第55回理学療法士国家試験 午前 第18問 解説!!

第55回理学療法士国家試験 午前 第18問 解説!!

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

第55回理学療法士国家試験 午前 第18問 解説

問  32歳の女性。2週間前に上気道炎を発症し、5日前から四肢末端の異常感覚を自覚した。その後、徐々に四肢の脱力感を認めた。ギランバレー症候群と診断され、直ちにγ-グロブリン大量静注療法を開始した。入院時の筋筋力は MMT 段階4であったが、入院2日後には顔面麻痺と構音・嚥下障害が出現し、翌日には痰が多く呼吸困難が出現したため、気管挿管され人工呼吸器管理となった。四肢筋力は近位筋で段階1、その他は段階2から3に低下している。現時点で優先される治療はどれか。

  1. 機能的電気刺激
  2. 筋力増強運動
  3. 座位練習
  4. 自発呼吸練習
  5. 排痰練習

解答

5

解説

Guillain-Barré症候群とは?

急性で,通常は急速に進行するが自然治癒する炎症性多発神経障害です。筋力低下と軽度の遠位部感覚消失が特徴。原因はわかっておらず、自己免疫性であると考えられている。
約70%の患者は完全回復するが,3~10%は慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーを発症します。
不動状態は強直および拘縮の原因となりうるため、全可動域にわたる関節の他動運動を速やかに開始し,急性症状が治まったところで自動運動を開始が推奨されます。

予後予測の評価

  • modified Erasmus GBS outcome score(mEGOS):6ヶ月後の自立歩行の予測
  • Erasmus GBS respiratory insufficiency score(EGRIS):1 週間後に人工呼吸器装着となる可能性を予測

 

主な症状

  • 筋力低下
  • 脳神経障害(顔面麻痺、嚥下障害)
  • 感覚障害(異常感覚、感覚脱失)
  • 疼痛
  • 自律神経症状(頻脈、起立性低血圧、排尿障害など)

など

重症の場合は呼吸筋の麻痺により人工呼吸器が必要な場合があります。

リハビリのポイント

  • 急性期:症状の進行に伴う合併症の予防が中心。他動的なROMex、呼吸の管理、人工呼吸器になった場合のコミュニケーションの方法など
  • 回復期:状態に合わせて運動を行う。他動運動→自動介助運動→自動運動→抵抗運動→荷重運動と段階を踏んで実施していく。
  • 生活期:機能回復が長期に渡る場合は、機能回復のリハビリと合わせて日常生活を維持するための環境設定なども必要になります。また職場復帰なども含めた社会復帰に向けて多角的に関わっていく。

問題文の方は?

「気管挿管され人工呼吸器管理となった」と記述があるので現在優先されるリハビリは呼吸の管理。なので解答は5となります。

これを臨床で活かすには?

僕自身が養成校に入学した一ヶ月目の合宿で患者さんの話を聞く機会があり、僕のグループに協力して頂いたのがギランバレー症候群を患った方でした。その方は運動機能障害も残存しており、いわゆる重症例だったと記憶しています。その方は発症後も仕事も再開し、いわゆる社会復帰もされていました。

これはギランバレー症候群に限ったことではないですが、病気の状態だけではなく、生活環境や社会背景などを含めて統合的な視点で対象者捉え、これからの生活をどうするかを一緒に考えて行くようにしましょう。

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参考文献

  1. 山裕子、楠進 ギラン・バレー症候群の予後と予後予測因子 臨床神経学 60 巻 4 号(2020:4) 
  2. 海田 賢一 Guillain-Barré 症候群の予後因子 臨床神経学 53 巻 11 号(2013:11)

 

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