こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
本日は中心性脊髄損傷のまとめについてお話していきたいと思います。
前回の記事はこちら↓
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜概要〜
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜症状・疫学的な視点〜
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜診断基準・予後予測〜
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜評価〜
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜リハビリテーションプログラム〜
中心性脊髄損傷の病態について
中心性脊髄損傷(Central Cord Syndrome, CCS)は、主に頸髄の脊髄損傷によって引き起こされる神経学的症候群であり、通常、上肢に比べて下肢の運動能力がより保存されている特徴を持っています。
中心性脊髄損傷の症状について
中心性脊髄損傷の症状には、運動機能の障害、感覚の障害、排尿・排便の困難、感覚異常、筋痙攣などがあります。
運動機能の障害は、上肢における筋力の低下や運動協調性の損失が特徴的です。特に、手と指の精密動作が困難になることがあります。
中心性脊髄損傷は脊髄の中心の方で損傷が起こるので、下肢より上肢に症状が出やすいです。また、上位の脊椎での損傷が起こりやすいので、こういった理由でも上肢の方がより症状が出やすくなります。
中心性脊髄損傷の発生率について
日本での外傷性脊髄損傷(TSCI)の発生率は、2018年の全国調査により、年間で49人/百万人と推定されています。この調査では、70歳が中央値の年齢であり、70代に多いとされています。また、男性の方が多く、頸椎の脊髄損傷が大半を占めています。転倒が最も一般的な原因ですが、その他にスポーツや交通事故があります。
損傷をしてしまうと回復が難しいので、最も一般的な原因である転倒を予防していくという視点が大切です。
中心性脊髄損傷の症状は上肢に出やすいと言われていますが、受傷機転が転倒であるならば、下肢の機能が低下している可能性がありますので、全身を評価する必要があります。
中心性脊髄損傷の保護因子について
保護因子についての具体的な情報は明確にはありませんが、早期診断と早期治療は中心性脊髄損傷の予後を改善する可能性があると考えられています。
中心性脊髄損傷の予後を改善するためには、初期の治療とリハビリテーションが重要であり、それにより神経学的回復の可能性を高めることができるとされています。機能的な部分では、およそ2年でプラトーとなるとされています。
よって、障害が出ている部分に対し早期から介入することで向上させていく必要がありますが、それだけでは生活に変化は出づらいです。生活の中でどう残存機能を活かして、どのように生活していくのかについても診ていく必要があります。
中心性脊髄損傷の神経学的所見について
中心性脊髄損傷の評価では、感覚障害、運動障害、病的反射、膀胱・直腸障害の検査などをしていきます。
中心性脊髄損傷の身体的所見について
その人の生活はどのような感じなのか、その人が生活する場所はどんな場所なのか、家屋の状況はどうなのか、帰るとしたら施設なのか、施設だとしたらキーパーソンは誰なのか、キーパーソンは近くにいるのか・・など、まず社会環境を評価し、その社会に戻るために今できていない動作は何なのかを考えていきます。
そして、その動作ができていない要因として考えられるものに、可動域や筋力、感覚、神経学的所見での障害などがあります。
中心性脊髄損傷のリハビリテーションプログラムについて
基本的には、評価した内容を元に足りないところを補っていくのがリハビリのプログラムの内容です。
評価を行うことで、自然とリハビリプログラムは構築されてきますので、まずはしっかりと評価を行いましょう。
・その方がどういう社会で生活しているのか
・その生活に必要な動作にはどのようなものがあるのか
・その動作に必要な身体機能・心身機能はなにか
これらをポイントに評価を進めていきます。
基本的には適切なリハビリテーションプログラムを提供することによってADLが改善され、生活の質の向上がみられるようになります。
生活の質を向上させることがリハビリの一番の目的になります。今まで通りの生活に戻ることができなくても、現状よりも生活の質を向上させることが大切です。
完全損傷の場合、機能的な回復は基本的には望めませんが、残存機能を強化させ、足りない部分は別の手段を使うことも大切です。機能回復だけが機能に対する介入ではありません。
様々な視点を持って介入を行いましょう。
まとめ
中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜まとめ〜
1. 疾患を診るのではなく、対象者の社会を見る。
2. 対象者の社会の中で必要な生活にはなにがあるのかを考え、その生活に必要な動作から必要な機能を抽出し評価する。
3. 評価→介入→再評価を繰り返す。
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