リハビリとシーティングの基礎:車椅子の名称、種類、選定方法
毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
車椅子の名称について
車椅子の名称は、介護士さんなど他職種と情報を共有する際にも必要になってきますので、しっかりと覚えておきましょう。
車椅子の種類について
車椅子にはいくつか種類があります。
レディメイドは、一般的に車椅子と言われることが多いタイプのものです。病院やショッピングセンターにおいてあり、大量生産されるため、安価となっています。しかし、障害の程度によっては使いづらいというデメリットがあります。
モジュール型は、レディメイドのデメリットをカバーしたものです。体型や身体状況に合わせて、各パーツの高さなどを調整できるものです。そのため、使用者の体型や身体状況に微調整することができます。モジュール型は高齢者を対象に作られているので、やや小さめに出来ています。モジュール型には170cm以上の方にも対応している大型のものもあります。反対に、低床型という身長が低い方向けのものもあります。
その他にも、リクライニング型とティルト型というものがあります。リクライニング型は背もたれが倒れ角度が変えられるので、股関節の屈曲制限がある場合に適合になります。また、嚥下能力が低下している場合も適合となります。リクライニング型は背もたれだけが倒れるので、そうすると剪断力が働きやすくなってしまい、褥瘡のリスクが高くなってしまいます。嚥下能力が低下している方は体重が軽く褥瘡のリスクが高い方が多いので、私は嚥下能力が低下している方にはティルト型を使用していました。
ティルト型は、背もたれと座面が連動して角度を調整できるものです。臀部にかかる体圧を腰や背中に分散させることができるので、褥瘡の予防につながります。ティルト型の車椅子には、リクライニングとティルトの両方が調整できるものもあります。
車椅子の選定について
車椅子の選定の仕方は、私は上図を目安にしていました。
まず日本シーティング協会が出しているHoffer座位能力分類を使用して座位能力を分類します。
座位能力1(両手を離していても座位が安定している状態)で移乗能力も安定している場合は、私は車椅子ではなく椅子を選んでいました。車椅子よりも椅子の方が安定しているからです。移乗が安定しない場合は、体格に合わせてモジュール型を選定します。
座位能力2(両手で支えることで座位が安定している状態)で股関節の屈曲制限がない場合は体格に合わせてモジュール型を、股関節の屈曲制限がある場合は褥瘡のリスクの有無によってリクライニング型かティルト型を選定します。
座位能力3(座位困難な状態)では褥瘡リスクの有無によってリクライニング型かティルト型を選定します。
このように車椅子の選定ができますので、ぜひ臨床で利用してみてください。
まとめ
- 車椅子の名称は他職種との情報共有の際に必要になるのでしっかりと覚える。
- 車椅子にはレディメイド、低床モジュール、モジュール、大型モジュール、リクライニング、ティルトと種類がある。
- 車椅子を選定する際には、Hofferの分類、移乗能力、股関節の屈曲制限の有無、体格、褥瘡のリスクなどを参考にする。
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