脊柱圧迫骨折のリスク管理について
みなさん、こんにちは、
療法士活性化委員会の林です。
前回は、病態把握についてでしたね。
>>>脊柱圧迫骨折のリハビリって?〜その1〜【脊柱圧迫骨折の病態について】
今回は、第2段のリスク管理についてです。
リスク管理について大事な点は3つ
1.術式
2.疼痛
3.骨折部への負担
です。
術式について
1つ目の術式は後側方固定術、椎体間固定術、骨セメント注入などがあります。
他にも様々な方法がありますが、
目的は、脊椎を安定させて、力学的負担の軽減をすることになります。1)より
なぜ、脊椎を安定させるかと言うと、
一言でいうと除痛、廃用症候群の予防になるためです。
除痛が早期に行えれば、早期離床に繋がります。
また廃用症候群を予防できれば、身の回りの自立ができます。
また、買い物やお孫さんと出かけるといった活動、参加ができるようになります。
痛みや動作障害の改善も大切ですが、
自立する、社会参加するといった目標も大切だとは思いませんか。
疼痛について
2つ目の疼痛は
・安静時
・運動時
に分ける事ができます。
安静時とは受傷直後や急性期の状態を指します。
運動時は過度な前屈や回旋動作を指します。
この時期は、疼痛が強く、積極的な介入は困難となります。
そのため、安静することが大切ですが、姿勢は側臥位を推奨します。
理由として背臥位は椎体上縁に重力による圧着力が加わらず、骨癒合が進展しにくいからになります。2)より
期間は骨癒合が得られる2~4週間となっています。3)より
その後は、過剰な安静を予防するために立位をとっていきます。
骨折部への負担について
3つ目に骨折部への負担については2つに分けられます
・隣接部の骨折リスク
・偽関節のリスク
隣接部への骨折のリスクは、
脊柱圧迫骨折の既往があると、
再骨折のリスクは約5倍となっているため注意が必要になります。4)より
骨折した椎体だけでなく周辺の椎体への影響も考慮して、
レントゲン、リハビリを行う必要があると思います。
偽関節については、バキューム像を確認することが必要となっています。
バキューム像とは、レントゲンで確認できる椎体内の亀裂部分のことで、
この状態では、上下の骨片に異常可動性を認め、偽関節と呼ぶべき病態。5)より
骨癒合期間中に臥位での体幹伸展運動と背臥位臥床の禁止を指導しなかった11例のバキューム像消失期間は平均261日であった。これに対し、治療期間中に臥位での体幹伸展運動と背臥位臥床の禁止を指導した6例のバキューム像消失期間は平均105日であったとされている。6)より
私たちのリハビリで患者さん、利用者さんを悪くさせないように気をつけていきたいですね。
たくさん覚えることがたくさんありますね。
今回の記事のまとめ
脊柱圧迫骨折のリスク管理で大事なことは3つ。
1.術式
2.疼痛
3.骨折部への負担
リスク管理を理解し、「今よりも状態を悪くしない事」をしませんか。
次回は回復過程について説明していきます。
>>>回復過程について
脊柱圧迫骨折のリハビリで自信を持ちたい!そんなあなたには
>>>脊柱圧迫骨折に対する評価とアプローチ法
療法士活性化委員会
認定インストラクター 林 凌磨
参考
- 中尾 浩之 著:よくわかる腰痛症 原因と治し方 2016年
- 赤羽根良和 著:骨粗鬆症を原因とした脊椎圧迫骨折の病態理解と運動療法 gene 2017年
- 胸腰椎圧迫骨折の初期安静を徹底する治療について.日整会誌82:S173,2008
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会.骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年度版.東京:ライフサイエンス出版:
- 赤羽根良和:骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の病態理解とそのアプローチ
- 吉田徹:日本腰痛会誌
追伸
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