皆さん、こんにちは
療活の林です。
前回は大腿骨頸部骨折の病態についてお話ししました。
「今よりも状態を悪くしない」ために病態を知ることが必要です。
でも実際には「今よりも動けるようになる」ためにリハビリをします。
じゃあ動けるようにするには何をするの?って思いませんか?
動けるようにするために必要なのは適切なアプローチなんですが、適切なアプローチを選択するために必要なのが「評価」です・
そこで今回は、評価の一例についてまとめていきます。
大腿骨頸部骨折の評価とは
先輩や上司に
「あの患者さん跛行が強いけど大丈夫は?」
「そもそも立位アライメントってどうなの?」
「股関節周囲の可動域や筋力ってどんくらいなの?」
なんて事聞かれませんか。
正直、当時は色々言われて頭が混乱してしまいました。
なぜなら自分自身のみるポイントや調べる事が曖昧だったからなんです。
実は、先輩や上司がこの質問をしてくれるのは以下の3つのポイントを明確にするためだったんです。
それは、
- 動作
- 姿勢
- 機能
です。
1.大腿骨頸部骨折の動作の評価
大腿骨頸部骨折の歩行で問題となる1つとして、
トレンデレンブルグ歩行があります。
トレンデレンブルグ歩行とは、
立脚側の対側に体幹が側屈し反対側の骨盤が下制する現象
のことを指します。
これは中殿筋の筋力低下によって生じると言われています。
もし、トレンデレンブルグ歩行を放っておくと、
立脚側の体重の約3倍かかると言われています。
60kgの人なら180kgの負担が股関節にかかります。
これではせっかく手術しても、また痛めてしまいそうですね。
2.大腿骨頸部骨折の姿勢の評価
ランドマークとしては
前額面:外後頭隆起、脊柱棘突起、殿裂、両膝の間、両内果の間
矢状面:耳垂、肩峰、大転子、膝蓋骨の後方、外果前方
となっています。
例えば、トレンデレンブルグ歩行では
前額面では殿裂と両膝の間、矢状面では大転子と膝蓋骨の後方の
位置がずれている事がみられます。
上記のランドマークは視診だけでは判断が難しい場合があります。
そのため骨のランドマークを触診できると確認しやすいです。
3.大腿骨頸部骨折の機能の評価
では、トレンデレンブルグ歩行が出現しており、立位姿勢でも殿裂と両膝の間がずれている場合、中殿筋の筋力低下を疑うとします。
その時、皆さんはどんな検査をしますか?
・・・
・・・
股関節のROM-T、中殿筋のMMTと考えた方、バッチリです。
それに加えて、Ober testを実施すると信憑性が増します。
Ober testとは、
主に大腿筋膜張筋の伸張性をみる検査になります。
側臥位で検査側の股関節伸展・外転し、そこから内転させます。
陽性の場合、股関節が内転せず、床へ足が着きません。
えっ、中殿筋の検査ではないじゃないか!
と思ったそこのあなた!
実は中殿筋を検査するには後、一工夫が必要なのです。
詳しい内容は文章では伝えにくいので申し訳ありません。
後は、ここに聞くと答えてくれるかもしれません。
大腿骨頚部骨折のリハビリの評価まとめ
1.動作➡異常歩行を知る
2.姿勢➡立位アライメントを確認する
3.機能➡機能低下部位を検査する
となります。
上記3つのポイントを担当している患者さんで確認してみてください。
そこが確認できたら、次は大腿骨頸部骨折の治療について考えていきましょう。
大腿骨頸部骨折のリハビリについて一人で学ぶのは大変という方は
触診から紐解く大腿骨頚部骨折のリハビリテーション 評価とアプローチ法
でお会いしましょう!
病態を理解し、患者・利用者さんの人生をデザインしませんか。
療法士活性化委員会
認定インストラクター 林 凌磨