from instagram 大塚 久
認知症患者への効果的な関わり方:エビデンスに基づいたアプローチと家族の役割を解説

みなさんこんにちは。作業療法士の仲田です。
今回は、認知症を呈する患者さんに対する作業療法について、理学療法士・作業療法士の皆さんにお伝えできればと思います。
実際に先日、Zoomのナイトセミナー「OTのしゃべり場」で参加者の方と交わした認知症に関する会話を一部ご紹介します。

先生!認知症患者さんに対しての作業療法ってどんなのがありますか?効果的なアプローチを知りたいです。

作業療法士として、作業療法の効果を知りたいんですよね。今やっている作業療法が果たして効果が出ているのか自信がなくて…。

効果ですか?まずはおさらいです。認知症を家族の方が理解できるように、そして作業療法を行うことでどんなことが期待できるか、簡単に説明してもらっていいですか?

えっと、認知症は記憶力や判断力が低下し、日常生活に困難を伴う疾患です。作業療法を行うことで、回復は難しいですが、認知機能の維持や生活の質の向上が期待できます。

認知症患者さんに対する作業療法の効果ですが、さくらさんが言ってくれたように機能の向上自体は難しい場合が多いですが、低下を防ぎ、生活能力の維持・向上が主な目標になります。
認知症患者さんに対する作業療法の効果的なアプローチ法

認知課題へのアプローチ、日常生活動作の訓練、感情の安定、社会性の維持といった作業療法の効果を活かしながら、特に“ご家族”を巻き込んで、患者さんに役割を持たせることが非常に有効です。

そうなんです。退院後や普段の生活で主に関わるのはご家族ですからね。その他、適度な運動を促したり、患者さんの興味や関心に基づいたコミュニケーションを取り、社会的な刺激を与えることも重要です。
認知症に対する作業療法のエビデンス

エビデンスについてですが、特に運動療法は、健常高齢者や軽度認知障害の方を対象とした研究で、認知機能の向上や認知症発症の予防に効果があるという報告が多くあります。

エビデンスに敏感ですね(笑)。普段の臨床で行っていると思いますが、患者さん一人ひとりに合わせた個別的な日常生活動作(ADL)訓練は、自立度を高め、結果として生活の質(QOL)を向上させることが期待できます。
認知症患者の心理面へのアプローチ

心理面への介入も重要です。音楽療法や回想法などのアプローチは、認知症の行動・心理症状(BPSD)の軽減に効果があると多くの研究で示されています。

はい。これらの介入は、患者さんの情緒を安定させ、不安やストレスを軽減する効果が期待できます。作業療法では、単に動作能力だけでなく、その方の感情や精神的な安定も考慮することが大切です。

人間、ストレスは溜めたくありませんからね。心理的な安定は、その方の全体的なQOLに大きく影響します。
家族ができるサポート方法

ご家族ができるサポート方法としては、患者さんに適した役割を持たせること、ご一緒に適度な運動を促進すること、患者さんに合わせたコミュニケーションの工夫、そしてピアサポートの活用などがあります。
認知症患者のご家族ができる効果的なサポート例
- 役割を持たせる:洗濯物をたたむ、簡単な調理の手伝いなど、できる範囲での役割分担は、患者さんの自己効力感や生活意欲の向上につながります。
- 運動療法(ご家族と一緒に散歩など):無理のない範囲での運動は、認知機能の維持だけでなく、BPSD軽減にも効果的です。
- コミュニケーションの工夫:ゆっくりとした会話のスピードや簡潔明確な表現は、患者さんの理解を助けます。また、患者さんの感情や意見を尊重し、共感的な態度で接することが重要です。
- ピアサポート:ご家族自身の負担軽減も重要です。家族会や認知症カフェなどのピアサポートグループへの参加は、情報交換や精神的な支えになり、孤独感やストレスを和らげる効果があります。

とても勉強になります!臨床ですぐに活かせそうです。

それはよかったです。また分からないことや、さらに深く学びたいことがあれば、療法士活性化委員会のセミナーでお伝えしますよ。

ありがとうございます!また参加させていただきます。
まとめ:認知症に対する作業療法のポイント
- 作業療法は認知機能の維持や生活の質向上に効果的と、エビデンスでも報告されています。
- 認知機能や日常生活動作だけでなく、患者さんの心理状況(BPSDなど)にも目を向けましょう。
- 患者さんだけでなく、ご家族を積極的に巻き込み、サポートを提供しましょう。
いかがだったでしょうか。この記事が、皆さんの臨床の視野を広げ、認知症の方々への関わりに少しでもお役に立てたなら幸いです。
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