中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜症状・疫学的な視点〜

中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜症状・疫学的な視点〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

 

本日も中心性脊髄損傷についてお話していきたいと思います。

 

前回の記事はこちら↓

認知症に対するアプローチの根拠についてfrom リハコヤ

 

 

中心性脊髄損傷の症状とは?

 

 

中心性脊髄損傷の症状には、運動機能の障害、感覚の障害、排尿・排便の困難、感覚異常、筋痙攣などがあります。

 

運動機能の障害は、上肢における筋力の低下や運動協調性の損失が特徴的です。特に、手と指の精密動作が困難になることがあります。

中心性脊髄損傷は脊髄の中心の方で損傷が起こるので、下肢より上肢に症状が出やすいです。また、上位の脊椎での損傷が起こりやすいので、こういった理由でも上肢の方がより症状が出やすくなります。

 

感覚の障害は、痛み、温度、触覚の感覚喪失が生じる可能性があります。これは通常、損傷部位の周囲または損傷部位よりも下の部分で起こります。

感覚はなくても他の部位で感覚入力をすることは可能なので、感覚障害のある部位をしっかりと把握し、他で代償できるかどうかも考えていきましょう。

 

排尿・排便の困難は、膀胱や腸の制御の喪失が生じる可能性があります。これにより排尿や排便の困難が起こることがあります。

これはQOLの低下につながりやすい部分です。リハビリや早期からの治療的介入により回復することもあるので、しっかりと介入していく必要があります。

 

感覚異常は、焼けるような痛みやピンや針で刺されるような感覚、または感覚の鈍さが生じる可能性があります。

 

筋痙攣は、損傷した神経経路により、不随意の筋収縮が生じる可能性があります。

不随意の筋収縮は回復しにくいですが、随意的な筋収縮を繰り返していくことが大切です。

 

これらの症状が何故起こっているかなどを考えることも大切ですが、ADL上でどのような問題が起こるかを考えることがとても大切です。

 

私たち療法士は、これらの症状を改善させるための治療はできません。これらの症状が生じることで生活上どのような制限が出てしまっているのかを読み解き、その方にとって何が必要なのかを考えていくことが私たち療法士の役割です。

 

 

中心性脊髄損傷の発生率は?

 

 

日本での外傷性脊髄損傷(TSCI)の発生率は、2018年の全国調査により、年間で49人/百万人と推定されています。この調査では、70歳が中央値の年齢であり、70代に多いとされています。また、男性の方が多く、頸椎の脊髄損傷が大半を占めています。転倒が最も一般的な原因ですが、その他にスポーツや交通事故があります。

 

損傷をしてしまうと回復が難しいので、最も一般的な原因である転倒を予防していくという視点が大切です。

中心性脊髄損傷の症状は上肢に出やすいと言われていますが、受傷機転が転倒であるならば、下肢の機能が低下している可能性がありますので、全身を評価する必要があります。

 

 

中心性脊髄損傷の危険因子は?

 

中心性脊髄損傷の危険因子として、高齢が重要な原因であり、高齢者に特徴的な円背姿勢による頸椎の過伸展によるものが多いと報告されています。その他にも頸椎の骨折や脊柱管狭窄症といった関連疾患の存在が、中心性脊髄損傷の危険を高める可能性があります。

 

 

中心性脊髄損傷の保護因子は?

 

保護因子についての具体的な情報は明確にはありませんが、早期診断と早期治療は中心性脊髄損傷の予後を改善する可能性があると考えられています。

例えば、円背姿勢など不良姿勢のある方が、手が痺れるという症状を訴えていた場合に診察を促す等、早期診断と早期治療のための方法も考えてみると良いと思います。

 

 

まとめ

 

中心性脊髄損傷のリハビリテーション:初学者のための実践的アプローチ〜症状・疫学的な視点〜

1. 中心性脊髄損傷の症状には、運動機能の障害、感覚の障害、排尿・排便の困難、感覚異常、筋痙攣がある。

2. 中心性脊髄損傷の症状が、ADL上でどのような問題が起こるかを考える。

3. 中心性脊髄損傷の最も一般的な原因に転倒がある。中心性脊髄損傷の症状として上肢に多く症状が出ていても、全身を診ていく必要がある。

 

 

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