股関節だけじゃなかった!またぎ動作が成功する要因と継続するために肩甲帯が重要と気づいたこと[療法士に必要なセルフエクササイズの考え方~その110~]

こんにちは! モーションアナライシスコース講師の吉田頌平です。

 

今回は、浴槽をまたぐ動作の評価ポイントのうち

評価ポイント④ 浴槽内の足へ荷重を移して反対側の足を上げる
評価ポイント⑤ 浴槽内に反対側の足を入れる


に焦点をあてていきます。

すこし驚かれるかもしれませんが、またぎ動作中、実は肩甲帯にも大きな役割がありました。
今回は、どうしてまたぎ動作に肩甲帯が関わるのか、整理してみようと思います。

注目ポイントは?

④ 浴槽内の足へ荷重を移して反対側の足を上げる

この場面では、これまで浮かせていた足(画像では右足)は浴槽内へ接地し
身体を支えるために片脚立位となる点が大きく異なります。

また、これまで身体を支持していた下肢(画像では左足)をもちあげるようになり、
両下肢で「支える」「持ち上げる」役割がそれぞれ入れ替わっています。

⑤ 浴槽内に反対側の足を入れる

持ち上げていた左足を浴槽内へ着地するため、
片脚立位となっていた左足を軸に、身体の向きを微調整していきます。

人によっては、このまま浴槽内へしゃがむ動きへ移行するために
さらに身体の向きを変える動作を行う場合がありますね。

ふたつの動作の共通点

上記2つの動きで共通しているのは
「上体の向きが短い期間で変わっている」という点です。

これまでピックアップした画像を並べてみてみると
わかりやすいかと思います。

①から⑤までをみてみると、
上体が右に回旋した状態から
左へ回旋した状態へと移行していますよね。

実は、ここで肩甲帯が大きく関わっているんです。

肩甲帯の評価ポイント

まず、肩甲帯はどういう意味かを確認します。

上腕骨,肩甲骨,鎖骨,胸骨,肋骨の間に形成される各関節の複合運動によって構成されており,これらの機構がまとめて肩甲帯(上肢帯,肩周辺機構)と呼ばれるものである.

(引用元:肩甲帯 (総合リハビリテーション 14巻6号) | 医書.jp.1986)

 

要は、上腕骨や肩甲骨に
鎖骨・胸骨・肋骨を加えたものを「肩甲帯」といい、
それぞれが連動する特徴がある、ということですね。

ここで注目したいのは、肋骨です。

肋骨の影響

肋骨は、脊柱と胸骨をつないでおり
体幹の回旋動作を行う内・外腹斜筋が付着しています。

もし、この肋骨の動きが硬く動きづらい状態になっていると…

内・外腹斜筋がいくらがんばって収縮しても回旋できなかったり、
連結している脊柱の動きを制限したり、
骨盤帯が不安定になりやすかったりと、
体幹部の動きに大きく影響する可能性が高まります。

また、肋骨を含めた肩甲帯は
各部位が連動する特徴があるため、

肋骨がスムーズに動けない状態だと
肩甲骨や胸骨・鎖骨などが動けず、上肢での身体支持が
十分に行えなくなることも考えられます。

つまり、肩甲帯がじゅうぶんに作用しない状況にあると
身体全体を動かす際のバランスにも影響する、ということです。

滑りやすい床面で、浴槽をまたぐうえでも
「身体全体のバランスを保てるかどうか」は、
大きな問題ですよね。

まとめ

浴槽のまたぎ動作、というと
股関節の動きに注目しがちですよね。

「片脚立位姿勢をふくめ、身体全体のバランスを保つ」という視点で考えると
実は、肩甲帯の動きも重要である、ということをお伝えしました。

具体的な評価項目としては、
 1. 体幹の側屈・回旋の動きが行えるかどうか?

 2. 肩甲帯は、十分に動けるか?
  (例→ 前方/側方リーチング)

      

もし、利用者さんが入浴したいって言ってるけど
なにしたらいいのか分からなくて困ってる…と思われている方のお力になれたら幸いです。

 

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療法士活性化委員会 認定講師 吉田 頌平

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