圧迫骨折のリハビリテーションと治療法 〜リスクについて〜

こんにちは、理学療法士の赤羽です。

みなさんは圧迫骨折の患者さんが目の前にいるとしてどんなことを考えるでしょうか。様々なことが思い浮かぶかもしれませんが、思い浮かべたものの中の1つにリスクについて浮かぶ人も多かったのではないでしょうか。

今回は、実習や臨床で出会う機会が多い圧迫骨折のリスクについて考えてみようと思います。

まずは、圧迫骨折の病態について考えてみましょう。

病態と症状の理解

脊椎に屈曲圧迫力がかかることによって椎体が骨折する。

中高年や骨粗鬆症患者のような骨強度が低下した人に多く、平地での転倒などの外力によって生じる場合や受傷起点が不明な場合がある。

好発

  •  中高年
  •  多発性骨髄腫や転移性骨腫瘍などの基礎疾患をもつ患者
  •  外傷によるもの
  •  T10~L2に好発

などと言われています。基礎疾患の有無や年齢を重ねている方が骨粗鬆症も相まって骨折のリスクはありそうです。そのような方を担当する時には、外傷による骨折のリスクを減らすためにも転倒予防のための身体機能の維持・向上や環境設定等を考える必要もありそうですね。

では実際に骨折した場合はどのような症状が出現するのかをみてみると…

  • 腰部または背部周囲の強い体動時痛
  • 体動困難
  • まれに脊髄症状を呈することもある

上記は一例ですが、脊髄症状を呈することもあることを考慮すると神経症状が出現していないかはリハビリをする中でも気を付けてみておくポイントです。

脊髄症状は稀な例ですが、疼痛は症状として訴える方は非常に多いです。

疼痛による体動困難となるとメンタル面の低下や活動量の低下が起こります。ご高齢の方の活動量が低下すると、認知機能の低下・廃用症候群・褥瘡などといった問題も起こる可能性があります。

圧迫骨折の方の治療として手術もありますが、基本的に圧迫骨折の治療では第一選択としては保存療法となります。保存療法では装具固定を行うことが多いです。急性期の段階では装具が出来上がるまでに時間がかかることもありますし、医師の指示で安静度がベッド上から始まり徐々に離床が許可されるといったこともあります。

そうなると、疼痛による体動困難に加えて周囲の環境的にも活動量の低下は起こってしまいます。リハビリテーションを提供する上では医師の指示を守り、現状の中でできる範囲で活動量低下によって起こり得る可能性のあるものを想定しながら介入できると良さそうです。

治療方法:保存療法と手術

第一選択は保存療法。装具固定を行う

標準的な骨癒合期間:8~16週

装具固定:4~6週まで用いることが多くその後徐々に外していくことが多い。

上記のように言われています。

装具固定を行うことで脊柱の固定増加・腹腔内圧上昇による間接的な脊柱支持の補助・疼痛緩和・脊柱の変形予防等に関わってくると言われています。

圧迫骨折では、椎体の圧潰ももちろんですが、骨折部の離開や偽関節もリスクとしてあります。そのため、装具固定は重要ですしリハビリテーションを提供する上で骨折部への圧縮や離開・回旋方向のストレス等に留意しておく必要があります。また、装具固定では装具が接触することによる褥瘡リスクもあるため時折皮膚状態も確認しておいた方が良いです。

まとめ:リハビリのポイント

今回は、圧迫骨折のリスクという側面からリハビリテーションを提供する上で留意したい事を記載してみました。

今回のポイントを3つに分けると以下の通りです。

  1. 骨折リスクを減らすためにも転倒予防の視点が必要
  2. 神経症状や活動量低下による影響を考慮する必要がある
  3. 椎体の圧潰だけではなく、骨折部の離開や偽関節を起こさないように骨折部にかかるストレスを考慮する必要がある。

腰部脊柱疾患に対する評価とアプローチ法 | 療法士活性化委員会

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