肩関節周囲炎について勉強してみた 〜総論編〜

肩関節周囲炎について勉強してみた 〜総論編〜

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

肩関節の問題って難しくないですか?そもそも肩関節って言われても肩甲上腕関節なのかそれ以外なのか、解剖学的な関節以外にも第2肩関節とか肩甲胸郭関節とか、しかもそれが複合的に協調して動くことで肩が上がるとかわけわかりません。そこで今回は肩関節周囲炎というテーマで肩関節についてお伝えしていきます。

肩関節周囲炎とは?

中年以降、特に50歳代に多くみられ、その病態は多彩です。関節を構成する骨、軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋(肩峰下滑液包)や関節を包む袋(関節包)が癒着するとさらに動きが悪くなります(拘縮または凍結肩)。

引用 日本整形外科学 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html

海外では

  • 癒着性関節包炎
  • 凍結肩

などと呼ばれています。

 

要は大きな誘因なしに肩関節に痛みと可動域制限をきたす疾患です。

肩関節周囲炎の原因

肩関節周囲炎は多くが構造的に密になり、摩擦の影響を受けやすい肩峰下滑液包、肩甲下筋の停止部の炎症によるものとされています。

因子としては

  • 年齢
  • 過用
  • 微細な損傷
  • 低酸素状態(機能不全)

と考えられています。

  • 癒着性関節包炎患者の約 35%には脳卒中,糖尿病,甲状腺疾患,心疾患,呼吸循環器 疾患,乳房切除などの既往が最低 1 つはあった1)。
  • 併発症(糖尿病や心疾患,喫煙歴など)の数が多いと疼痛が強く,身体機能が低下す るため治療が長期化する2)。
  • 癒着性関節包炎は糖尿病に罹患した患者に好発する 3)。

1)Boyle-Walker KL, Gabard DL, Bietsch E, et al.: A profile of patients with adhesive capsulitis. J Hand Ther 10: 222-228, 1997.

2) Wolf JM, Green A: Influence of comorbidity on self-assessment instrument scores of patients with idiopathic adhesive capsulitis. J Bone Joint Surg Am 84-A: 1167-1173, 2002.

3) Thomas SJ, McDougall C, Brown ID, et al.: Prevalence of symptoms and signs of shoulder problems in people with diabetes mellitus. J Shoulder Elbow Surg 16: 748-751, 2007.

とされており、合併症、特に糖尿病がリスクの一つと考えられます。糖尿病は末梢の循環障害を伴うため、肩関節の毛細血管に循環障害が起き、低酸素状態になると考えられます。

 

肩関節周囲炎の病期

炎症期(〜9ヶ月)
大きなきっかけがなく、痛みを生じる。安静時・運動時痛あり。

拘縮期(4〜12ヶ月)
痛みが軽減してくるが可動域制限が見られる時期

回復期(12ヶ月〜)
痛み・運動が回復してくる時期

  • 炎症期にはポジショニング
  • 拘縮期には評価に基づいた機能的介入
  • 回復期には運動療法

が必要になります。

 

肩関節の痛みの評価のアルゴリズム

以下の文献に肩関節の痛みに対する介入のフローチャートが示されています。

Ingrid Hultenheim Klintberg et all Consensus for physiotherapy for shoulder pain Article in International Orthopaedics · December 2014

 

ざっくり説明すると

肩関節の自動運動に問題があった場合

肩甲上腕リズムをみる

問題あり→筋の機能不全がないかみる

問題なし→他動の可動域を見る

筋の機能不全がないかみる

問題あり→運動の誘導をして痛みの変化をみて運動学習 or 臼蓋上腕リズム、肩甲上腕関節の安定性向上 or 肩甲胸郭関節の安定性向上 →症状の変化をみる

問題なし→脊柱の動きを評価する

他動の可動域を見る

問題あり→徒手療法、運動をする →症状の変化をみる

問題なし→筋の機能不全がないかみる

脊柱の動きを評価する

問題あり→脊柱に対して介入する →症状の変化をみる

問題なし→肩関節以外の問題を考える

という形でそれぞれ症状に変化が見られたら相手に合わせて運動を指導、変化が見られなかったらもう一度精査するか肩以外の問題を考えるとしています。

簡単にまとめると近位から評価し、改善したら継続、改善しなければ他の理由を考えましょう。ということです。

次回は評価をするのに必要な肩関節の構造についてお伝えしていきます。

まとめ

肩関節周囲炎について勉強してみた 〜総論編〜

  1. 肩関節周囲炎は疼痛と可動域制限をきたす疾患
  2. 糖尿病がリスクの一つとなる
  3. 近位部から順に評価、介入する

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