毎週月曜日は一年前にリハコヤでライブ配信されたものの一部を文章でお届けします。
本日は、うつ病対応時の注意点についてお伝えしていきます。
うつ病は100人に3〜7人発症し、うつ病経験者は1割になるとも言われています。
また、うつ病による経済損失は2兆円と言われており、身近な疾患のひとつです。
こころと身体の相互関係を意識し、上手に作業を利用していくことが作業療法の基本方針です。うつ病診療において作業療法は、具体的な作業活動を用いるという特徴を活かしながら、他の治療(薬物療法や精神療法)と並行して行われます。
身体を動かし、課題に集中し、充実感や達成感を味わい、気分転換するなど、作業を通して「行動を変化させることで気分が変化する」ことが実感できます。しかし、これには病期を考慮していかなければいけません。
うつ病の病期による作業療法の役割の違いとは?
うつ病の病期(回復過程)は以下の通りです。
・休息期
・急性期
・回復期前期
・回復期後期
セロトニンを分泌させるためにヨガやウォーキングが大切と言われますが、病期によりその適応は異なります。
休息期の作業療法の役割は、回復の保障と休息の確保です。このときの作業療法士の対応は、回復を保障し、ゆっくり休むことが重要であると伝えることなので、運動を勧めることは逆効果になってしまいます。
急性期には、ゆっくり休みつつ、やれることを少しずつ体験することが作業療法の役割です。はっきり予測のつくものや、簡単で繰り返しのある構成的作業を主に行います。
回復期前期には、無理をしなくとも受け入れられる体験をすることが作業療法の役割となり、「〜したい」を大切にし、“ゆったり”“楽しい”を実感できるものを主に取り入れながら、徐々に生活に関連した活動を取り入れていきます。
回復期後期になると、作業療法の役割は具体的に生活をイメージし少し実践してみることとなります。集団の中で他者と経験や感情を共有したり、より具体的な生活課題に取り組んだりしていきます。
休息期〜回復期前期までは、その人が今までにやっていた活動は処方しません。今までやっていた活動をして失敗してしまうと落ち込ませてしまうからです。
反対に、回復期後期には、前にやっていた活動を行なっていきます。それには必ず失敗しないという条件付きです。「できるようになった」という経験をすることで回復を促しやすくなります。
このように、病期により作業療法の内容は変化します。状態をしっかりと見極めリハビリを処方するようにしましょう。
まとめ
うつ病対応時の注意点について
1. 単純にうつ病=運動、ウォーキング、セロトニンではない。
2. 休息期や急性期には、十分な身体的・心理的休息の確保と薬物療法を中心とする身体療法が優先される。
3. 休息期〜回復期前期まではその人が今までにやっていた活動は処方せず、回復期後期には必ず失敗しないという条件下にて前にやっていた活動を行なっていく。
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