第55回理学療法士国家試験 午前 第97問

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

問 

統合失調症に特徴的な思考の障害はどれか。

  1. 思考が緩徐でうまく進まない。
  2. 思考の進行が突然遮断され、会話が停止する。
  3. まわりくどく、要領よく思考目標に到達できない。
  4. 観念の間に論理的な関連がなく、意識の混濁を伴う。
  5. 観念が次々に沸き起こるが、つながりは表面的で目標から外れていく。

 

解答

2

 

解説

統合失調症とは

統合失調症は、こころや考えがまとまりづらくなってしまう病気です。そのため気分や行動、人間関係などに影響が出てきます。統合失調症には、健康なときにはなかった状態が表れる陽性症状と、健康なときにあったものが失われる陰性症状があります。

陽性症状の典型は、幻覚と妄想です。幻覚の中でも、周りの人には聞こえない声が聞こえる幻聴が多くみられます。陰性症状は、意欲の低下、感情表現が少なくなるなどがあります。

周囲から見ると、独り言を言っている、実際はないのに悪口を言われたなどの被害を訴える、話がまとまらず支離滅裂になる、人と関わらず一人でいることが多いなどのサインとして表れます。

厚生労働省 みんなのメンタルヘルスより引用

https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_into.html#:~:text=%E7%B5%B1%E5%90%88%E5%A4%B1%E8%AA%BF%E7%97%87%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D,%E3%81%AF%E3%80%81%E5%B9%BB%E8%A6%9A%E3%81%A8%E5%A6%84%E6%83%B3%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

 

症状

陽性症状

  • 妄想
  • 幻覚
  • 思考障害:考えにまとまりがなくなる。考えが急に中断されて言葉が出なくなる。(思考途絶)

 

陰性症状

  • 思考の平板化
  • 思考貧困
  • 意欲の欠如
  • 自閉

 

認知機能障害

  • 記憶力の低下
  • 注意・集中力の低下
  • 判断力の低下

 

経過

  • 前兆期:焦り、不安感、集中力低下、寝つきが悪い
  • 急性期:不眠、幻聴、妄想
  • 消耗期:意欲低下
  • 回復期

 

原因

現在ではわかっていません。一つの原因に起因するのではなく、もともと持っている器質的なものに環境因子が加わり発症するとも考えられています。

 

治療

薬物治療+リハビリテーション

これらを踏まえて問題文を見てみると

  1. 思考が緩徐でうまく進まない。
    →思考制止。うつに見られる症状。
  2. 思考の進行が突然遮断され、会話が停止する。
    →思考途絶。正しい。
  3. まわりくどく、要領よく思考目標に到達できない。
    →迂遠。認知症やてんかんに見られる。
  4. 観念の間に論理的な関連がなく、意識の混濁を伴う。
    →思考錯乱。症状性精神病に見られる。
  5. 観念が次々に沸き起こるが、つながりは表面的で目標から外れていく。
    →観念奔走。躁鬱病に見られる。

 

ですので、解答は2となります。

 

これを臨床で活かすには?

統合失調症は再発しやすく、原因がはっきりしていない病気です。特に精神科作業療法が重要で、作業療法、SST、心理教育などを通して、社会生活に慣れるように支援していきましょう。

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