第55回理学療法士国家試験 午前 第5問

第55回理学療法士国家試験 午前 第5問

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

第55回理学療法士国家試験 午前 第5問 解説!

問題 80歳の女性。慢性心不全。NYHA分類classⅢである。急性増悪にて入院加療後、退院した。自宅でのADLは、Barthel Indexによる評価で、食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、着替え、排便、排尿は自立、歩行は歩行器使用にて45m以上可能である。階段昇降は部分介助を要する。この患者のBarthel Indexの点数はどれか。

  1. 75点
  2. 80点
  3. 85点
  4. 90点
  5. 95点

 

解答

4、5(不適切問題)

 

解説

Barthel Indexは「できるADL」を評価する指標として用いられ

  • 食事・トイレ動作・階段昇降・着替え・排便・排尿コントロールは(0:全介助/5:一部介助/10:自立)の3段階
  • 整容・入浴は(0:要介助/5:自立)の2段階
  • 移乗・歩行は(0:不能、全介助/5:ほぼ全介助/10:一部介助〜監視程度/15:自立)の4段階

で評価されます。

満点は100点。

  • 85点以上:自立
  • 60点:部分自立
  • 40点:大部分介助
  • 0点:全介助

とされています。

  • 満点が100点でわかりやすいこと
  • 簡便なこと

で用いられやすいですが、点数が大まかで細かいADLを把握しにくいというデメリットもあります。

問題文の対象者は

  • 食事、移乗、整容、トイレ動作、入浴、着替え、排便、排尿は自立

→それぞれのこれらの項目は満点。

  • 歩行は歩行器使用にて45m以上可能

→補装具(歩行器、車椅子を除く)の使用の有無を問わず45m以上歩行可能なら満点の15点。歩行器を使用しているので10点になるかと考えられます。ただし、この歩行器がピックアップウォーカーなのかキャスター付きなのかわからないので15点かも、ってことで不適切問題になったんじゃないかと思います。

  • 階段昇降は部分介助を要する

→一部介助なので5点

なので解答は4または5となります。

そもそもNYHA分類classⅢなので身体活動に高度の制限がある状態なので本当にこの数字なのかも怪しいですね。

これを臨床で活かすには?

こういった数字で表される評価は数字で判断しがちですが、そのADLをどのようにやっているのか?の質的な評価も大事です。

例えば移乗が一部介助であれば

  • どの部分に
  • どの程度の介助が
  • どうやって必要なのか

を明確にしていきましょう。解除が必要な部分を明確にすることで問題点や介入する部位の目星がつけられるようになります。そして局所の評価をして介入をしてみましょう。

またBarthel Indexは「できるADL」を評価する指標です。なので評価された数値は対象者の能力の最大値だと思ってください。要は「やろうと思えばできる」能力です。

しかし日常生活活動は「やろうと思ってやる」ものではなく「無意識でやるもの」です。

Barthel Indexで評価したADLが日常で「無意識でやれる」ようになるための環境設定などにも目を向けていきましょう。

療活では患者さん、利用者さんの目的を達成のサポートができる療法士が増えることで療法士自身も、患者さん利用者さんも笑顔になることを目的に活動しています。
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ありがとう
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