こんにちは、理学療法士の嵩里です。
学生指導で「どう考察していいか分かりません」という質問を受けることがあります。疾患の知識や評価方法は理解していても、実際の患者さんに対してどのように評価し、問題点を抽出すれば良いのか分からないという声はよく聞きます。
この疑問に対する解決方法は「認知スキルを身につけてもらう」ことだと考えます。今回はその点についてお伝えしたいと思います。
目次
なぜ学生は考察が苦手なのか?
学校での授業は授業で知識を伝えられ、その知識を暗記する場面が多いからと考えます。具体的にはMMTの評価方法や筋の起始停止、疾患の総論といった内容ですね。私も筆記試験は暗記して乗り切っていました。
もちろん知識は大事です。起始停止が分からないと筋の走行や作用が分からず触診も難しいでしょう。
ですが身につけた知識を臨床にどう結びつけて考察していくかは、座学とはまた別のスキルが必要です。これらが、学生が考察を苦手としている理由かと思います。
認知スキルとは何か?
実習で身につけるスキルは、運動スキルと認知スキルに分けられます。
- 運動スキル:検査測定になります。実習前にMMTやROM測定を練習することで、ある程度は身につけることができます。
- 認知スキル:問題点を考えるための知識の使い方です。患者さんを前にして、評価を行い評価結果から問題点を抽出する思考力が必要です。
実習前にはOSCE(客観的臨床能力試験)が導入され、模擬患者に対して臨床技術が評価されますが、授業で行った型が当てはまらず動作や現象をどう説明していいかが検討もつかないことばかりでした。そのため、この認知スキルは座学では身につけることが難しく、実習で経験できるよう指導すべき部分であると思います。
認知スキルを鍛えるための指導法
では認知スキルを身につけるためにはどうしたら良いでしょうか? まずは臨床で行っている評価から統合と解釈、ゴール設定、プログラム立案の過程をセラピスト自身が話すことが必要ではないかと考えます。
例えば:
- 起立でどの部位が問題か
- 起立に必要な機能解剖は何か
- 評価結果はどうか
- 問題点として何が挙げられるか
全てを説明してしまうと自分で考える機会がなくなってしまうので、「起立の離殿では何の機能が必要?評価結果はどうだった?」など、徐々に質問形式にしていきます。
また知識が不足しているのであれば、一緒に本や文献を調べて勉強すると、調べ方を教えることが出来てセラピスト自身も再学習できるため一石二鳥です。
まとめ
- 学校教育では知識の習得に重きが置かれているため、臨床で求められるような考察力が身につきにくい。
- 知識を臨床に活かすためには、知識の使い方である認知スキルが必要。
- 認知スキルを身につけるためには、セラピストが評価から治療計画までの過程を説明することで知識の使い方を学んでもらう。
参考図書
セラピスト教育のためのクリニカル・クラークシップのすすめ【第3版】 – 中川法一 著
理学療法学生の皆さん、そして指導者の方々、この記事が少しでも参考になれば幸いです。認知スキルの向上は、臨床での実践力を高める重要な要素です。一緒に学び、成長していきましょう!
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