こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。
前回は仙腸関節性腰痛についてお伝えしました。
今回は一番よくわからない筋筋膜性腰痛についてお伝えしていきます。
動きからみた腰痛の分類
以前症状の発生する部位から見た腰痛の分類として、
- 関節性
- 神経根性
- 筋・筋膜性
の分類を紹介しました。
今まで解説してきた
- 関節性
- 神経根性
以外のものが筋筋膜性腰痛に分類されます。
しかし、この筋筋膜性腰痛ですが多くは関節性、神経根性のものと併発して起こります。なので非常に病態がよくわからない腰痛となります。
腰痛の原因
腰痛になる原因には大きく
- 機械的刺激による腰痛
- 神経障害性腰痛
- 心理的因子による腰痛
の大きく3つの要素があり、急性期では機械的刺激による腰痛、慢性期では心理的要因による腰痛が多いとされています。
例えば
1,何らかの原因で椎間関節性の腰痛発症
↓
2,痛いから動きたくない、気分が落ち込む
↓
3,気分が落ち込む(心理的ストレス)により姿勢が悪くなる
↓
4,姿勢が悪くなり多裂筋や脊柱起立筋が伸長位で過剰に働く
↓
5,筋・筋膜性腰痛になる
↓
6,2に戻って痛いから動きたくない、気分が落ち込むのループに突入
といった具合になっていきます。
そもそも筋膜って?
筋膜というと「筋肉を覆っている膜」というイメージがあるとおもいますが、実は皮下組織に存在します。
皮下組織の中に
- 浅脂肪層
- 浅筋膜(superficial fascia)
- 深脂肪層
- 深筋膜(deep facia)
- 疎性結合組織
- 筋外膜
- 筋周膜
- 筋内膜
という階層になっており、この筋膜間には滑走する機能があり、滑走性が低下することによって筋肉や関節の動きに不全をきたします。またこの筋膜には神経線維が豊富に分布し、侵害受容器やルフィニ小体、パチ二小体などの固有受容器も存在します。この筋膜の炎症や滑走性の低下、伸長性の低下により痛みを引き起こしているのが筋筋膜性疼痛と考えられます。
ここでもう一度先程の例に戻ってみましょう。
1,何らかの原因で椎間関節性の腰痛発症
↓
2,痛いから動きたくない、気分が落ち込む
↓
3,気分が落ち込む(心理的ストレス)により姿勢が悪くなる
↓
4,姿勢が悪くなり多裂筋や脊柱起立筋が伸長位で過剰に働く
↓
5,筋・筋膜性腰痛になる
↓
6,2に戻って痛いから動きたくない、気分が落ち込むのループに突入
ここで大事になるのが
1,何らかの原因で椎間関節性の腰痛発症
4,姿勢が悪くなり多裂筋や脊柱起立筋が伸長位で過剰に働く
です。
まず筋膜に負担がかかる前提として器質的な問題や、姿勢からくる機能的な問題が隠されています。ここを解決せずに症状が出ている「筋膜を緩める」と言ったアプローチを行うと、動きが悪くなるどころか、症状を悪化させてしまうことがあります。
なので筋筋膜性腰痛の場合は「筋筋膜が過剰に働かなければ体を支えてられない状態」ということを前提において評価・アプローチをしてみましょう。
評価
まず今までお伝えしてきた
- 関節性
- 神経根性
の原因で考えられる評価をすべておこないましょう。
動作の評価
坐位または立位での体幹の
- 前屈
- 伸展
- 回旋・側屈
の評価を行います。
この評価では
- 脊柱の分節性
- 骨盤の前傾、後傾が見られているか?
- 痛みや違和感の有無、部位
- 可動範囲:現状把握と効果判定に用いる
を観察します。
また痛みの評価で大切なこととして
どうやったら痛くないか?
も合わせて評価しましょう。
痛くない動きの方向、範囲、負荷量、などを評価しておくことでその後の運動療法の負荷量の目安になります。
整形外科的テスト
- Kempテスト
- SLRテスト
- PLFテスト
- パトリックテスト
- 感覚・反射テスト
を行い、椎間関節性、椎間板性、筋・筋膜性などと鑑別していきます。
触診
- 硬結部位
- 圧痛部位
動作・整形外科テスト・触診を統合して解釈します。一つの検査だけでは問題部位の特定はできません。もちろんこの評価を行っても問題部位が特定できない場合もあるので、治療的な評価も併せて行いましょう。
また合わせて腰痛に関連があるような心理・社会的な要因をICFと照らし合わせて聞き取りを行いましょう。
アプローチ法
腰痛対して痛みのない範囲での運動が推奨されています。
また発症時期に対する運動療法の効果は
- 急性期:運動療法の効果はなし、有益な介入は通常通りの日常生活を送ること
- 亜急性期:一定の効果は認められたが、痛みや機能改善の効果は不明
- 慢性期:腰椎の可動性や機能改善に効果あり、疼痛、運動機能、健康状態、筋力、持久力も改善。しかし有効な運動の種類は不明
以上のことから
急性期は痛みのない範囲で可能な限り通常通りの日常生活を送り、機能障害が特定できている部位には安静、物理療法、徒手療法を併用して介入する
亜急性期〜慢性期は機能障害に対する物理療法、徒手療法と合わせて、もともとの対象の方が行っていたすでに慣れている運動。ラジオ体操、ヨガ、ピラティスなど(生活歴から聴取する)を痛みのない範囲で行いましょう。
まとめ
筋筋膜性疼痛について勉強してみた
- 関節性、神経根性のものも含まれることが多い
- 症状が出ている部位だけでなく、なぜその症状が出ているかも評価する
- 急性期は日常生活、慢性期は馴染みのある運動を行う
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