トイレ動作で体幹が安定しない? 正中位保持のコツとは? 〜トイレ動作の動作分析から情報共有までの流れを学ぶ〜

こんにちは、作業療法士の内山です。

今回は、トイレ動作を行うにあたって体幹の正中位保持が必要になってくる理由について話していきたいと思います。よろしくお願いします。
前回の記事はこちら>>>トイレ動作に必要な肩関節が90°屈曲するために必要な機能解剖は? 〜トイレ動作の動作分析から情報共有までの流れを学ぶ〜

体幹正中位保持が必要な理由  ~トイレ動作をスムーズに行うために~

トイレ動作では、体幹の正中位保持が必要になってきます。その理由は、正中位を保持できなければ、両上肢をフリーで使用することが難しいからです。

体幹正中位の状態は、コアマッスルが機能しており、上肢を他関節の代償動作なしで使用することができます。逆に正中位を保持できなければ、上肢の関節運動を行う際に他関節や筋肉の動きで代償をする必要があります。代償動作が出ること自体は悪いことではないですが、結果として非効率な動作や、それによる痛みなどにつながる可能性が考えられます。

体幹正中位に必要な要素

骨盤帯の可動性

骨盤は中間位〜やや前傾位で保持できる必要があります。なぜならばその位置がコアマッスル(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜)が1番働きやすいと言われているためです。

また、骨盤は単体で可動することはなく、上方にある脊柱と下方にある股関節の可動に合わせて協調的に動いていきます。そのため、骨盤の可動性を評価する際は、まず股関節や脊柱の動きに伴った骨盤の前傾-後傾運動や側方傾斜運動が出現するか見ていく必要があります。

脊柱の可動性

脊柱は頸椎・胸椎・腰椎・仙椎以後と分かれているため、それぞれ分節的な動きができるかを見ていくことが重要になっていきます。椎体の特徴から胸椎までは回旋運動の要素が強く、腰椎から下は屈曲・伸展の要素が強いです。各脊柱が分離しながら動くことで、姿勢が変化しても正中位を保持し続けることができます。

協調運動

骨盤帯の可動性と脊柱の可動性が、担保されていると立位の状態で体幹正中位を保持できるようになっています。その状態で体幹を固定しつつ上肢の前方リーチや下方リーチを行い、下衣の着脱・手すりを把持しての立位保持などを行わなければなりません。
このように一方の関節を固定しながら、もう一方の関節を動かしつつ、動作を行うことが協調運動と言えます。先ほどは体幹という要素で考えたときに骨盤帯や脊柱の可動性を見ていきましたが、今度は上肢-体幹の関係性で評価をしていく必要があります。そうすると今度は固定側である体幹の機能は備わっている前提として、上肢の可動性や筋肉の動きなどを評価していく必要が出てくるのです。どちらか一方の機能に問題があると、代償動作で補う必要が出てくるため、動作への支障をきたす可能性もあります。

このように、

  1. 骨盤の可動性
  2. 脊柱の可動性
  3. 協調運動

3つの要素全てが揃って初めてトイレ動作を自身でできるようになっていきます。

まとめ

  1. トイレ動作を行うには、体幹正中位で保持できる必要がある。
  2. 体幹正中位保持に必要な要素は大きく3つの要素がある
  3. 3つの要素のどれかが欠けると、代償動作で補う必要がある

続きはこちら>>>脳卒中患者のトイレ動作を考える、手指巧緻動作の必要性 〜トイレ動作の動作分析から情報共有までの流れを学ぶ〜

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