毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
本日は無為臥床についてお伝えします。
無為臥床(寝たきり)の状態は、リハビリの分野でも良くないと言われています。認知機能や身体機能が低下してしまうなどと言われ、早期臥床を促すことも多いですが、無為臥床は本当に良くないのでしょうか?
理論的に医学的な知識を持って説明できるようになりましょう。
臥床による呼吸・循環器への影響とは?
Bed rest(いわゆる「無為臥床、寝たきり」)による呼吸循環器系の退縮は速やか(24時間以内)に起きると言われ、高齢者では数日間の安静臥床でも注意しなければならず、早期からの理学療法が極めて重要と言われています。
離床のためにはポジショニングやシーティングの知識が必要となってきます。
上図は、臥位から立位へ肢位変換した際の生理的現象をまとめたものです。
立位を取ると、重力によって血液は下肢に貯留します。それにより静脈還流は減少し、1回拍出量は減少、心拍出量も減少し血圧が低下します。
すると、心臓や血管にある圧受容器が反応し、心・血管中枢に指示を出し交感神経を優位にします。交感神経を優位にすることによって心拍数の増加や血管収縮が起こり、血圧を上昇させることができます。
無為臥床の場合、この機構が働きません。そうすると、心機能が低下してしまうことは容易に想像がつくと思います。無為臥床の期間が長ければ長いほど起立性低血圧になりやすいのもこれが理由です。
その他にも臥床による呼吸・循環器への影響は様々な箇所に出現します。
臥床による身体への影響とは?
臥床による身体への影響には、筋力低下と筋萎縮があります。
安静臥床のままでは、約1〜3%/日、10〜15%/週の割合で筋力低下が起こり、3〜5週間で筋力は約50%に低下すると報告されています。
これらの筋萎縮や筋力低下は、最大筋力の20%未満の活動によって起こりやすいとされているため、起き上がって最大筋力の20%以上の活動をすることによって筋萎縮や筋力低下を防ぐことができます。
このように、みなさんも当たり前だと思うことも改めてまとめてみてはいかがでしょうか?
患者さん・利用者さんに生理学・解剖学的な説明ができるようにしましょう。
まとめ
無為臥床について
1. Bed rest(いわゆる「無為臥床、寝たきり」)による呼吸循環器系の退縮は24時間以内に起きる。
2. 無為臥床による呼吸・循環器への影響は、起立不耐性や無気肺など様々である。
3. 無為臥床による身体への影響は、筋力低下と筋萎縮があり、それを防ぐためには起き上がって最大筋力の20%以上の活動をすることが重要である。
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