リハビリに必要な物理学について〜力とは?〜

リハビリに必要な物理学について〜力とは?〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日は物理についてお話ししていきたいと思います。

苦手意識の強い療法士も多いと思いますが、リハビリでかなり重要な部分になってきますので、是非知っていただきたい内容です。

 

 

なぜ物理学を知っている必要があるのか?

 

 

物理とは、「もの」の「ことわり」のことです。

地球上にある物には力(重力)がかかっていますので、質量というものがあります。

そして、重力が身体を下に押し付けているということが身体を動かす時の根本的な話になってきます。人はこの重力に抗して身体を起こしていなければいけない、あるいはそれに対抗するように移動しなければなりません。

動きにくくなる、というのを物理的にどのようにみていけばいいかを知っておくとリハビリはすごくシンプルになってきます。

 

 

物理学の基本概念

 

・力(Force)の概念

・力(Force)の単位

・力の作用点、方向、大きさ

・力の合成

これらについてお話ししてきます。

 

 

力(Force)の概念とは?

 

 

力(Force)とは物体の状態を変化させる作用のことです。その作用の大きさを表す物理量のことを言います。物体の運動状態(速度や方向の変化)や形状を変化させます。

 

例えば、身体が止まっている状態から動き出すということは、速度や方向が変化しています。それを生み出しているのは「力」ということです。

 

 

力(Force)の単位とは?

 

力の単位はニュートン(N)で、1N(ニュートン)は1kgの質量を持つ物体に1m/s2の加速度を与える力で、1N=1kg・m/s2と表します。

 

1kgf≒9.8N

1N≒102gf(0.102kgf)

 

このkgfは「キログラム重」と読み、kgとの違いは方向があるかどうかです。

単純に質量のみを表す時はkgを使用しますが、それに加速度が加わると重さがどの方向にどれくらいの力がかかる、というような「力」になります。

力(F)は重さ(m)×加速度(a)で表されます。

 

 

力の作用点、方向、大きさとは?

 

 

作用点は、力が物体に作用する特定の点で、力の影響を受ける部分のことです。実際に物が動くところだと思ってください。

筋肉でいうと起止部や停止部のことです。

 

方向は、力が働く向きのことで、矢印で表現されます。この矢印には方向と量が含まれていて、この方向を持った力のことを「ベクトル量」と言います。

 

歩行では歩き出すときが一番大変です。歩き出す前は、質量はあるがベクトル量がない状態で、そこから歩き出すためにはベクトル量を発生させなければならないからです。そのためには加速度aが必要になるので動き出すときは大変です。歩き出すとすでにベクトル量が発生しているので、同じ加速度aで歩き続けるとより早く進んでしまいます。車のアクセルを踏みっぱなしにしているようなイメージです。なので、加速度は減らして良いのです。歩き出してしまえばより少ない力で歩き続けることができるということです。

 

大きさは、力の強さを数値で表し、スカラー量(単位:ニュートン)と言います。スカラー量はベクトルとは異なり方向を持たない量(質量・温度・時間・距離・速さなど)です。

これらを用いてどの方向に力を加えるかはこちら次第ということです。

 

 

力の合成とは?

 

 

力の合成というものがあります。

力は足すことができます。力が一方向にだけ向いていると分かりやすいのですが、力は様々な方向を向いていることが多いです。このように複数の力が同時に働く場合、それらの力を一つの合成力にまとめることを「力の合成」と言います。

 

複数の力が同時に働いた時、どの方向に力が働くのかをわかりやすくするために力の合成をします。合成をするときに必要な法則として、「平行四辺形の法則」があります。これは、二つの力を平行四辺形の隣接する辺として、対角線で示される合成力を求めるものです。

 

臨床では、関節などの話になると、回転の力などをイメージしがちだと思います。しかし。回転についてはまずは考えなくて良いと思います。

まずは今回お話ししたまっすぐの矢印(力)を合成したり分解したりすることで考えた方がわかりやすいです。回転する力も直線で考えることができます。

 

例えば立位の人で、重心が足部よりも後方にある場合、前側の筋肉で引っ張らないと後ろに倒れてしまいます。反対に、重心が足部よりも前方にある場合、後ろ側の筋肉で引っ張らないと前に倒れてしまいます。このように、まず患者さん・利用者さんの重心がどこにあって、その重心が支持基底面のどっち側にあるか意識してみてください。そうすると、重心が前側にあれば後ろ側の筋を、後ろ側にあれば前側の筋を使わなければいけないということがわかります。

物理を利用して考えると、このようなことがすぐにわかるようになってきます。

 

 

まとめ

 

リハビリに必要な物理学について〜力とは?〜

1. 力(Force)とは物体の状態を変化させる作用のことで、重さ(m)×加速度(a)で表される。力の単位はニュートン(N)で、1N(ニュートン)は1kgの質量を持つ物体に1m/s2の加速度を与える力で、1N=1kg・m/s2と表す。

2. 力の作用点は実際に物が動くところで、筋肉でいうと起止部や停止部のこと。力の方向は矢印で表現され、この矢印には方向と量が含まれる。この方向を持った力のことを「ベクトル量」と言う。力の大きさは、スカラー量(単位:ニュートン)と言う。

3. 複数の力が同時に働く場合、それらの力を一つの合成力にまとめることを「力の合成」と言い、その時に必要な法則として、「平行四辺形の法則」がある。

 

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