複雑でわかりにくい神経系について勉強してみた

複雑でわかりにくい神経系について勉強してみた

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

前回の記事で人の体が動くためには大きく3つの要素から成り立っているとお伝えしまいた。
前回の記事はこちら>>>体の動きをどう捉えるか?シンプルに考えてみた

骨や筋肉は割と理解がしやすいと思うのですが、正直神経系って難しくないですか?
網様体脊髄路とか皮質脊髄路とか運動野とか感覚野とか反射とか実はよくわからない。よくわからないからアプローチも何をしていいいかわからない。僕自身もそうでした。
そこで今回はなんちゃら路とかの難しいことはなしで、ほんとに押さえておきたい基礎の部分をお伝えします。

結論から言うと最終的な介入方法は筋骨格系ROMexです。

車に例えると

  • 骨格:車体
  • 筋肉:アクセル、ブレーキ
  • 神経系:運転手

です。

どんなに優れた運転技術があってもそもそも車体やブレーキ、アクセルが壊れていたら車は動きません。なのでまず車体とアクセル、ブレーキに相当する筋骨格系のアプローチとそれを動かすための練習であるROMexが必要になります。

神経系ってなんだ?

神経系は

  • 脳と脊髄からなる中枢神経
  • 脳と脊髄から伸びている末梢神経

に分けられます。

更に末梢神経は

  • 外部環境を認識して作用する:体性神経系
  • 内部環境を調節する:自律神経系

にわかれます。
*今回は自律神経系は置いといて、体性神経系についてお伝えします。

神経伝達は2つ

  • 情報を中枢に送る:上行路
  • 中枢の情報を末梢に伝えて作用する:下行路

の2つがあります。

上行路の役割

上行路は外部環境を認識して中枢神経へ伝達するのが役割です。

では伝達する情報は何があるでしょうか?

それは

  • 表在感覚(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)
    受容器は体表の表皮や真皮、皮下組織。

  • 深部感覚(位置覚、運動覚、抵抗覚、重量覚、振動覚)
    受容器は関節包、靭帯、筋肉、腱。

です。

すでに色々出てきて頭が痛くなりそうですが簡単にまとめると、情報を受け取る部分は関節や筋肉皮膚の表面にあるので関節や筋肉の機能や表皮、真皮、皮下組織の可動性が重要になります。

上行路の問題は感覚検査で評価する

  1. 情報を受け取る部位に問題がある→筋骨格系
  2. 情報伝達に問題がある→神経系

の2つの問題が考えられます。

脳血管疾患の場合は廃用による2次的な筋骨格系の問題もあるため、感覚入力の前に感覚が入力できる状態にするために筋骨格系のアプローチが必要になります。

評価の順番は

  1. 筋骨格系の評価(ROM、MMT)とアプローチ → 情報を受け取る部位の問題
  2. 感覚検査(表在感覚・深部感覚) → 神経系の問題

となります。

下行路の役割

下行路の役割は入力された情報を元に筋骨格系や自律神経系に司令を出して中枢神経で随意的に体の動きをコントロールすることです。

下行路の問題は反射で評価する

下行路も上行路と同じように以下の2つの問題が考えられます。

  1. 司令を出力する部位に問題がある→筋骨格系
  2. 情報伝達に問題がある→神経系

中枢で随意的にコントロールできない場合は不随意のコントロール、いわゆる反射が出ます。
中枢神経に異常がある場合は随意的なコントロールができないため脊髄レベルのコントロールである原始反射が出現します。
また姿勢を随意的にコントロールができないため、姿勢反射は出づらくなります。

ちなみに脊髄以降の末梢神経の障害では反射は減弱ないし消失します。

評価の順番は

  1. 筋骨格系の評価(ROM、MMT)とアプローチ → 司令を出力する部位に問題
  2. 原始反射(陽性、陰性)、姿勢反射(立ち直り反応の有無) → 神経系の問題

となります。

神経系のアプローチは何をする?

まず筋骨格系へのアプローチが重要なことはお伝えしたとおりです。では神経系へのアプローチは何をすればいいでしょうか?そこで必要なのがROMexです。

ヘップ理論

片麻痺は病巣が回復には大脳皮質から脊髄前角細胞までの神経路の再建/強化が欠かせない. 神経路はヘップ理論にあるように興奮を 伝えたシナプスは伝達効率が上がり,興奮伝達を繰り返すとシナプスの組織的な結合強化が生じる

つまり,再建・強化したい神経路へ興奮を伝えることなしには効率的な神経路の再建・強化はない.麻痺の回復促進には新たな促通手技や電気刺激法を用いて,目標の運動路の興奮性を高めて, 弱い大脳からの興奮でも伝達する状態にして,患者が意図した運動を麻痺肢に実現させ,それを反 復することによって,損傷を免れた神経路の中か ら損傷された神経路の代役を務める神経路を形成・強化する必要がある.

Antonov I, Antonova I, Kandel ER, Hawkins R : Activity- dependent presynaptic facilitation and hebbian LTP are both required and interact during classical conditioning in Aplysia. Neuron 2003 ; 37 : 135.147

要は繰り返し正しい動きで動かしましょうってことです。繰り返し正しい動きを繰り返すのはROMexですね。
ROMexについてはこちら>>>【触診が苦手な方限定】ROMexを効率的に行うための触診・アプローチ法セミナー

神経系に対するアプローチは

  1. 筋骨格系のアプローチを行い動きやすい状態にする
  2. 正しい運動を繰り返し行う(ROMex)

となります。

もちろん梗塞部位の違いによる症状の出方が異なるので各論についてはまたの機会にお伝えします!

まとめ

複雑でわかりにくい神経系について勉強してみた

  1. 上行路は感覚の入力、下行路は司令の出力
  2. 上行路は感覚検査、下行路は反射検査で評価する
  3. 筋骨格系のアプローチ→ROMexの順に行う

神経系は細かく見ると複雑でわかりにくいですが、まず分かる部分の基本的なところから押さえていきましょう!

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