デイサービスにおけるリハビリテーションの基本と応用:作業療法士の視点から
こんにちは、作業療法士の内山です。前回は利用者のニーズに応じた個別プログラムの作成について考察しました。今回は、デイサービスにおけるリハビリテーションの基本と応用について深く掘り下げていきます。
デイサービスにおけるリハビリの基本
デイサービスでは、機能訓練士による介入で「個別機能訓練加算」を算定できます。主な加算の種類は以下の通りです:
- Ⅰ(イ):56単位/日(機能訓練士1名以上専従)
- Ⅰ(ロ):76単位/日(機能訓練士2名以上専従)※2024年介護保険改定で減算
- Ⅱ:20単位/日(Ⅰを算定した上で、LIFEへの情報提出が必要)
注目すべきは、Ⅰ(ロ)の減算です。これは、厚生労働省が機能訓練士の複数配置を必ずしも必要としていないと判断している可能性を示唆しています。
現実的なアプローチ:ハイブリッド型介入
この状況を踏まえ、私が採用している基本姿勢は「個別介入×集団介入」のハイブリッド型です。
- 個別介入:身体的アプローチを目的
- 集団介入:役割活動を目的
介入のベースは役割活動(ADL・IADL動作)に設定しています。これは、デイサービスの目的である日常生活の自立支援に直結するためです。
ハイブリッド型介入のメリット
- 介護度に関わらず、日常生活レベルの維持・向上が可能
- 個別・集団それぞれ15分の介入時間設定で効率的
- 他職種との情報共有によるOT目線での介入の拡大
集団特性を活かした介入事例
80代男性Aさんの事例を通じて、デイサービスの集団生活特性を活かした介入の効果を紹介します。
Aさんのプロフィール
- 活動性に乏しい
- 運動に消極的
- 奥様の希望:日中のメリハリをつけてほしい
介入のポイント
- 生活背景の考慮:仕事一筋の経験、誰かのために働きたい姿勢
- 役割の分析:自分のために動く(✕~△)、誰かのために動く(△~〇)
提供した役割活動
- 水やり
- 書類のシュレッダー作業
- ゴミ解体
- 屋内・屋外掃除
結果:「誰かのために動くこと」で「日中の活動性向上」につながり、健康維持を実現しました。
まとめ:デイサービスにおけるリハビリテーションの未来
- 個別介入から集団介入へのシフトが進行中
- 個別×集団のハイブリッド型介入で作業療法の特性を最大限活用
- デイサービスの集団生活特性を活かした介入で相乗効果を創出
作業療法士として、これらの点を意識しながら、より効果的なリハビリテーションプログラムの提供を目指していきます。
この記事が、デイサービスにおけるリハビリテーションの新たな可能性を探る一助となれば幸いです。皆様のご意見やご経験もぜひお聞かせください。