毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
本日は骨粗鬆症についてお伝えします。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、簡単に言うと骨密度が低くなっている状態のことです。
もう少し詳しくお話しすると、若年成人平均値(腰椎/22〜44歳、大腿骨近位部/20〜29歳)を100としたときの骨量の割合を表した数値のことをYAMと言い、その値が70%以下になると骨粗鬆症と判定されます。
骨粗鬆症で処方される薬とは?
骨粗鬆症であると診断されるとビタミンDを処方されることが多いのですが、その薬は有効である場合とそうでない場合があります。
骨には代謝のサイクルがあります。古くなった骨に破骨細胞が集まり、古い骨を吸収しカルシウムを血中へ溶かします(骨吸収)。そして、骨芽細胞がコラーゲンを作りカルシウムを定着(骨形成)することで新しい骨が形成されます。この同化(骨形成)と異化(骨吸収)のバランスが崩れることによって骨粗鬆症になってしまうのですが、ビタミンDは骨形成に関連するものなので、骨形成に問題がある場合、ビタミンDは有効です。
骨粗鬆症の血液データの見方は?
ビタミンDが有効であるかどうか、つまり骨粗鬆症の原因が骨形成なのか骨吸収なのかを判断するには、血液データで判断していきます。
血液データでは、骨吸収マーカーと骨形成マーカーの値を確認します。
このデータの数値によって処方される薬は変わってきますが、薬を処方するのは医師の役割です。
では、療法士にできることはなんでしょうか?
骨粗鬆症に対して療法士ができることとは?
骨粗鬆症のガイドラインによると、ウォーキングが有効であると言われています。
閉経後の骨量減少・骨粗鬆症患者(年齢:49〜75歳、平均:65歳)において、ウォーキング(8,000歩/日、3日以上/週、1年)は腰椎骨密度を1.71%上昇させる、というデータもあります。
ただ歩くだけではなく、患者さん・利用者さんに歩行距離や歩数を具体的に伝えるようにしましょう。
しかし、ただ単に歩数だけに注目してしまうと、効果が現れない場合があります。
中之条研究では、毎日1万歩歩いているにも関わらず、骨粗鬆症になり骨折をしてしまった女性がいました。その女性は旅館の女将であり、着物を着ているためいつもすり足での歩行でした。すり足歩行では骨への刺激がない歩行になってしまうため、毎日1万歩歩いても骨粗鬆症になってしまったということです。
そのため、この研究では1日7,000歩、15分以上中強度で歩くことが骨粗鬆症の予防になると言われています。中強度の運動とは、大股で歩くことです。大股で歩くことによって骨刺激が入り、骨形成を促進します。
歩行が難しい場合には、Heel dropも有効です。やり方は、爪先立ちの状態から一気に踵を下ろします。そうすることによって骨刺激が入るため、歩行が難しい場合でも骨形成を促進することができます。
ぜひ臨床に活かしてみてください。
まとめ
骨粗鬆症について
1. YAM(若年成人平均値を100としたときの骨量の割合を表した数値)が70%以下であると骨粗鬆症と判定される。
2. 骨には代謝のサイクルがあり、同化(骨形成)と異化(骨吸収)のバランスが崩れることによって骨粗鬆症になる。ビタミンDは骨形成に関連するため、骨形成に問題がある場合はビタミンDが処方される。
3. 骨粗鬆症に対して療法士にできることは歩行を指導することであり、ポイントは歩数を確保(1日7,000歩)すること、骨への刺激を入れるために大股で歩くことである。歩行が難しい場合にはHeel dropも有効である。
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