『脊柱圧迫骨折のリハビリって?〜評価の順番について〜』

脊柱圧迫骨折の評価の流れ

みなさん、こんにちは、理学療法士の林です。

前回は回復過程についてでした。
>>>脊柱圧迫骨折のリハビリって〜回復過程について〜

今回はリハビリの流れについてです。
前回までは「今よりも状態を悪くしない事」をお伝えしてきました。
今回は「今よりも状態を良くする事」についてお伝えしたいと思います。

脊柱圧迫骨折のリハビリの流れで大事な点は3つ

  1. HOPE,Goal
  2. 機能障害
  3. アプローチ
    です。

HOPE,Goalについて

これは問診、又は医療面接という形になります。

HOPEは、患者さん、利用者さんの話を聞くことが大切になります。

  • したい事
  • やりたい事
  • できなくなった事

を聴取します。

聴取した事をGoalとして設定していきます。

脇田によると、医療面接の役割は

  • 患者-医療者との信頼関係の確立
  • 患者からの情報収集
  • 患者への説明や教育

であると述べている。1)より

適切な医療面接を行うことが、患者様との信頼関係を構築するために必要となります。

脊柱圧迫骨折のHOPEとGOALは?

HOPE「朝起きる時に腰が痛まないようになりたい」

Goal「起床時の腰痛軽減」

など、

HOPE「長い時間座っていると立ちにくい」

Goal「起立動作の改善」

と確認できるため、目標が設定しやすくなると思います。

ここが、リハビリの中でとても大切なところになります。

HOPE,Goalを聞いて、何のためにリハビリをするのか明確にしていきたいですね。

リハビリの目標設定

機能障害の評価の順番と方法に

機能障害について以下の項目を確認していきます。

・姿勢(座位アライメント)
・動作(体幹の屈伸)
・ROM-T(肩甲胸郭関節、体幹、股関節)
・筋力(肩甲胸郭関節、体幹、股関節)
・痛み(性質、部位、程度)
・整形外科テスト(FFD、Patrick、Thomas、B-A Distance、SLR)

姿勢、動作は問題点の抽出
ROM-T、MMT、痛みは問題点の部位を確認
整形外科テストはアプローチ部位の特定を行います。

上記の流れはトップダウン式となっています。

問診・動作観察

活動制限をきたす原因となる機能障害の推測

問題点の明確化

になります。

池添によると、

メリットは対象者に必要で適切な検査のみを短時間で行えることや、治療的介入と並行して評価を進められることである。

デメリットは臨床推論が的確でなければ、問題点を明確化することが困難である。と述べている。1)より

そのため、当委員会では脊柱圧迫骨折に対して、上記の評価項目を行って問題点を明確化できるようにしたいと考えています。

評価ができたらアプローチの方法と順番

アプローチでは

  1. 関節、筋を動かしやすくする
  2. 促通する

流れで行っていきます。
理由として、動かしやすくした後のほうが、促通しやすくなるためです。

脊柱圧迫骨折では、整形外科テストを元に
関節では脊柱、骨盤、肩甲骨
筋肉ではハムストリングス、腸腰筋、小胸筋
を中心にアプローチしていきます。

そして、脊柱起立筋、腸腰筋、僧帽筋の促通を行います。

赤羽根によると、

骨癒合までのリハビリの目的は骨癒合の伸展を阻害せず、椎体の圧潰変形を阻止することである。骨癒合後のリハビリの目的は続発する脊柱の後弯化や圧迫骨折を回避することである。と述べている。2)より

1)は姿勢の維持や矯正に不可欠な体幹および下肢筋力を強化が重要となります。
2)は前胸部の柔軟性や肩甲帯、脊柱、骨盤とを連結する筋力を強化が重要となります。

そのため、上記の部位へアプローチしていきます。
アプローチして姿勢・動作が変化することも大切ですが、
一番は患者さん、利用者さんの活動や参加維持・改善を目標にしていきたいですね。

まとめ

リハビリの流れで大事な点は3つ
1.HOPE,Goal
2.機能障害
3.アプローチ
リハビリの流れを理解することで適切なアプローチができるようになりませんか?

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>>>触診から紐解く脊柱圧迫骨折に対する評価とアプローチ法

療法士活性化委員会
認定インストラクター 林 凌磨

参考文献
1、市橋則明 編集:理学療法評価学 障害別・関節別評価のポイントと実際 2016年
2、赤羽根良和:骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の病態理解とそのアプローチ 2017年

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