糖尿病の運動療法について勉強してみた

糖尿病の運動療法について勉強してみた

こんにちは、療法士活性化委員会の大塚です。

理学療法士大塚久

今回は糖尿病の運動療法についてお伝えしていきます。

 

糖尿病とは

糖尿病とは

膵臓から分泌されるインスリンの作用不足に基づく、慢性高血糖状態を主徴とする代謝疾患群です。

要は糖尿病だからどうなるというよりはそれに伴う、急性合併症と慢性合併症が症状として問題になってきます。

 

糖尿病で困ること

困るのは急性合併症と慢性合併症です。それぞれ、

  • 急性合併症:意識障害、ケトアシドーシス、高血糖、高浸透圧症候群、低血糖昏睡など
  • 慢性合併症:代謝障害、全身の血管を中心とした組織の変性・機能喪失

  細小血管症:網膜症、腎症、神経障害
    大血管症:動脈硬化、冠動脈疾患、脳血管疾患、末梢動脈性疾患など

とされており、特に急性合併症はその場で生命の危機に直結するため注意が必要です。

合併症を予防するための目標値として

HbA1c 7.0未満、空腹時血糖値130mg/dl以下、食後2時間血糖値180mg/dl以下

*血糖値正常化の目標6.0未満

というものが定められています。

基本的にHbA1cの値が危険因子とされているため、この値を基準としています。

2型糖尿病患者における糖尿病性合併症のリスクは、過去の高血糖と強い相関があった。HbA1cが低下すれば、合併症のリスクは低下すると考えられ、HbA1c値が正常範囲(6.0%未満)であれば、そのリスクは最も低くなる。

Irene M Stratton, Amanda I Adler, H Andrew W Neil, David R Matthews, Susan E Manley, Carole A Cull, David Hadden, Robert C Turner, Rury R Holman on behalf of the UK Prospective Diabetes Study Group

 Association of glycaemia with macrovascular and microvascular complications of type 2 diabetes (UKPDS 35): prospective observational study (Published 12 August 2000)Cite this as: BMJ 2000;321:405

 

HbA1c値の上昇はCVD、特にCHDと虚血性脳卒中の独立した危険因子であり、従来の危険因子とのモデルにHbA1cを加えることでCVDの予測能力が有意に向上することが示唆された。

Ikeda F, Doi Y, Ninomiya T, Hirakawa Y, Mukai N, Hata J, Shikata K, Yoshida D, Matsumoto T, Kitazono T, Kiyohara Y

Haemoglobin A1c even within non-diabetic level is a predictor of cardiovascular disease in a general Japanese population: the Hisayama Study.

Cardiovasc Diabetol  12: 164-171, 2013 

 

糖尿病の治療

糖尿病の治療は

  1. 食事療法
  2. 運動療法
  3. 薬物療法

糖尿病治療の基本は

  1. 食事療法と運動療法を励行し、血糖値をコントロール、肥満を解消する
  2. 必要があれば、経口血糖降下薬やインスリン療法を行う
  3. 血圧や脂質代謝の管理を行う

治療の目標は、急性・慢性の合併症の予防、合併症の治療とその進展抑制である

とされています。

日本糖尿病学会.科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013.

 

糖尿病と運動療法の効果について

糖尿病に対する運動療法の効果は

2型糖尿病と診断された14名を対象に昼食後、自然歩行、自然歩行の10%高速、自然歩行の20%高速の歩行を30分実施、歩行前、歩行開始15分、歩行終了時の血糖値を測定。

2型糖尿病患者において、最大20%の早歩きは、心血管に悪影響を及ぼすことなく、強度依存的に食後血糖値を低下させた。

Kenichi Deguchi,Tetsuya Enishi, Nori Sato, Hajime Miura, Yuichi Fujinaka, Munehide Matsuhisa, Shinsuke Katoh

 Acute effect of fast walking on postprandial blood glucose control in type 2 diabetes 2016 Jun; 7(2): 119–123.

Published online 2015 Jun 27. doi: 10.1007/s13340-015-0217-z

 

運動トレーニングは、総脂肪と腹部脂肪を減少させる。このような体組成の変化は、インスリン感受性と血圧の改善を媒介し、内皮血管拡張機能を改善する可能性がある。

Stewart KJ. Exercise training and the cardiovascular consequences of type 2 diabetes and hypertension: plausible mechanisms for improving cardiovascular health. JAMA, J Am Med Assoc. 2002;288(13):1622–1631. doi: 10.1001/jama.288.13.1622.

 

といったものが示されています。

日本糖尿病学会. 糖尿病治療ガイド2018-2019では以下の運動が推奨されています。

まとめ

糖尿病の運動療法について勉強してみた

  1. 糖尿病では急性合併症と慢性合併症を予防するのが大切
  2. HbA1cが危険因子となるため目標値とされている
  3. ややきつい程度の運動を継続することが大事

 

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