内腹斜筋の解剖と機能を徹底解説! 〜学生・新人理学療法士、作業療法士のためのスキルアップガイド〜

内腹斜筋の解剖と機能を徹底解説! 〜学生・新人理学療法士、作業療法士のためのスキルアップガイド〜

こんにちは、理学療法士の内川です。

「体幹の筋肉って種類が多くて、それぞれの役割がわかりにくい…」

「内腹斜筋の触診位置や評価方法に自信が持てない…」

「体幹の運動連鎖における内腹斜筋の重要性がいまいちピンとこない…」

こうしたお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

内腹斜筋は、日常生活に密接に関わる筋肉で、呼吸、姿勢制御、体幹の安定など、私たちが日々行うさまざまな動作において重要な役割を果たしています。例えば、体をひねる動作や物を持ち上げるときの安定性、呼気時の腹圧維持などで活躍しています。

ここでは、内腹斜筋の解剖学的特徴から評価・訓練方法、さらに臨床で役立つ知識までをわかりやすくまとめました。内腹斜筋の理解を深め、臨床に役立てていただければ幸いです。

1. 内腹斜筋の解剖と作用

内腹斜筋の解剖図

起始

  • 胸腰筋膜
  • 腸骨稜外唇の前2/3
  • 鼡径靭帯外側1/2

停止

  • 第10~12肋軟骨下縁
  • 腹直筋鞘
  • 恥骨結合(最下部の線維)

支配神経

  • 第8~12肋間神経
  • 第1腰神経

作用

  • 体幹の側屈(同側)
  • 体幹の回旋(同側)
  • 呼気補助
  • 腹圧の形成
  • 腹部内臓の支持

内腹斜筋は、外腹斜筋や腹横筋と協調して働く筋肉です。特に体幹の回旋や側屈の際に重要な役割を果たし、体幹の安定性にも寄与します。

2. 内腹斜筋の評価

触診

  1. 上前腸骨棘の内上方に手を当てる
  2. 体幹の同側回旋を行い収縮の確認する

MMT(徒手筋力テスト)回旋

測定肢位:5.4.3.2は両膝を伸ばした背臥位 1.0は膝屈曲位での背臥位

MMTの実施方法1 MMTの実施方法2

段階5の手順:

  1. 両手の指先を頭の側面につける
  2. 肩甲骨が浮くまで体幹の屈曲、回旋を行う

段階4の手順:

  1. 両腕を胸の前でクロスする
  2. 肩甲骨が浮くまで体幹の屈曲、回旋を行う

判断基準:

5、4:肩甲骨の下角が浮く所まで体幹を持ち上げられる
(外腹斜筋が働く方の肩甲骨が浮く)

測定肢位:3.2は両膝を伸ばした背臥位 1.0は膝屈曲位での背臥位

MMTの実施方法3 MMTの実施方法4

段階3.2の手順:

  1. 両腕をからだの前で伸ばす
  2. 肩甲骨が浮くまで体幹の屈曲、回旋を行う
  3. 段階2の場合は腹部で、外腹斜筋の触知する

段階1.0の手順:

  1. 患者様の頭を支えるようにしつつ、臍の所で腹筋を触知する
  2. 体を持ち上げるようにしてもらう

判断基準:

  • 3:肩甲骨の下角が浮く所まで体幹を持ち上げられる
  • 2:肩甲骨の下角を浮かせることができない
  • 1:内外腹斜筋の収縮が触知できる
  • 0:筋収縮がない

3. 内腹斜筋の機能訓練

1. 腹部挙上

内腹斜筋単体ではないですが、安定性の向上のために側臥位での運動もあります。

  1. 運動したい方を下にした側臥位をとる
  2. 肋骨と骨盤を近づけるように腹斜筋を収縮させる(地面と腹部で隙間を作る)

2. サイドプランク

  1. 側臥位で肘をつき、頭、肩、股関節、膝、足を一直線にする
  2. 体幹を持ち上げる

長く保持することも大事ですが、日常生活には一瞬の筋力発揮も大事なため、繰り返し上げ下ろしを行うのも効果的です。

4. 機能低下と影響

  • 姿勢制御の低下:姿勢が崩れやすくなり、体幹の安定性が損なわれる。
  • 体幹の回旋力低下:回旋動作が不安定になり、スポーツパフォーマンスに影響する。
  • 腹圧形成の低下:腹圧が保てず内臓が下垂しやすくなる。
  • 腰椎の安定性低下:体幹が不安定になることで、腰椎に負担がかかり、腰痛のリスクが高まる。
  • 呼吸機能への影響:呼気時の補助が低下し、特に運動中に呼吸が浅くなりやすい。

5. 臨床ちょこっとメモ

  • 内腹斜筋は、腹横筋や外腹斜筋と連携して働くため、これらを意識したアプローチが効果的です。
  • 呼吸との関連も重要です。特に腹式呼吸を取り入れ、呼気時に内腹斜筋を意識することで、腹圧を高めた安定性を促します。
  • 腹直筋や骨盤底筋群との連携も視野に入れて、全体的な体幹安定性を強化しましょう。
  • 歩行時においても支持側において収縮することで体幹の安定性を保ちます。

6. まとめ

1. 内腹斜筋の基本的特徴と重要性

  • 体幹の側屈(同側)と回旋(同側)を担う重要な筋肉
  • 呼吸補助、腹圧形成、内臓支持など多様な機能を持つ
  • 日常生活動作から姿勢制御まで幅広く関与する筋肉

2. 評価・訓練のアプローチ

  • 触診は上前腸骨棘の内上方で確認
  • MMTは段階に応じて背臥位での回旋動作を評価
  • トレーニングには腹部挙上やサイドプランクなどの基本エクササイズが効果的

3. 臨床的な意義と連携性

  • 外腹斜筋、腹横筋との協調性が重要
  • 呼吸機能との関連が深く、特に呼気時の働きが重要
  • 機能低下は姿勢制御、腰椎安定性、呼吸機能など広範な影響を及ぼす

今回記載したものはあくまでも筋単体のことです。実際の治療においては周囲にいくつもの筋肉が存在しており、深さも考えなければなりません。周囲に何があるかイメージできていますか?不安な方はぜひ一緒に勉強しませんか?

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7. 参考文献

  • 基礎運動学第6版補訂
  • 脊柱理学療法マネジメント
  • 筋骨格系のキネシオロジー
  • 新徒手筋力検査法 原著第10版

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