第55回理学療法士国家試験 午前 第98問

第55回理学療法士国家試験 午前 第98問

毎週木曜日は国家試験の問題と解説をしてきます!!
*あくまで療法士活性化委員会としての解説なので確実な正答を保証するものではありません。必ず自分で調べましょう!

問 

摂食障害について正しいのはどれか。

  1. 摂食障害は女性のみに発症する。
  2. 神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。
  3. 神経性大食症では、自己誘発性嘔吐は認められない。
  4. 神経性大食症から神経性無食欲症に移行することはない。
  5. 神経性無食欲症では、過活動や運動強迫が認められない。

 

解答

2

 

解説

摂食障害は食行動の重篤な障害を特徴とする精神疾患です。極端な食事制限と著しいやせを示す「神経性食欲不振症」と、むちゃ喰いと体重増加を防ぐための代償行動を繰り返す「神経性過食症」とにわけられます。いずれもやせ願望や肥満恐怖をもち、自己評価に対する体重・体型の過剰な影響があります。心身両面からの専門的治療が必要です。

厚生労働省 eヘルスケアネットより引用

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-005.html

 

神経性食欲不振症と神経性過食症(大食症)に分類されます思春期・青年期女性の有病率は神経性食欲不振症が0.1-0.2%、神経性過食症が1-3%程度と考えられます。

 

神経性食欲不振症

10〜19歳に多く約90%が女性。

多くの場合が発症前に心理的・社会的ストレスを経験している。

極端な痩せ願望、肥満恐怖があり、身体認知が歪んでいることが特徴。食事回数の制限、活発な活動、運動強迫が認められます。半数は飢餓に耐えかねて、過食をし、自己誘発性嘔吐、下剤・利尿剤・浣腸の乱用などの代償行動が習慣化してきます。

 

神経性過食症

20〜29歳に多く約90%が女性。

神経性食欲不振症から移行することもある。また神経性過食症から神経性食欲不振症に移行することもある。

通常量よりも明らかに多量の摂食をし、食べるのを止められない感覚があります。代償行動として絶食、嘔吐、下剤、利尿剤の乱用などが見られます。痩せ願望や肥満恐怖、身体像の障害も伴います。

 

問題文に当てはめると

  1. 摂食障害は女性のみに発症する。
    →男性にも発症する
  2. 神経性大食症は神経性無食欲症より有病率が高い。
    →高い
  3. 神経性大食症では、自己誘発性嘔吐は認められない。
    →認められる
  4. 神経性大食症から神経性無食欲症に移行することはない。
    →移行することもある
  5. 神経性無食欲症では、過活動や運動強迫が認められない。
    →認められる

 

ですので、解答は2となります。

 

これを臨床で活かすには?

摂食障害は心理的社会的ストレスを経験して発症することがあるとされています。そのストレス事態を避けることはできませんが、症状として身体認知の歪みが認められます。リハビリではこの身体認知の歪みに対しての対応をしてきましょう。具体的にはエネルギー消費の目的の活動ではなく、身体認知の修正を目的として活動を行います。もちろん対象者には目的はエネルギー消費のためとお伝えし、活動を通して身体認知が修正されると自己の体に気づき行動が変容していきます。大事なことはこちらから認知の歪みを指摘するのではなく、本人に気づいてもらえるように支援してきましょう。

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