こんにちは! 療活で理学療法士をしている林です。
これまでは外部の勉強会に行ったりしてたのですが、気づけば療活でスタッフをしていました。最初のころは慣れない環境のせいか、精神的にも不安を抱えたりしていましたが、3年以上経った今では心がだいぶ安定しています。
とはいえ未熟な療法士である自分は、理想のリハビリはなんとなくあるけれど、ふわふわしていて将来に向けて具体的に何をすればいいのかわからないという状態です。
そんな悩みを抱えているとき、セミナー後の振り返りから「不透明なリハビリに向け初めの一歩を踏み出す方法」という質の高い情報を入手することができたので、今回は将来に不安を持っている人たちに向け、それらの情報をシェアしたいと思います!
目次
1「目標設定」がカギ。ゴールに向けて一歩踏み出す方法
2「療法士活性化委員会」の大塚氏も実践していた「目標設定」
3 目標設定の際に意識するべき3つのこと
①明確なゴール設定
②設定したゴールの達成に必要な要素を明確化する
③明確化したスキルを細分化する
4 まとめ
1 「目標設定」がカギ ゴールに向けて一歩踏み出す方法
突然ですが、みなさんは「リハビリの目標設定」をしたことはありますか? 目標設定と聞くと少し難しく聞こえるので、教科書で調べてみました。
目標設定
①問題点の探求と整理
②問題点の統合と解釈
③患者の状態を改善
1)より
また貞清らによると、「PTは「病前の生活」学生は「活動面」を重要視する傾向がみられた。と書いてあります。2)より
つまり、「病気・受傷する前か後を考えるというのがポイント」のようです。
ということで、まずはゴールから現在の目標設定の例を挙げてみます。
脊柱圧迫骨折の場合
家に帰って生活したい(ゴール)
▼
家の中を1人で歩き回れる状態が望ましい
▼
1人では腰が痛くて起き上がれない
▼
痛みなく起き上がれるリハビリを始める(いまやるべきこと)
このように、ゴールからの目標設定をする際にはゴールに患者・利用者の将来を置き、現在まで構造的にさかのぼることで「いま自分がやるべきリハビリ」を導き出せます。
2 設定したゴールの達成に必要な要素を明確化する
先日、『臨床の教科書』を復習のためにを読んだのですが、その中で「療法士としての土台として【触診・アプローチ】【評価・促通・ ADL】【動作分析・運動療法】を当たり前に出来るようになり、療法士としての質を高めていきます。」という一文を目にしました。
動作分析までの流れを把握した後、そこから目標設定をして今の自分に何が必要かを考えます。
脊柱圧迫骨折の場合
【動作分析】 歩行 自立(ゴール)
▼
【評価】 片脚立位 体幹伸展ROM・MMT
▼
【アプローチ】 脊柱モビライゼーション、腸腰筋リリース、多裂筋の促通、骨盤前傾ex
▼
【動作分析、評価、アプローチ】方法を確認
▼
【触診】脊椎、肩甲骨、骨盤、多裂筋、大腰筋、小胸筋
これを踏まえて、最初に取り組んだ勉強は「触診」というシンプルなものでした。目標設定にたどり着くためにはまず最初の関門である触れているのかという触診を完全する必要があり、リハビリ中に上手く結果を提示する必要があると判断したためです。
これらはすべて「目標設定」というゴールから必要な順序を導きだした リハビリ手順です。目標設定のやり方には種類があり、「トップダウン」のような目標設定から考えるやり方もあれば、ゴールを達成するために機能面から目標設定する「ボトムアップ」のようなやり方もあります。
3 目標設定の際に意識するべき3つのこと
こうした目標設定をする際には、どんなことを意識するべきなのでしょうか?
1.明確なゴール設定
ゴールからの目標設定におけるポイントは、「ゴールをより詳細に描くこと」です。たとえば下記のような感じになります。
2.脊柱圧迫骨折の方の歩行を改善したい。
ただ単に「脊柱圧迫骨折のリハビリを上手くやりたい」というのではなく、「脊柱圧迫骨折の歩行に特化したリハビリ」と詳細に設定することによって、そのために必要な知識やスキルも具体的になります。そしてそれに対応した勉強をすることで、より良いのリハビリを提供することができるというわけです。
3.設定してゴールの達成に必要な要素を明確化する
上記の例に沿って、「脊柱圧迫骨折の歩行に特化したリハビリ」に必要なスキルを細分化してみます。
脊柱圧迫骨折の歩行に特化したリハビリに必要であろうスキル
リスク管理
歩行分析
姿勢観察
検査測定(ROM-T,MMT,整形外科テスト)
アプローチ(関節モビライゼーション、筋膜リリース、運動療法)
細分化する際のポイントは、患者さん利用者さんための自分が持っているスキルを想像して正確にを振りわけます。目標設定を詳細に設定したのもこのためです。
たとえば……
●療法士であればリハビリ内容だけでなく、問診から病態把握、リスク管理までやった上で、アプローチ、動作分析などのウエイトを増やす。
●脊柱圧迫骨折に特化したリハビリなので、当然リスク管理へのウエイトはマックスだが、その分調べる時間が増えるため、動作分析へのウエイトを少し下げる。
コツは、しっかり理想の目標設定に合うように振ること。一般の体幹のリハビリと圧迫骨折のリハビリでは禁忌とするリスクが異なる可能性もあります。将来の自分が得意としているであろうスキルを想定し、ウエイトを増やすのがポイントです。
まとめ
今回は「ぼんやりとしたリハビリに一歩踏み出す方法」として、「目標設定からの逆算」をについてご紹介しました。
逆算をすることで、「いまやるべきこと」を導き出すことができます。その際に意識すべきなのは、先述の通り……明確なゴール設定、設定してゴールの達成に必要な要素を明確化する、明確化したスキルに順位を振る。
僕のようにリハビリに不安を覚えている人も、この3ステップではじめの一歩を踏み出すことができるかもしれません。よかったら是非試してみてくださいね!
参考文献:
1)松澤正著:理学療法評価学 改訂第3版
2)貞清ら:理学療法の臨床経験の違いが目標設定の重要項目に及ぼす影響