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本日は肘関節の機能解剖についてお話ししていきます。
みなさんは臨床で肘関節に注目しているでしょうか?
実はとても重要です。
肘関節は中間関節で、下肢で言うと膝関節に当たります。
肘関節は肩関節と手関節の間にあるので、肩が悪くて肘が悪くなる、または手関節が悪くて肘が悪くなる、ということは珍しくありません。
その逆もそうです。肘関節から肩関節・手関節が悪くなることもあります。
では、肘関節についてみていきましょう。
肘関節の構造は?
肘関節は、上腕骨・尺骨・橈骨で構成され、関節の形状は蝶番関節です。
屈曲伸展方向に動き、肘関節屈曲時にごくわずかに回旋(外旋)が加わります。
実際に自分の肘関節を屈曲してみるとわかると思います。
主動作筋は屈曲では上腕筋・上腕二頭筋・腕橈骨筋、伸展では上腕三頭筋です。
肘関節屈曲の主動作筋はそれぞれ作用が異なります。
肘関節屈曲をメインに行うのは上腕筋です。普段の屈曲がしっかりできているかを診るには上腕筋をみていきます。
上腕二頭筋は回外筋です。回内外のコントロールが苦手な方には上腕二頭筋の評価をしてみましょう。上腕二頭筋は二関節筋で肩関節にもかかるので、不全を起こしてしまうと肩関節にも影響が出ます。
腕橈骨筋はエマージェンシーマッスルで、緊急時にはたらく筋です。腕橈骨筋の筋力があることで、生活の中でパワーが必要な場合にうまく使うことができます。
上腕三頭筋は起き上がりをするときなどに重要です。上腕の後面には上腕三頭筋以外の筋はありません。
上腕三頭筋の内側頭はインナーマッスル(ローカルマッスル)としてはらたくので、筋力がなくなると肘関節の安定性がなくなります。
肘関節の運動学は?
肘関節は腕尺関節のイメージが強いと思いますが、実は腕橈関節も重要です。
今回は腕橈関節に着目していきましょう。
肘関節の自動屈曲時には、筋の収縮により橈骨頭窩は上腕骨小頭の方に引き付けられます。
この動きがとても重要です。
肘関節の自動屈曲によって橈骨頭が上腕骨小頭に近づくと前腕骨間膜が緊張します。すると橈骨を含む前腕・上腕が安定してきます。結果、ものを持つ時に肘だけでなく上肢全体でものの支持が可能になります。
つまり、緊張を高めることができるので、ものが持ちやすくなります。
橈骨頭の動きにも注目する必要があることがわかってきます。
上腕筋について
上腕筋の深層線維群は、肘関節前方関節包に直接停止しています。
肘関節が屈曲するとき、関節包をひっぱってくれるのでインピンジメントが起きません。
上腕筋は関節包の保護をする役割の関節筋であり、上腕筋がうまく働いていないと肘関節は安定しません。その結果、肩関節や手関節で代償します。そうすると肩や手に痛みが生じます。
ぜひ上腕筋の評価もしてみましょう。
上腕三頭筋について
上腕三頭筋の内側頭は肘関節後方関節包に進入するので、ローカルマッスルとしてはたらきます。上腕筋・上腕三頭筋の両方がはたらくことで肘関節が安定します。
上腕筋と上腕三頭筋の間には結合組織が存在しています。本来は伸びたり縮んだりしなければいけませんが、うまくできなくなっていることもあるので、そこにアプローチしていくことも重要です。
まとめ
肘関節の機能解剖について
- 肘関節の自動屈曲によって橈骨頭が上腕骨小頭に近づくと前腕骨間膜が緊張し、橈骨を含む前腕・上腕が安定する
- 肘関節屈曲時、上腕筋が肘関節前方関節包を引っ張ることでインピンジメントを防いでいる
- 上腕三頭筋の内側頭は肘関節のローカルマッスルとしても働き、上腕筋とともに肘関節の安定性に寄与する
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