腰痛に関わる神経にはどんなものがあるの?~中殿皮神経編~

こんにちは、理学療法士の赤羽です。

今まで「腰痛に関わる神経ってどんなものがあるの?~概要編~ |療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)」「腰痛に関わる神経にはどんなものがあるの?~上殿皮神経編~ | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)」についてお伝えしました。そこでどのような末梢神経が腰痛に関わっているのか、その中の上殿皮神経の影響で腰殿部痛が出現することが分かったかと思います。

今回は中殿皮神経に着目して腰痛について考えてみようと思います。

 

中殿皮神経(MCN)の概要

S1~S4由来。第1~第4仙骨神経後枝の外側枝の皮神経で後仙骨孔を出て外側方向へ走行し、殿部へ向かう。仙骨を覆う皮膚とその殿部に隣接する領域の知覚を支配します。

中殿皮神経の枝は84%が後仙腸靭帯の背側を走行し16%は後仙腸靭帯を貫通するため、後仙腸靭帯に圧迫されやすいと言われています。

中殿皮神経の圧痛点は、PSIS(上後腸骨棘)の尾側40mm以内のLPSL(長後仙腸靭帯)上に出現しやすいとされています。

また、中殿皮神経から上殿神経(SGN)への交通枝があったとの報告や中殿皮神経と上殿皮神経が吻合している場合もあるとされています。

中殿皮神経(MCN)の症状

殿部痛や腰椎の動きの影響を受けて下肢症状が引き起こされるとされています。

短時間および長時間の立位、腰椎の屈曲、寝返り、長時間の座位、特に歩行によって悪化するとされています。

 

診断基準

1 臀部を含む腰痛

2 腰部の動きや姿勢によって症状が増悪する。

3 後上腸骨棘の尾側35mm、腸骨稜端のやや外側(神経圧迫域に相当)にトリガーポイントがある。

4 トリガーポイントが圧迫されると、患者はMCN領域のしびれや放散痛(Tinel徴候)を訴える。

5 トリガーポイントでのMCNブロックによる症状緩和

 

Toyohiko Isu,Kyongsong Kim,Daijiro Morimoto,Naotaka Iwamoto, Superior and Middle Cluneal Nerve Entrapment as a Cause of Low Back Pain,Neurospine,2018 Mar;15(1):25-32.

 

アプローチ

中殿皮神経は仙腸関節付近の皮膚の知覚を支配していることから、皮膚を介してのアプローチも可能と考えられます。また、上殿皮神経や上殿神経ともつながっているためそれらの神経へアプローチすることも有用な可能性があります。

後仙腸靭帯で圧迫を生じやすいため、長後仙腸靭帯へのストレスを減らすのもありかもしれません。長後仙腸靭帯は仙骨のカウンターニューテーション(仙骨の後傾)を制動する役割があります。そのため、仙骨のニューテーション(仙骨の前傾)を促す、つまり寛骨を後傾方向へ促せれば長後仙腸靭帯のストレスを減らすことにつながる可能性があります。

まとめ

  • 中殿皮神経は後仙腸靭帯で絞扼されやすい
  • PSISの下方で圧痛が出現しやすい
  • 上殿皮神経や上殿神経と神経がつながっている可能性がある

 

 

神経へのアプローチを知りたい方は…

慢性疼痛に対して神経に着目した徒手アプローチ ~DNM(Dermo Neuro Modulating)~ | 療法士活性化委員会 (lts-seminar.jp)

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