第56回理学療法士国家試験 午前 第12問

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

問 

図に示す方法で股関節に 30 Nm の外転トルクを生じさせる等尺性筋力増強運動 を行った。作用点 B の力として正しいのはどれか。

第56回理学療法士国家試験 午前 第12問

  1. 5.1kgf
  2. 10.2kgf
  3. 15.3kgf
  4. 20.4kgf
  5. 25.5kgf

解答

2

 

解説

物体を回転させる力をモーメント(M)(回転トルク)といい、次の式で求められます。

モーメント(M)=力(F)×視点からの距離(L)

 

1kgfは質量1kgの物体を標準重力加速度9.8m/s²で測ったときの重量(N)を表します。なので1kgfは9.8kg•m/s²→9.8Nとなります。

 

今回の問題は回転の中心がA、作用点がB、記載されていませんが、力点は外転筋の停止部になります。

問題のポイントは単位を揃えることです。

 

解答がkgf

問題の外転トルクがNm→kgfへ変換

中心点からの距離がcm→mへ変換

なのでまずこの単位を揃えてから式に当てはめてみましょう。

 

外転トルク 30Nm÷9.8N=3.06kgf

中心点からの距離 30cm×0.01=0.3m

 

これでモーメント(M)=力(F)×視点からの距離(L)に代入すると

3.06=F×0.3

F=3.06÷0.3

F=10.2kgf

なので答えは2になります。

 

これを臨床で活かすには?

基本的に地球上で重力かにある以上、体の関節の正誤などは物理学で表現されます。例えば今回の例でいくと片脚立位を取った時に股関節にかかる内転トルクがどの程度かかるかで外転トルクが決まります。その外転トルクを発揮するだけの筋力がない場合はバランスを崩すか他の筋で代償することとなります。

股関節の外転といえば中殿筋、その代償といえば大腿筋膜張筋が浮かぶと思います。中殿筋は中心点からの距離が大腿筋膜張筋と比べて短いため、外転トルクを発揮するにはより大きな筋力が必要になります。なので中殿筋に筋力低下があるとより距離が長い大腿筋膜張筋で代償します。

正直、物理は苦手な方が多いと思いますが、大事なことなのでまずは線を引くことをら初めてみましょう。

 

>>>臨床で悩む療法士のためのオンラインコミュティ“リハコヤ”

療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
あなたも当たり前のことができるようになり「ありがとう」と言われる療法士になりませんか?

ありがとう
他の記事をもっと詳しく知りたい方へ
記事の目次ページへ      →

リハビリで悩む療法士のためのオンラインコミュニティ「リハコヤ」

リハコヤ