膝関節疾患に対する評価とアプローチ ~機能評価編~

みなさん、こんにちは!
整形外科クリニック勤務、理学療法士の林です。

みなさんは臨床で膝関節疾患の患者さん、利用者さんは担当しますか?
私は以前は回復期病院に勤め、現在は整形外科クリニックに勤務していますので、
担当することがとても多いです。

臨床をする中で感じる疑問は
・「どんなアプローチをすればいいのだろう」
・「評価って何をすればいいのだろうか」
・「リスク管理はどうするの?」
そんな事を悩むと思います。

正直たくさんの意見、文献、研修会があって混乱しますよね?
私も色々と勉強してきましたが考える事が多すぎて嫌になってしまうことがあります。

そこで今回は膝関節疾患に対する機能評価の方法をお伝えします。
一緒に勉強して患者さん、利用者さんを少しでも笑顔にしていきましょう!

【目次】
1、機能評価の考え方
2、機能評価の方法
3、まとめ

1、機能評価の考え方

 

膝関節疾患は歩行時の疼痛などが問題になることが多くあります。
まず臥位の状態で膝関節の可動性や筋の状態を確認します。

臥位で膝関節の状態を確認できたら次は立位での評価になります。

立位で膝関節を伸展するためには膝関節の捻じれが必要になります。運動学ではこの現象をScrew home movement(以下SHM)と呼びます。
この動きには股関節や足部の可動性や筋力も必要となるため、立位では股関節と足部も合わせて評価をします。

膝関節の機能評価では

  1. 臥位で症状の出ている膝関節の評価
  2. 立位でSHMに必要な股関節、足部の評価

の順番でみていきます。

では実際にみるポイントをご紹介していきます。

2、機能評価の方法

それでは臥位、立位での評価方法をポイントを絞ってお伝えします。

臥位

ROM

  1. 自動運動での可動域
  2. 他動運動での可動域

目的:自動運動では筋力、他動運動では関節の可動範囲をスクリーニングします。

自動・他動運動で可動域制限がある場合、

  1. 関節包内運動
  2. 筋力(主動作筋の筋出力、拮抗筋の伸張性など)

今回はその一例をお伝えします。

前方引き出しテスト(脛骨大腿関節)

目的:脛骨の関節包内運動を確認
方法:脛骨粗面、脛骨後面を把持し脛骨を前方へ関節包・靭帯のend feelまで牽引
理由:膝関節の伸展には転がり運動と滑り運動があり、脛骨の滑り運動が出ない場合、伸展制限の要因の一つとなる。

 

SHMテスト(膝窩筋)

目的:SHM(脛骨の外旋)が出ているか確認
方法:脛骨粗面を把持し膝関節を伸展する。
理由:膝窩筋は脛骨を内旋する作用があるため、伸長性が低下しているとSHMを阻害する要因の一つとなる。

臥位で膝関節の局所の問題が見つからない場合は立位での評価に移行します。

立位

スクワットテスト

目的:荷重時に膝関節が伸展するか確認
方法:立位で下肢を屈伸して膝関節が伸展するか
理由:膝関節に問題がない場合、股関節・足部の問題が膝伸展を阻害している可能性がある

立位で膝関節が伸展しない場合、

  • 股関節の問題(可動域、関節包内運動、筋の状態)
  • 足部の問題(可動域、関節包内運動、筋の状態)

が考えられます。今回はそれぞれの評価の一例をお伝えします。

後方押し出しテスト(距腿関節) 

目的:距骨の可動性を確認
方法:脛骨と距骨を把持し距骨を後方へ軽く押し出す
理由:距骨が後方へ移動しないと足関節の背屈の制限因子の一つとなる

Thomasテスト(大腰筋)

目的:大腰筋の伸張性
方法:確認したい側と反対の股関節を屈曲し対側の股関節が屈曲してくるか
理由:大腰筋の伸張性が低下していると股関節が屈曲位となり、立位で膝関節伸展の阻害因子となる。

 

上記を評価してみましょう。ポイントは

  1. 臥位(非荷重位)での膝関節伸展
  2. 立位(荷重位)での膝関節伸展

を評価することで膝自体に問題があるのか、膝以外に問題があるのかを分類します。

3、まとめ

  1. SHMの有無が膝関節が機能する上で重要
  2. まず臥位(非荷重位)で膝関節自体の問題を評価する
  3. 立位(荷重位)で膝が伸展しない場合は、股関節・足部も合わせて評価する

実践するのは難しいかと思いますが、
明日から1つでも行うことで患者さん、利用者さんの笑顔を引き出していきましょう!

[デモンストレーション]

一緒に学びたいと思う方はこちら>>>「1単位で変化を出す 膝関節疾患に対する評価とアプローチ」

療法士活性化委員会
認定インストラクター
林凌磨

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