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本日は着座動作についてお話ししていきます。
みなさん、臨床に出ていると立ち上がりの動作分析をすることは多いと思いますが、着座の動作分析はあまりしないのではないのでしょうか?
立ち上がり動作を逆にしただけと思いがちですが、実は全く異なります。
着座の3相について
着座動作は3相に分けることができます。
第1相は骨盤がやや後傾し、膝関節が軽度屈曲します。これから着座に向けて下降する準備をする段階です。そこから第2相である重心下降期に移り、第3相の完成期に移ります。
そこで重要になってくるのが、第2相の重心下降期です。ここでは、重心を足部の支持基底面内におさめながら移動させます。このとき、重心はまっすぐ下に降りるのではなく、やや前方に移動してから後方へ移動します。
第2相の機構とは?
では、第2相を詳しく見ていきましょう。
まず前脛骨筋によって足関節の背屈が起きます。その状態で膝関節を屈曲することで下腿が前方に傾きます。これによって支持基底面内に留まったまま重心を前方に移動することができます。
その後、大殿筋と大腿直筋の遠心性収縮が働くことによって、股関節と膝関節の屈曲が起こり、重心が下降します。
臨床でドスンと座ってしまう利用者さん・患者さんがいると思いますが、そのような方は下腿の前方移動が苦手な方が多いです。
なので、下腿を前方に傾けるために前脛骨筋とヒラメ筋は働いているか?大殿筋の遠心性収縮により股関節屈曲が起こっているか?大腿直筋の遠心性収縮により膝関節屈曲が起こっているか?を確認してみましょう。
また、着座動作の筋電図を確認してみると、着座動作の際には多裂筋と内腹斜筋が働いています。第1相で骨盤が後傾した後に、第2相で骨盤前傾しながら前方移動してきます。そのとき体幹を安定させるために多裂筋と内腹斜筋が働いています。
着座動作に対しどのように介入するか?
臨床でドスンと座ってしまう利用者さん・患者さんがいた場合、まずは着座動作に関係する多裂筋・内腹斜筋・前脛骨筋・大殿筋・大腿直筋・ヒラメ筋の筋力測定をしてみましょう。
筋力低下がある場合は、まずはOKCで筋力訓練を行います。筋力がついてきてMMT4程度になったら、次は動作に落とし込んでいきましょう。
このような方は、重心を前方に移動せずドスンと座ってしまう方法に慣れてしまっているので、重心を前方に移動するようにハンドリングしながら練習していくことが重要になってきます。
まとめ
着座動作について
1. 着座は3相に分けることができる。第1相は骨盤がやや後傾、膝関節が軽度屈曲し、着座に向けて下降する準備をする段階である。第2相は足関節背屈膝関節屈曲により下腿が前方に傾き重心を前方に移動させ、股関節・膝関節屈曲により重心が下降する段階である。第3相は完成期である。
2. 着座動作に関係する筋は、多裂筋・内腹斜筋・前脛骨筋・大殿筋・大腿直筋・ヒラメ筋である。
3. 動作訓練では重心の前方移動をハンドリングしながら行う。
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