こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
本日も物理についてお話ししていきたいと思います。
弾性力とは?
バネやゴムのように元の状態に戻ろうとする物体を「弾性体」と言い、弾性体によって生じる力を「弾性力」と言います。筋肉や靭帯、関節包、筋膜、結合組織なども全て弾性体に含まれます。
この弾性力とフックの法則について知っておくと、身体がなぜ維持できるのかもイメージしやすくなると思います。
フックの法則とは?
弾性体が伸びても縮んでもいない状態を自然長と言います。弾性力は自然長から伸びたり縮んだりした長さに比例します。なので、計算式は、F=k(弾性係数)×x(長さ)で求めることができます。弾性係数は物質によって変わります。
例えば、ゴムを引き伸ばしていくと、だんだん戻ろうとする力が強くなってくると思います。これがフックの法則です。
ただし、このF=kxには適応限界があります。弾性体というのは基本的に伸ばせば伸ばすほど戻ろうとする力は強くなりますが、その戻ろうとする力よりも引き伸ばされた力の方が強いと戻れなくなります。ゴムをこれ以上引っ張れないというほど引っ張ると最終的には切れてしまいます。そこがそのゴムの適応限界です。この適応限界は筋肉にも存在します。
どれくらい伸ばすことができるのかは、弾性係数によって異なります。筋肉はおおよそ1〜10kPaです。このPaは圧力のところで出てきましたが、単位面積当たりの力の大きさです。つまり、筋肉は1〜10kPaの力で伸ばせるということです。関節包はおおよそ10〜200MPaです。関節包の方が筋肉より伸びづらいということがわかります。さらに硬いのが靭帯です。靭帯はおおよそ100〜1500MPaです。
さらに適応限界は、筋肉が自然長の60%で、これは筋肉が自然長の160%の長さまで引っ張られると切れるということです。これは物理的な数字で、筋肉の状態や年齢によっても変わりますので、参考程度にしましょう。
関節包は場所によって適応限界は異なります。靭帯の適応限界は自然長の約10%です。
ほとんど伸びない上にちぎれやすいので損傷しやすいです。なぜ靭帯が自然長の10%しか伸びないのかというと、靭帯は正常な運動方向から逸脱したときに制止してくれるものだからです。靭帯は伸びきってしまうと戻らないので、伸びてしまったら再建術をするしかないのです。反対に筋肉は関節の生理的な方向に動くのでよく伸びるというわけです。しかし、骨頭と関節窩が大きく動いてしまうと正常な可動域はでません。そうならないよう関節にある程度の遊びを作るものが関節包です。
筋の長さ張力曲線とは?
筋の長さ張力曲線とは、筋肉の長さと筋肉の張力の関係を表したものです。
静止長のときには伸びたり縮んだりしませんが、そこから筋の長さを伸ばし筋が長くなればなるほど、他動的張力が強くなり筋が元の長さに戻ろうとする力が強くなります。伸ばされたから戻ろうとするこの力が弾性力です。筋が縮もうとする自動的張力は、筋が伸ばされるほど減少します。
このことからストレッチは、筋の弾性力の視点からみると、戻ろうとする力を働かせてしまっているということになります。つまりストレッチは逆効果であることがわかります。極端に可動域の狭い場合や自分で動かせない方の可動域訓練を行う場合などにストレッチを行うこともあると思いますが、必要以上に伸ばしてしまうと逆効果になってしまうこともあるので気をつけましょう。
まとめ
リハビリに必要な物理学について〜弾性力とフックの法則〜
1. バネやゴムのように元の状態に戻ろうとする物体を「弾性体」と言い、弾性体によって生じる力を「弾性力」と言う。筋肉や靭帯、関節包、筋膜、結合組織なども全て弾性体に含まれる。
2. 弾性力は自然長から伸びたり縮んだりした長さに比例し(F=kx)、これをフックの法則と言う。弾性係数kは物体よって異なり、筋肉は伸びやすく靭帯は伸びにくい。
3. 他動的張力が強くなればなるほど元の長さに戻ろうとする力が強くなるため、ストレッチを行う際には注意する。
>>>臨床で悩む療法士のためのオンラインコミュティ“リハコヤ”
療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
あなたも当たり前のことができるようになり「ありがとう」と言われる療法士になりませんか?
記事の目次ページへ →
この記事が「おもしろい!」「為になった!」と思ってくださった方は、ぜひ「シェア」や「いいね!」をお願いします!!
今すぐ「いいね!」ボタンを押して「療法士のためのお役立ち情報」をチェック!
↓ ↓ ↓ ↓