デイサービスにおける生活活動の支援方法 〜デイサービスにおける療法士の役割〜

デイサービスにおける生活活動の支援方法 〜デイサービスにおける療法士の役割〜

皆さん、こんにちは。作業療法士の内山です。前回の認知機能評価とリハビリ活用に続き、今回はデイサービスでの生活活動支援に焦点を当てます。この支援は、利用者のADL(Activities of Daily Living: 日常生活動作)の維持・向上に極めて重要です。各支援方法がADL動作にどのように影響を与えるか、具体的に見ていきましょう。

1. デイサービスにおける生活活動とは

デイサービスでの生活活動支援は、利用者が日常生活の基本的動作(食事、更衣、整容、排泄、入浴)を自立して行えるよう支援することを目指します。これにより、利用者のQOL(Quality of Life: 生活の質)向上と自立した生活の維持を促進します。

2. 具体的な生活活動支援方法とADLへの影響

以下、5つの支援方法がADL動作にどのように貢献するか、具体的な動作例を交えて解説します。

a) 買い物活動

  • 食事動作:商品を取る動作が調理時の動作改善に
  • 更衣動作:歩行やバランス維持が立位での安定性向上に
  • 整容動作:細かな手指の動作が巧緻性向上に
  • 排泄動作:立位・座位の持続が安定性向上に
  • 入浴動作:買い物袋の持ち運びが体支持筋力強化に

b) 服薬管理

  • 食事動作:薬の取り扱いが手指の精緻さ向上に
  • 更衣動作:蓋の開閉がボタン操作の向上に
  • 整容動作:ピルケース操作が手指の操作性向上に
  • 排泄動作:計画的行動が排泄習慣形成に
  • 入浴動作:細かい動作反復が指先の精緻性維持に

c) 交通機関練習

  • 食事動作:バランス保持が姿勢保持改善に
  • 更衣動作:乗降動作がバランス感覚強化に
  • 整容動作:環境適応が計画性向上に
  • 排泄動作:公共施設利用が対応力向上に
  • 入浴動作:乗降動作が筋力とバランス感覚向上に

d) 味噌汁作り

  • 食事動作:調理動作が食事準備能力向上に
  • 更衣動作:立位作業が体幹安定性向上に
  • 整容動作:手指操作が精緻性向上に
  • 排泄動作:立ち作業が立ち上がり動作安定に
  • 入浴動作:鍋操作が洗身動作改善に

e) 洗濯物取り込み、干し作業

  • 食事動作:物の取り扱いが食器操作向上に
  • 更衣動作:高所作業が衣服着脱動作改善に
  • 整容動作:洗濯バサミ操作が手指操作性向上に
  • 排泄動作:全身運動が体幹安定性強化に
  • 入浴動作:屋外動作が全身筋力維持に

3. 成功事例:80代女性Bさんの料理再開

背景:

  • 脳梗塞後遺症で左半側空間無視あり
  • 「料理を再開したい」という希望
  • 週1回デイサービス利用

支援方法:

  • 環境設定の工夫(右側中心に道具配置)
  • 左側への注意促進(リーチ練習実施)
  • 身体機能訓練の併用

結果:

  • 左側への注意力が徐々に向上
  • 自宅での料理再開を実現

この事例は、利用者の希望に基づいた支援がQOL向上に大きく貢献することを示しています。

4. まとめ

  1. デイサービスでの生活活動支援は、利用者のADL動作の維持・向上に直結し、利用者の自立した生活を支援します。
  2. 各活動を通じて、食事、更衣、整容、排泄、入浴動作に必要な身体機能や心理的な側面が賦活されるため、日常生活の質が向上します。
  3. 実際の支援方法を通じて、利用者が自分の生活に対する自信を持ち、自立した生活を送れるようになることが、デイサービスの重要な目標です。

デイサービスでの生活活動支援は、単なる機能訓練ではありません。利用者の日常生活全体を見据え、具体的なADL向上につながる支援を提供することが重要です。このアプローチにより、利用者の自立と生活の質向上を実現できるのです。

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