(尿量の減少による毒素の排出低下)、筋肉(筋出力の低下)
  • 静脈系(うっ血):肺(肺水腫、肺うっ血)、肝臓、腎臓、下腿(浮腫)

などがおきます。

心不全の症状

心不全の種類

大きく

  • 駆出率が低下した状態
  • 駆出率の保たれた状態

の2つに別れます。

駆出率が低下した状態

心筋の収縮力が弱くなり、心臓から送り出す力が弱くなります。

駆出率の保たれた状態

心筋が硬くなることで十分に拡張できなくなり、心臓に血液を取り込む能力が低下します。

*一回の拍動で心臓から送り出される血液の割合を駆出率といい、左心室の正常な駆出率は55〜60%です。

 

心不全の主な症状

自覚症状

  • いつもの動作で息切れを起こす
  • 不眠(苦しくて目が覚める)
  • 足のむくみ
  • 疲れ、だるさ
  • 夜間の頻尿

 

他覚症状

  • 肺水腫(肺うっ血):呼吸困難
  • 低心拍出:四肢末梢の冷感、腎機能・肝機能低下
  • 溢水:足のむくみ、胸水、下大静脈
  • 心不全サルコペニア(フレイル)

特に注意が必要なのは心臓に異常がある方の中で

他覚症状はあるけど、自覚症状がない場合があります。自覚症状ももちろんですが、心電図、心エコー、冠動脈造影と合わせて評価しましょう。

 

参考

American College of Cardiology/American Heart Associationによる病期の分類

A:心不全のリスクが高いが,心臓の器質的または機能的異常も症状も認めない

B:心臓の器質的または機能的異常を認めるが,心不全症状は認めない

C:心不全症状を伴う構造的心疾患を認める

D:高度な治療(例,機械的循環補助,心臓移植)または緩和ケアを必要とする難治性心不全

 

NYHAの分類

  1. 心疾患はあるが身体活動に制限はない.日常的な身体活動では著しい疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じない
  2. 軽度ないし中等度の身体活動の制限がある.
    安静時には無症状. 日常的な身体活動で疲労,動悸,呼吸困 難あるいは狭心痛を生じる.
  3. 高度な身体活動の制限がある.安静時には無症状.
    日常的な身体活動以下の労作で疲労,動悸,呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.心疾患のためいかなる身体活動も制限される.
  4. 心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する.
    わずかな労作でこれらの症状は増悪する.
  5. 高度な身体活動の制限がある.安静時には無症状.
    日常的な身体活動以下の労作で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる.
  6. 心疾患のためいかなる身体活動も制限される.
    心不全症状や狭心痛が安静時にも存在する.わずかな労作でこれらの症状は増悪する.

心不全の評価

  • 心電図:不整脈の評価
  • 心エコー:心ポンプ機能の評価
  • 冠動脈造影:心虚血の評価
  • >>>こちらはまた後日記事にします。
  • 血液検査
  • 身体機能の評価:上腕周囲計、筋力(握力)、歩行速度(10m)、総合評価(SPPB)など

急性期や回復期でモニタリングができる場合はいいですが、在宅などは困難なことも多いです。そいういう場合は必ず症状を確認しましょう。

一つの指標としてはADL動作特に

  • 階段昇降
  • 歩行
  • 家事

動作で症状が出る場合は心臓に何かしらの負担がかかっているんじゃないかと考えましょう。

 

心不全の治療

病態に基づく治療

  • 拍出量の低下(強心薬など)
  • うっ血(利尿薬、血管拡張薬)
  • 心ポンプ機能(補助循環法)

慢性期

  • 内服薬
  • 運動
  • 栄養

まとめ

心不全について

  1. 全身の状態に影響する
  2. 自覚症状、他覚症状、検査データを統合して見る必要がある
  3. 心不全によるサルコペニアもあるため、身体機能の評価も大事

リスク管理をする上で「苦手だから」で済まない部分でもあります。わかるところから少しづつ学んでいきましょう。

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