膝関節の機能と解剖について勉強してみた 

膝膝関節の機能と解剖について勉強してみた 

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

整形外科のクリニックに勤務していたころ受け持った患者さんのなかに変形性膝関節症の方が多くいました。整形外科ではよく見る疾患だと思うんですが、変性疾患なだけになかなか痛みが取れなかったりしますよね。そこで今回は膝関節の機能と解剖について学んでみました。

膝関節を構成する骨

膝関節は膝蓋骨、大腿骨、脛骨の3つの骨で構成され、膝蓋大腿関節、脛骨大腿関節を形成しています。

膝蓋大腿関節

膝蓋骨、大腿骨で形成され、膝蓋骨があることで1、屈曲/伸展の機能、2、効率的な筋力の伝達大腿四頭筋)、3、膝関節の保護を行っています。

ちなみに膝蓋骨の裏の軟骨は人体の中で一番厚いと言われています。ある程度、膝蓋大腿関節は擦れることが前提で作られていると考えられます。

脛骨大腿関節

とにかく不安定な関節で、完全伸展位で安定し、屈曲位になるに従い不安定になっていきます。そのため関節包、靭帯、半月板、筋肉などで支えています。

膝関節の安定性

膝関節が一番安定するのは完全伸展位です。完全伸展位では脛骨に対して大腿骨の適合が一番大きく、さらに左右の側副靭帯、後十字靭帯が緊張し関節を安定化させます。

反対に屈曲では関節の適合する面が少ないことと靭帯が弛緩位であるため、安定性は低下します。その分屈曲位では大腿四頭筋、半膜様筋、腓腹筋などの筋によって安定化しています。

さらに膝関節は半月板を有することで関節の適合性を高めています。

  • 内側半月:C字型、内側側副靭帯、関節包、膜様筋と連結し、半月板自体の可動生は低い→安定性
  • 外側半月:O字型、側副靭帯や関節方との連結はしないため半月板の可動性は大きい→可動性

このことから膝関節が完全伸展できないと荷重時に膝関節の側方動揺が起こってしまう可能性が考えられます。

膝関節の靭帯

  • 外惻側副靭帯:内反方向の制御
  • 内側側副靭帯:外反方向の制御、内側半月板と連絡
  • 前十字靭帯:脛骨の前方への運動を制御
  • 後十字靭帯:脛骨の後方への運動の制御

膝関節を囲む神経

  • 膝関節前面:大腿皮神経→膝関節が屈曲位で荷重を続けることで膝関節前面の組織の可動性が低下し痛みが出やすい
  • 膝関節後面:脛骨神経、腓骨神経、腓腹神経→膝関節屈曲位の姿勢を多く取ることで膝関節後面の組織の可動性が低下し痛みが出やすい
  • 膝関節内側面:伏在神経→膝関節の外反変形、内反変形で組織の可動性が低下し内側に痛みが出やすい
  • 膝関節外側面:総腓骨神経→膝関節の外反変形により新調され膝関節外足から足背にかけての痛みが出やすい

膝関節周囲の筋肉

  • 大腿四頭筋
  • 半腱様筋、半膜様筋
  • 大腿二頭筋
  • 膝窩筋

など

他にも縫工筋や薄筋、大腿筋膜張筋、多くの筋に影響を受けています。ただし膝関節に関する単関節筋で内・外転に作用する筋肉はありません。1軸の関節なので当たり前ですが、側方に制動する筋が無いため、荷重位では股関節と足関節の機能が非常に重要になってきます。

終末強制回旋運動(スクリューホームムーブメント:SHM)

膝関節は単体で内旋、外旋の動きはできませんが大腿骨の形状により伸展の最終域で大腿骨に対して下腿が外旋します。大腿骨の形状以外にも靭帯、大腿四頭筋の影響もあります。

膝窩筋には下腿を内旋させる作用があるので膝窩筋に問題があると終末強制外旋運動が阻害され完全伸展できなくなることがあります。

荷重位で考えると終末強制回旋運動は下膝関節伸展時に下腿に対して大腿骨が内旋します。その際に股関節に内旋に制限があると立位で膝関節が完全伸展できなくなります。
股関節についてはこちら>>>股関節の機能について勉強してみる

膝関節の動きが必要なADL

膝関節は重心の上下の動きを調節している関節です。膝関節の動きが制限されると重心の上下を伴うADL動作、要はしゃがみ込みの動きが含まれるADLが制限されます。例えばトイレ動作、入浴動作、腰よりしたのものを拾う、冷蔵庫のしたの扉を開ける、階段昇降、など様々なADLが制限されます。

また重心を下げるためには膝の屈曲とともに足関節の背屈の動きが必要になります。足部の可動性の低下が膝関節にも影響していきます。

膝関節のアプローチ

大腿直筋のリリース

脛骨大腿関節のモビライゼーション

近位脛腓骨関節のモビライゼーション

ハムストリングスのリリース

膝窩筋のリリース

まとめ

膝関節は

  1. 適合性が悪く不安定、股関節と足関節の影響を受ける
  2. SHMが出ないと完全伸展ができなくなる
  3. 重心の上下の動きが必要なADLで特に重要となる

膝関節の機能を理解してより効率的にリハビリを行っていきましょう。
膝関節のROMexを効率的に行うには?
>>>【触診が苦手な方限定】ROMexを効率的に行うための触診・アプローチ法セミナー【下肢編】

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参考文献・資料

  1. Adalbert I. Kapandji(原著), 塩田 悦仁 (翻訳) カラー版 カパンジー機能解剖学  III (3) 脊椎・体幹・頭部 原著第6版 医歯薬出版
  2. 野村 嶬(編集) 解剖学 第4版 (標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野) 医学書院
  3. 中村 隆一、齋藤 宏 、長崎 浩(著) 基礎運動学 第6版 医歯薬出版
  4. 山嵜 勉(編集) 整形外科理学療法の理論と技術 メジカルビュー社
  5. 石井慎一郎 山本 澄子 非荷重時の膝関節自動伸展運動における スクリューホームムーブメントの動態解析 理学療法科学 23(1):11–16,2008
  6. 長谷川 由理, 石井 慎一郎 荷重位でのスクリューホームムーブメントと大腿骨前捻角度の関係性 37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
  7. 長谷部 清貴、石井 慎一郎 荷重位でのスクリューホームムーブメントと大腿骨及び脛骨回旋運動の三次元動作解析 理学療法学Supplement 2011(0), Ab0704-Ab0704, 2012
  8. 肥田 直人、山本 澄子、石井 慎一郎、櫻井 好美 健常女性における片脚スクワット動作時の膝関節外反と姿勢の関係 理学療法学 46(3), 162-167, 2019
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